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29 エメラルド専用のお皿

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※アーバン視点

 『私達のご主人様』と書かれているお皿は、当然奥様の前に置かれるものだ。これは特注のお皿で皆の心がこもっている。私達のご主人様はエメラルド奥様と思っている使用人達は、全体の8割ほどの人数を占めるのだ。

 このお皿がなぜ必要かと言えば、エメラルド奥様が辛い物好きだからだ。以前オーガスタム様と奥様でお皿を取り違えてしまい、オーガスタム様は涙を流しながらお水をがぶ飲みしていた。そんなわけで、エメラルド奥様が自分用だと一目でわかるお皿を欲しがり、皆でそれをプレゼントさせていただいたというわけだ。

 本日のメニューはカレー。ナンという薄っぺらいパンを浸して食べる変わった食べ物だ。エメラルド奥様のお皿のカレーはチリペッパーだけをかなり多めに配合している。その他のクミン・コリアンダー・カルダモン・オールスパイス・ターメリックなどの分量は皆のものと変わらない。

「「いっただきまぁす!」」

 皆が笑顔でカレーを頬張った瞬間、奥様も一口食べて急にむせた。オーガスタム様が慌てて水を飲ませて背中をさすりだす。

「あ、あら。ありがとうございます?」

 奥様が語尾をあげた口調でお礼を言うと、初めてオーガスタム様を見たといわんばかりに頬を染めた。いつもはオーガスタム様に見向きもしない奥様が、今は熱っぽい視線でじっと見つめていた。

 私達使用人はびっくりしたが嬉しい気持ちが強い。オーガスタム様とエメラルド奥様にはもっと仲良くしていただき、できたらそろそろお二人の間にお子様が生まれて欲しいと願っているのだから。

 もしかして今、奇跡が起きているのかもしれない。
 あぁ、神様、ありがとうございます!



୨୧⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒୨୧

※この小説は次回でいったん完結となります。カクヨム様の『嫁コン』に参加させていただいております。青空風情が無謀なんですけど、とりあえず参加してみました😂

というわけで、次回で途中な感じではありますが、いったん完結しますーー
その後で、リクエストのざまぁ展開していきます。
なお、こちらのざまぁはアルファポリスにしか掲載しません(^.^)


🌼宣伝:「可愛くない私に価値はないの?」が9月末刊行でレジーナブックスから書籍化されます。今までお読みくださり、応援してくださった皆様のお陰です。ありがとうございます。改稿にあたって、ガマちゃん出演ありません💦が、とても良いお話になっているので(自分で言うな、ってかんじですが)よろしくお願いします。
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