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1 従姉妹がそれほど好きですか?
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「ごめんよ、1時間も待たせたね・・・・・・アンナが咳き込んでいたものだから」
私の婚約者のロメオ・カマボ伯爵次男が当然のように言い訳をしてきた。
「ねぇ、あなたは私を舐めてるの? あなたは私の婚約者なのよ! しかもカマボ伯爵家は私の家から資金援助を受けているのよ」
週に一回のデートは、アンナという彼の従姉妹が隣国からやって来てからいつもこんな調子だ。今回のような1時間の遅刻ならまだマシで、1日待ち続けてすっぽかされたことさえあった。
「当家は侯爵家ですよ! 格上の私によくもこんな真似できますわね? しかもアンナは男爵令嬢で療養の為にこちらに来たあなたの従姉妹にすぎない。 なぜ私よりそちらを優先するのかしら?」
「・・・・・・申し訳ない・・・・・・しかし、あの子は私だけが頼りなんだよ。放っておけない」
「そうですか・・・・・・だったら私にも考えがありますわ」
私はいい加減腹が立ち、婚約者に捨てセリフを吐いてその場を後にした。
「ちょうどいいわ。このタイミングで別れるのはお互いにとっていいことよ・・・・・」
私は、心のなかでそう思いながら家路を急いだ。
婚約破棄をしようと心に決めたその3日後、偶然夜会でこの二人の会話を聞いてしまった私。
「ねぇ、ロメオ! リリ・マスカ侯爵令嬢と結婚したらリリにナイショで愛人にしてくれるのよね?」
「あぁ、もちろんさ! あんな気の強い女はうんざりだからな。結婚後はいっそのこと毒でも飲ませてアンナを妻に迎えたいぐらいだ。リリ、死ねばいいな。あぁ、ついでにあいつの妹のアニーも死ねば、マスカ侯爵家の財産は全て私のものだ」
――ふっ。そんな考えだったのね? だったら、あなたとは別れないわよ。
私は庭園の隅で私と妹への殺意にまみれた会話を聞き、ほの暗い笑みを浮かべたのだった。
私の婚約者のロメオ・カマボ伯爵次男が当然のように言い訳をしてきた。
「ねぇ、あなたは私を舐めてるの? あなたは私の婚約者なのよ! しかもカマボ伯爵家は私の家から資金援助を受けているのよ」
週に一回のデートは、アンナという彼の従姉妹が隣国からやって来てからいつもこんな調子だ。今回のような1時間の遅刻ならまだマシで、1日待ち続けてすっぽかされたことさえあった。
「当家は侯爵家ですよ! 格上の私によくもこんな真似できますわね? しかもアンナは男爵令嬢で療養の為にこちらに来たあなたの従姉妹にすぎない。 なぜ私よりそちらを優先するのかしら?」
「・・・・・・申し訳ない・・・・・・しかし、あの子は私だけが頼りなんだよ。放っておけない」
「そうですか・・・・・・だったら私にも考えがありますわ」
私はいい加減腹が立ち、婚約者に捨てセリフを吐いてその場を後にした。
「ちょうどいいわ。このタイミングで別れるのはお互いにとっていいことよ・・・・・」
私は、心のなかでそう思いながら家路を急いだ。
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「ねぇ、ロメオ! リリ・マスカ侯爵令嬢と結婚したらリリにナイショで愛人にしてくれるのよね?」
「あぁ、もちろんさ! あんな気の強い女はうんざりだからな。結婚後はいっそのこと毒でも飲ませてアンナを妻に迎えたいぐらいだ。リリ、死ねばいいな。あぁ、ついでにあいつの妹のアニーも死ねば、マスカ侯爵家の財産は全て私のものだ」
――ふっ。そんな考えだったのね? だったら、あなたとは別れないわよ。
私は庭園の隅で私と妹への殺意にまみれた会話を聞き、ほの暗い笑みを浮かべたのだった。
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