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前レイラ男爵夫人(グレイスの元姑)の処分その2(前レイラ男爵夫人side)
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私はドロリとした灰色の染料を頭にかけられた。目に入りそうになって、慌てて擦ると女主人がおかしそうに笑った。
「なんて酷い女だい! 人に染料をかけて笑うなんて! まともな人間がすることじゃぁないよ!」
わたしは、その女主人に人としての道を教えてやったんだ。
「驚いた! 自分がされると、これが悪いことだとはわかるんだね? お前は嫁にこうやって染料をかけながら喜んでいたと聞いたよ。今から、お前に自分がしたことが返ってくる。楽しみにしておいで」
その女主人は、心から楽しそうに笑った。
私は、その染料が目に入らないようにして水で頭を洗ったが落ちなかった。これじゃあ、私の美しかった髪が台なしだ。この世界では髪は女の命なのに!
「酷いよ。こんな変な色じゃぁ、、人前に出られやしない・・・・・・うっ、うっ、うっ。人でなしめっ!」
与えられた部屋は日も差さない汚い狭い部屋だった。暖房もないから、寒くて死にそうだ。布団も薄いしみだらけのものだ。こんな所じゃぁ、背中が痛くて寝られやしないよ。なんて酷いんだろうね! 私は、いつもふかふかの布団でシルクの寝間着を着て寝ていたのに。リリィのせいだ!
夜中にはネズミやゴキブリが出て、部屋の隅でガサゴソやっていた。気持ち悪いし身体も痒い。あぁ、なんでこうなったんだい! リリィ・・・・・・リリィは誰が連れてきた? アイザックだ! あのバカ息子のせいだ!
朝早くから晩まで働かされて、食事は干からびたようなパンとスープだけ。たまに、肉や魚がほんの一切れもらえた。こんなの食事って言えるかい! 誰のせいでこうなったんだ? あぁ、あんなバカ息子を産むんじゃなかった。産ませたのは夫だ。あのクソ男め! そもそも、あいつが一番悪い!
疲れて少しでも休んでいれば、女主人から殴られた。夫のせいだ!あんな男と一緒にならなければ良かった。
他の使用人からもばかにされ、私は『役立たずの厄介者』と呼ばれた。なんで、そんな酷いことが言えるんだい?『役立たず』なんて酷い言葉だ。人はなにかしら生きていれば人様の役に立つことだってできるのに・・・・・・
そんな暮らしが半年ほど続き、女主人が私を居間に呼び出した。
「さて、質問だ。お前がここに来たのは誰のせいだと思う?」
「誰のせい? リリィとアイザックと夫のせいさ! あぁ、あと、グレイスとカリブ伯爵、アレクサンダー様のせいでもある。そうだ、王様のせいでもある! あいつが、私をこんな目にあわせたんだ!」
私は獣が雄叫びを上げるように叫んだ。ん? 目の前に、ずいぶん汚いババァがいて、こちらを睨み付けていた。
「汚いババァめ! あっちにお行き!」
そう言いながら片手を振ると、その女もそっくり同じ動作をした。
「ちっ! 真似するんじゃないよ!」
私は、その女に掴みかかろうとし、鼻の頭を思いっきりぶつけた。まさか・・・・・・これは・・・・・・鏡?
髪は、灰色と緑のまだらで、身体はガリガリだ。目はくぼみ、頬はこけて皺だらけだった。猫背で腰が曲がりかかり眉間には深い皺が刻まれている。
やぶにらみの恨めしげな目つきと、への字に曲がった口はとても自分とは思えない。
これが、私? そんなはずはない! 私はもっと綺麗だったじゃないか! こんな汚い老婆なんか私なはずがない!
「これは、鏡さ。ここに映っている老婆がお前さんだよ! いつも、人のせいにして文句ばかり言っていたろう?だから、口がひん曲がった。人を恨んでばかりいたから目つきも変わった。全部、あんたの心の汚さが姿形に出たんだろうよ」
「嘘だ! これは私じゃない!」
「これは、紛れもないあんたさ。強欲でずるくて意地悪なあんた自身が作った顔さ」
「なんて酷い女だい! 人に染料をかけて笑うなんて! まともな人間がすることじゃぁないよ!」
わたしは、その女主人に人としての道を教えてやったんだ。
「驚いた! 自分がされると、これが悪いことだとはわかるんだね? お前は嫁にこうやって染料をかけながら喜んでいたと聞いたよ。今から、お前に自分がしたことが返ってくる。楽しみにしておいで」
その女主人は、心から楽しそうに笑った。
私は、その染料が目に入らないようにして水で頭を洗ったが落ちなかった。これじゃあ、私の美しかった髪が台なしだ。この世界では髪は女の命なのに!
「酷いよ。こんな変な色じゃぁ、、人前に出られやしない・・・・・・うっ、うっ、うっ。人でなしめっ!」
与えられた部屋は日も差さない汚い狭い部屋だった。暖房もないから、寒くて死にそうだ。布団も薄いしみだらけのものだ。こんな所じゃぁ、背中が痛くて寝られやしないよ。なんて酷いんだろうね! 私は、いつもふかふかの布団でシルクの寝間着を着て寝ていたのに。リリィのせいだ!
夜中にはネズミやゴキブリが出て、部屋の隅でガサゴソやっていた。気持ち悪いし身体も痒い。あぁ、なんでこうなったんだい! リリィ・・・・・・リリィは誰が連れてきた? アイザックだ! あのバカ息子のせいだ!
朝早くから晩まで働かされて、食事は干からびたようなパンとスープだけ。たまに、肉や魚がほんの一切れもらえた。こんなの食事って言えるかい! 誰のせいでこうなったんだ? あぁ、あんなバカ息子を産むんじゃなかった。産ませたのは夫だ。あのクソ男め! そもそも、あいつが一番悪い!
疲れて少しでも休んでいれば、女主人から殴られた。夫のせいだ!あんな男と一緒にならなければ良かった。
他の使用人からもばかにされ、私は『役立たずの厄介者』と呼ばれた。なんで、そんな酷いことが言えるんだい?『役立たず』なんて酷い言葉だ。人はなにかしら生きていれば人様の役に立つことだってできるのに・・・・・・
そんな暮らしが半年ほど続き、女主人が私を居間に呼び出した。
「さて、質問だ。お前がここに来たのは誰のせいだと思う?」
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私は獣が雄叫びを上げるように叫んだ。ん? 目の前に、ずいぶん汚いババァがいて、こちらを睨み付けていた。
「汚いババァめ! あっちにお行き!」
そう言いながら片手を振ると、その女もそっくり同じ動作をした。
「ちっ! 真似するんじゃないよ!」
私は、その女に掴みかかろうとし、鼻の頭を思いっきりぶつけた。まさか・・・・・・これは・・・・・・鏡?
髪は、灰色と緑のまだらで、身体はガリガリだ。目はくぼみ、頬はこけて皺だらけだった。猫背で腰が曲がりかかり眉間には深い皺が刻まれている。
やぶにらみの恨めしげな目つきと、への字に曲がった口はとても自分とは思えない。
これが、私? そんなはずはない! 私はもっと綺麗だったじゃないか! こんな汚い老婆なんか私なはずがない!
「これは、鏡さ。ここに映っている老婆がお前さんだよ! いつも、人のせいにして文句ばかり言っていたろう?だから、口がひん曲がった。人を恨んでばかりいたから目つきも変わった。全部、あんたの心の汚さが姿形に出たんだろうよ」
「嘘だ! これは私じゃない!」
「これは、紛れもないあんたさ。強欲でずるくて意地悪なあんた自身が作った顔さ」
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