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12 カーターの断罪ー2 残酷シーンなし
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残酷シーンなし。残酷度1(当社比)えっと、多分・・・・・・1でいいよね? 😅
すみません、残酷度3みたい←読者様からのご意見で修正します。3です、3! ということは、残酷なものが苦手な方はご注意ください。一応R15にしときます。
結論、R15。残酷度3。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(カーター視点)
気がつくと粗末な部屋に転がされていた。色あせたカーテンに、床は泥やホコリだらけ。空気は淀んでいて、外からは怒声が聞こえてくる。
ここはどこだ?
「やっと、気がついたか? さぁ、早速だが働いてもらおうか。まだ若いし丈夫そうだ」
見知らぬ男は大きくて熊のようだ。大きなマスクと目のあたり全体を覆うサングラスをしている。まるで有害な物から自分を守るように。そう、ここは・・・・・・
☆彡
連れていかれた場所は石粉と埃がすごい石切場だ。大きなハンマーを渡されて、巨大な石を壊し運び出しやすい大きさにする。
「おい! お前、もっと丁寧に石を割れ! 石の小さな亀裂に向かってハンマーを下ろすんだよ。お貴族様や富豪達の床やテーブルになる貴重な石だぞ! お前よりも何百倍も価値があるんだ!」
その熊男に顔を殴りつけられ、教えられたようにやるがどうにもうまくいかない。ずっと文句をいわれ続け、手はしびれて痛いし足はふらふらだ。
休憩時間はほんの少しで、暗くなるまでひたすら石を割っていく。仕事が終わると埃まみれの汗まみれ。喉も痛いし、日焼けで肌がひりひりした。
貴族だったはずなのに日焼け!
僕の美貌が台無しだ。
夕飯はパンとあり得ないくらい薄いスープを、大部屋の床に座って食べる。ここにはテーブルも椅子もない。スープはパセリが浮かんだだけの塩辛いぬるま湯だ。
「肉は? 魚は? 野菜もないのか?」
「おまえさん。ここは、罪人が来る場所さね。アンバサ国に死刑はない。なぜだと思う? こういう場所があるからなんだよ」
「・・・・・・まさか。ここは重罪人だけが収容される『最期の石切場』?」
「正解だよ。おまえさんがどんな罪を犯したかは知らないが、確実にここで5年は生きられない。粉塵は肺を痛めるからな。あの防御マスクとサングラスの大男は現場監督で、あの装備は肺や目を守るためにしているのさ。わいらには。あのマスクもサングラスも支給されん」
「嘘だろ?オリーブを襲うとしただけじゃないか。酷すぎる!」
同じ労働者の中年男との会話で、僕は驚きの声をあげた。
「お前、まさかハーパー家当主を怒らせたオリーブ様の元婚約者なのか? 噂は聞いているよ。俺ら末端の作業員でもオリーブ様の婚約者が変わったのは知っているからなぁ。あの時はお祝いで大層なご馳走と臨時手当をいただけた」
大声をあげた僕に熊男が気づき、ゆっくりとこちらに近づいて来る。僕をじろじろと眺めてご機嫌に笑い出した。ポケットから無造作に出したリンゴと干し肉を僕に放り投げる。
「栄養失調で早々と死なれちゃ困る。せいぜい長生きして、地獄の生活を堪能してくれ。これはハーパー家に取り入るチャンスだ。毎日お前の様子を日誌につけてハーパー家に送ろう。きっとご褒美がたんともらえる」
リンゴをもらったことを喜んでいいのか、泣いていいのかわからない。腹が空きすぎて夜中にそれにかじりつくと、爽やかな甘酸っぱい香りが、一瞬遠い昔を思い出させた。アーサーとの幼い頃の一場面。
「にぃしゃまぁ、このリンゴおいちいね!」
幼い頃のアーサ-がまだ僕に懐いていたあの頃。僕もアーサーの優秀さに嫉妬を感じていなかったあの頃・・・・・・
あの頃は楽しかった。アーサーは素直で優しい弟だったのに・・・・・・
アーサ-と一緒に食べたリンゴを、今ではこんな状況で一人で食べている僕は惨めだ。
なんでこうなったんだろう?
泣きながら後悔した。
もう一度、人生がやり直せるなら、きっともっと努力する!
アーサーのように・・・・・・きっと・・・・・・
しかし、そんな日はもちろん来ない。僕はひたすらここで働き、朽ち果てていく・・・・・・
すみません、残酷度3みたい←読者様からのご意見で修正します。3です、3! ということは、残酷なものが苦手な方はご注意ください。一応R15にしときます。
結論、R15。残酷度3。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(カーター視点)
気がつくと粗末な部屋に転がされていた。色あせたカーテンに、床は泥やホコリだらけ。空気は淀んでいて、外からは怒声が聞こえてくる。
ここはどこだ?
「やっと、気がついたか? さぁ、早速だが働いてもらおうか。まだ若いし丈夫そうだ」
見知らぬ男は大きくて熊のようだ。大きなマスクと目のあたり全体を覆うサングラスをしている。まるで有害な物から自分を守るように。そう、ここは・・・・・・
☆彡
連れていかれた場所は石粉と埃がすごい石切場だ。大きなハンマーを渡されて、巨大な石を壊し運び出しやすい大きさにする。
「おい! お前、もっと丁寧に石を割れ! 石の小さな亀裂に向かってハンマーを下ろすんだよ。お貴族様や富豪達の床やテーブルになる貴重な石だぞ! お前よりも何百倍も価値があるんだ!」
その熊男に顔を殴りつけられ、教えられたようにやるがどうにもうまくいかない。ずっと文句をいわれ続け、手はしびれて痛いし足はふらふらだ。
休憩時間はほんの少しで、暗くなるまでひたすら石を割っていく。仕事が終わると埃まみれの汗まみれ。喉も痛いし、日焼けで肌がひりひりした。
貴族だったはずなのに日焼け!
僕の美貌が台無しだ。
夕飯はパンとあり得ないくらい薄いスープを、大部屋の床に座って食べる。ここにはテーブルも椅子もない。スープはパセリが浮かんだだけの塩辛いぬるま湯だ。
「肉は? 魚は? 野菜もないのか?」
「おまえさん。ここは、罪人が来る場所さね。アンバサ国に死刑はない。なぜだと思う? こういう場所があるからなんだよ」
「・・・・・・まさか。ここは重罪人だけが収容される『最期の石切場』?」
「正解だよ。おまえさんがどんな罪を犯したかは知らないが、確実にここで5年は生きられない。粉塵は肺を痛めるからな。あの防御マスクとサングラスの大男は現場監督で、あの装備は肺や目を守るためにしているのさ。わいらには。あのマスクもサングラスも支給されん」
「嘘だろ?オリーブを襲うとしただけじゃないか。酷すぎる!」
同じ労働者の中年男との会話で、僕は驚きの声をあげた。
「お前、まさかハーパー家当主を怒らせたオリーブ様の元婚約者なのか? 噂は聞いているよ。俺ら末端の作業員でもオリーブ様の婚約者が変わったのは知っているからなぁ。あの時はお祝いで大層なご馳走と臨時手当をいただけた」
大声をあげた僕に熊男が気づき、ゆっくりとこちらに近づいて来る。僕をじろじろと眺めてご機嫌に笑い出した。ポケットから無造作に出したリンゴと干し肉を僕に放り投げる。
「栄養失調で早々と死なれちゃ困る。せいぜい長生きして、地獄の生活を堪能してくれ。これはハーパー家に取り入るチャンスだ。毎日お前の様子を日誌につけてハーパー家に送ろう。きっとご褒美がたんともらえる」
リンゴをもらったことを喜んでいいのか、泣いていいのかわからない。腹が空きすぎて夜中にそれにかじりつくと、爽やかな甘酸っぱい香りが、一瞬遠い昔を思い出させた。アーサーとの幼い頃の一場面。
「にぃしゃまぁ、このリンゴおいちいね!」
幼い頃のアーサ-がまだ僕に懐いていたあの頃。僕もアーサーの優秀さに嫉妬を感じていなかったあの頃・・・・・・
あの頃は楽しかった。アーサーは素直で優しい弟だったのに・・・・・・
アーサ-と一緒に食べたリンゴを、今ではこんな状況で一人で食べている僕は惨めだ。
なんでこうなったんだろう?
泣きながら後悔した。
もう一度、人生がやり直せるなら、きっともっと努力する!
アーサーのように・・・・・・きっと・・・・・・
しかし、そんな日はもちろん来ない。僕はひたすらここで働き、朽ち果てていく・・・・・・
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