29 / 45
26 緑の奇跡を起こす皇太子妃
しおりを挟む
サスペンダー公爵令嬢の騒動から一年。私は枯れた木々を蘇らせ、新たな命を吹き込む。私を人々は「妖精王の愛し子」や「緑の奇跡」と呼んだ。私が触れた木は不思議な力で再び生命を取り戻し、新緑が広がっていくのよ。
私が触れた瞬間、木々は再び芽吹き、根が地中深くに張り巡らされるのを感じた。荒れ地には綺麗な花々が咲き乱れ、それは花だけにとどまらずその地全体を活気づけ、命を宿らせる肥沃な土地に変えていった。
そんななか、私とヴァルナス皇太子殿下は愛を育む。
「結婚式はしなくて良いです。だって私はルコント王国では亡くなった身ですから」
「いや、結婚式は盛大にする。あちらの王族を招き、ステファニーが幸せになったことを知らせてやろう。もちろんステファニーの両親も招くさ」
「え? お父様達も? お父様やお母様達はお元気なのでしょうか? 来て頂けるのかしら?」
「俺がステフの両親を放っておくと思ったか? かなり前から連絡をとっていた。逐一ステフのことは知らせていたし、あちらの屋敷の警護も帝国の騎士達を向かわせ、邪悪な王妃から守っていたのだ」
私は今までずっとお父様達には二度と会えないと思っていたのに、それが会えるとわかりヴァルナス皇太子殿下に抱きついた。
「ありがとうございます! 最高の私へのプレゼントですわ」
ヴァルナス皇太子殿下は満足そうに微笑んだ。私は大好きな彼の耳を優しく撫でた。彼の尻尾は穏やかに揺れていて、リラックスして機嫌がいいことを物語っていた。
その頃ルコント王国ではブリュボン帝国からの、皇太子の結婚式の招待状に騒然となっていた。
「なぜあまり国交のない小国の私達に招待状がきたのかしら?」
キャサリン王妃が首を傾げる。
「とにかく、あちらは豊かで軍事力もなにもかもが我が国より上だ。この機会に仲良くしておけば損はない」
国王は大国に取り入る気満々で下卑た笑みを浮かべた。
「そういえば皇太子妃になられる方は緑の髪をもち、「妖精王の愛し子」と呼ばれているそうです。荒れ地を緑豊かな土地に変えることができると聞きました。このルコント王国にも手を貸してくださるようにお願いしたらどうでしょうか?」
レオナード王太子は期待に胸をはずませ、傍らには王太子妃となったバーバラが寄り添っていたのだった。
私が触れた瞬間、木々は再び芽吹き、根が地中深くに張り巡らされるのを感じた。荒れ地には綺麗な花々が咲き乱れ、それは花だけにとどまらずその地全体を活気づけ、命を宿らせる肥沃な土地に変えていった。
そんななか、私とヴァルナス皇太子殿下は愛を育む。
「結婚式はしなくて良いです。だって私はルコント王国では亡くなった身ですから」
「いや、結婚式は盛大にする。あちらの王族を招き、ステファニーが幸せになったことを知らせてやろう。もちろんステファニーの両親も招くさ」
「え? お父様達も? お父様やお母様達はお元気なのでしょうか? 来て頂けるのかしら?」
「俺がステフの両親を放っておくと思ったか? かなり前から連絡をとっていた。逐一ステフのことは知らせていたし、あちらの屋敷の警護も帝国の騎士達を向かわせ、邪悪な王妃から守っていたのだ」
私は今までずっとお父様達には二度と会えないと思っていたのに、それが会えるとわかりヴァルナス皇太子殿下に抱きついた。
「ありがとうございます! 最高の私へのプレゼントですわ」
ヴァルナス皇太子殿下は満足そうに微笑んだ。私は大好きな彼の耳を優しく撫でた。彼の尻尾は穏やかに揺れていて、リラックスして機嫌がいいことを物語っていた。
その頃ルコント王国ではブリュボン帝国からの、皇太子の結婚式の招待状に騒然となっていた。
「なぜあまり国交のない小国の私達に招待状がきたのかしら?」
キャサリン王妃が首を傾げる。
「とにかく、あちらは豊かで軍事力もなにもかもが我が国より上だ。この機会に仲良くしておけば損はない」
国王は大国に取り入る気満々で下卑た笑みを浮かべた。
「そういえば皇太子妃になられる方は緑の髪をもち、「妖精王の愛し子」と呼ばれているそうです。荒れ地を緑豊かな土地に変えることができると聞きました。このルコント王国にも手を貸してくださるようにお願いしたらどうでしょうか?」
レオナード王太子は期待に胸をはずませ、傍らには王太子妃となったバーバラが寄り添っていたのだった。
15
お気に入りに追加
2,379
あなたにおすすめの小説
妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。
しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。
それを指示したのは、妹であるエライザであった。
姉が幸せになることを憎んだのだ。
容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、
顔が醜いことから蔑まされてきた自分。
やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。
しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。
幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。
もう二度と死なない。
そう、心に決めて。
身分を捨てて楽になりたい!婚約者はお譲りしますわね。
さこの
恋愛
ライアン王子には婚約者がいる。
侯爵家の長女ヴィクトリアと言った。
しかしお忍びで街に出て平民の女性ベラと出あってしまった。
ベラと結婚すると国民から人気になるだろう。シンデレラストーリだ。
しかしライアンの婚約者は侯爵令嬢ヴィクトリア。この国で5本指に入るほどの名家だ。まずはヴィクトリアと結婚した後、ベラと籍を入れれば問題はない。
そして結婚式当日、侯爵家の令嬢ヴィクトリアが来るはずだった結婚式に現れたのは……
緩い設定です。
HOTランキング入り致しました.ᐟ.ᐟ
ありがとうございます( .ˬ.)"2021/12/01
婚約破棄は旅のはじまり
青空一夏
恋愛
腹違いの妹に偽りの罪をきさせられて皇太子に婚約破棄されたサマンサは実はこうなることを6歳の時から知っていた。
元聖女様に幼い頃からその未来を予言されていたのだ。魔法と聖女の癒やしの力を身につけたサマンサが旅をしながら愛をさがしていく物語。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
【完結】「冤罪で処刑された公爵令嬢はタイムリープする〜二度目の人生は殺(や)られる前に殺(や)ってやりますわ!」
まほりろ
恋愛
【完結しました】
アリシア・フォスターは第一王子の婚約者だった。
だが卒業パーティで第一王子とその仲間たちに冤罪をかけられ、弁解することも許されず、その場で斬り殺されてしまう。
気がつけば、アリシアは十歳の誕生日までタイムリープしていた。
「二度目の人生は|殺《や》られる前に|殺《や》ってやりますわ!」
アリシアはやり直す前の人生で、自分を殺した者たちへの復讐を誓う。
敵は第一王子のスタン、男爵令嬢のゲレ、義弟(いとこ)のルーウィー、騎士団長の息子のジェイ、宰相の息子のカスパーの五人。
アリシアは父親と信頼のおけるメイドを仲間につけ、一人づつ確実に報復していく。
前回の人生では出会うことのなかった隣国の第三皇子に好意を持たれ……。
☆
※ざまぁ有り(死ネタ有り)
※虫を潰すように、さくさく敵を抹殺していきます。
※ヒロインのパパは味方です。
※他サイトにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※本編1〜14話。タイムリープしたヒロインが、タイムリープする前の人生で自分を殺した相手を、ぷちぷちと潰していく話です。
※番外編15〜26話。タイムリープする前の時間軸で、娘を殺された公爵が、娘を殺した相手を捻り潰していく話です。
2022年3月8日HOTランキング7位! ありがとうございます!
義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!
ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。
貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。
実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。
嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。
そして告げられたのは。
「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」
理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。
…はずだったが。
「やった!自由だ!」
夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。
これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが…
これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。
生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。
縁を切ったはずが…
「生活費を負担してちょうだい」
「可愛い妹の為でしょ?」
手のひらを返すのだった。
見捨てられた逆行令嬢は幸せを掴みたい
水空 葵
恋愛
一生大切にすると、次期伯爵のオズワルド様に誓われたはずだった。
それなのに、私が懐妊してからの彼は愛人のリリア様だけを守っている。
リリア様にプレゼントをする余裕はあっても、私は食事さえ満足に食べられない。
そんな状況で弱っていた私は、出産に耐えられなくて死んだ……みたい。
でも、次に目を覚ました時。
どういうわけか結婚する前に巻き戻っていた。
二度目の人生。
今度は苦しんで死にたくないから、オズワルド様との婚約は解消することに決めた。それと、彼には私の苦しみをプレゼントすることにしました。
一度婚約破棄したら良縁なんて望めないから、一人で生きていくことに決めているから、醜聞なんて気にしない。
そう決めて行動したせいで良くない噂が流れたのに、どうして次期侯爵様からの縁談が届いたのでしょうか?
※カクヨム様と小説家になろう様でも連載中・連載予定です。
7/23 女性向けHOTランキング1位になりました。ありがとうございますm(__)m
婚約者の妹が結婚式に乗り込んで来たのですが〜どうやら、私の婚約者は妹と浮気していたようです〜
あーもんど
恋愛
結婚式の途中……誓いのキスをする直前で、見知らぬ女性が会場に乗り込んできた。
そして、その女性は『そこの芋女!さっさと“お兄様”から、離れなさい!ブスのくせにお兄様と結婚しようだなんて、図々しいにも程があるわ!』と私を罵り、
『それに私達は体の相性も抜群なんだから!』とまさかの浮気を暴露!
そして、結婚式は中止。婚約ももちろん破談。
────婚約者様、お覚悟よろしいですね?
※本作はメモの中に眠っていた作品をリメイクしたものです。クオリティは高くありません。
※第二章から人が死ぬ描写がありますので閲覧注意です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる