1 / 1
理想の王妃様
しおりを挟む
公爵令嬢イライザとフィリップ第一王子はうまれたときから、婚約者だった。
5歳の春
「イライザ!魔法の勉強が面倒だ、どうしたらいい?」
「私が代わりにやっておきましょうか?」
「そうか?ありがとう」
10歳の春
「イライザ!政治の勉強が難しすぎる!」
「はい、やっておきましょう」
15歳の春
「イライザ!経済の勉強は苦手だ!いつものようにやっておけ!」
「かしこまりました」
◆◆☆
18歳の春、王妃になった。
「イライザ!もう面倒なことは全部おまえがやれ!俺は側妃のアイリスとオペラを見に行く」
「かしこまりました。いってらっしゃいませ」ふわりとイライザは微笑む。
「イライザ様は天使のよう。いつも、春のような微笑みを浮かべていらっしゃる。」
「陛下に仕事を全部押しつけられても文句ひとつ言わない」
召使いたちは噂する。
◆◆☆
「イライザ様、私、新しいドレスと宝石がほしいですわ」アイリスが言う。
「わかりました。すぐに御用達商人を呼びますわ」
アイリスは商人が並べた宝石の中でひときわ大きなダイヤを選ぶ。
「これにするわ!」
「まぁーとてもお似合いです。アイリス様の可愛いお顔立ちがさらに映えますわね!」
春のように朗らかにイライザは微笑む。
「イライザ様もいかがですか?」商人が勧める。
「いいえ、私は今もっているもので充分です」
アイリスが宝石をちりばめた鮮やかなブルーの、レースやフリルをふんだんにあしらったドレスを選べば、イライザ
は宝石もなにもないクリーム色のシンプルなドレスを選ぶ。
「アイリス様はいつも高価な宝石を買ってばかり!」
「アイリス様はいつも高価なドレスを買ってばかり!」
商人たちは噂する。
「イライザ!アイリスと夜会に行く」
「イライザ!アイリスと観劇に行く」
フィリップとアイリスはいつもたくさんお金を使い遊びほうけているばかり。
聖女のはずのアイリスは祈ることも少なくなり
「今日も教会に行かなくていいわよねぇーイライザ様、代わりにあなたが行って?」
「わかりました。」春の暖かな微笑みでイライザが答える。
「あんな王と側妃って必要?」
「いらなくないか?」
噂は広まり、人々は激怒する。
「俺は、愛するアイリスのために、宮殿を建てる!」王が国民に宣言すると
ついに、国民の怒りが爆発した。
革命がおき、王と側妃は処刑された。
イライザは民の怒りをかうこともなく、処刑もされなかった。
それどころか、理想の王妃、聖女とも呼ばれ歴史上に残る人物となった。
が、残念なことに革命の後に、どのような人生をたどったかは誰も知らないのだった。
◆◆☆
まばゆいシャンデリアが怪しくきらめき
血のように赤いじゅうたんが敷き詰められた大広間。
黒い翼をもったお仕着せの執事服を着た美青年が嬉しそうに微笑む。
「サタン様。お早いお帰りで。お楽しみになられましたか?」
「いいえ、賢王と聖女の堕落は、あっけなさすぎましたわ」
クリーム色のドレスを着たサタンと呼ばれた女性は春の暖かな微笑みをふわりと浮かべた。
完
5歳の春
「イライザ!魔法の勉強が面倒だ、どうしたらいい?」
「私が代わりにやっておきましょうか?」
「そうか?ありがとう」
10歳の春
「イライザ!政治の勉強が難しすぎる!」
「はい、やっておきましょう」
15歳の春
「イライザ!経済の勉強は苦手だ!いつものようにやっておけ!」
「かしこまりました」
◆◆☆
18歳の春、王妃になった。
「イライザ!もう面倒なことは全部おまえがやれ!俺は側妃のアイリスとオペラを見に行く」
「かしこまりました。いってらっしゃいませ」ふわりとイライザは微笑む。
「イライザ様は天使のよう。いつも、春のような微笑みを浮かべていらっしゃる。」
「陛下に仕事を全部押しつけられても文句ひとつ言わない」
召使いたちは噂する。
◆◆☆
「イライザ様、私、新しいドレスと宝石がほしいですわ」アイリスが言う。
「わかりました。すぐに御用達商人を呼びますわ」
アイリスは商人が並べた宝石の中でひときわ大きなダイヤを選ぶ。
「これにするわ!」
「まぁーとてもお似合いです。アイリス様の可愛いお顔立ちがさらに映えますわね!」
春のように朗らかにイライザは微笑む。
「イライザ様もいかがですか?」商人が勧める。
「いいえ、私は今もっているもので充分です」
アイリスが宝石をちりばめた鮮やかなブルーの、レースやフリルをふんだんにあしらったドレスを選べば、イライザ
は宝石もなにもないクリーム色のシンプルなドレスを選ぶ。
「アイリス様はいつも高価な宝石を買ってばかり!」
「アイリス様はいつも高価なドレスを買ってばかり!」
商人たちは噂する。
「イライザ!アイリスと夜会に行く」
「イライザ!アイリスと観劇に行く」
フィリップとアイリスはいつもたくさんお金を使い遊びほうけているばかり。
聖女のはずのアイリスは祈ることも少なくなり
「今日も教会に行かなくていいわよねぇーイライザ様、代わりにあなたが行って?」
「わかりました。」春の暖かな微笑みでイライザが答える。
「あんな王と側妃って必要?」
「いらなくないか?」
噂は広まり、人々は激怒する。
「俺は、愛するアイリスのために、宮殿を建てる!」王が国民に宣言すると
ついに、国民の怒りが爆発した。
革命がおき、王と側妃は処刑された。
イライザは民の怒りをかうこともなく、処刑もされなかった。
それどころか、理想の王妃、聖女とも呼ばれ歴史上に残る人物となった。
が、残念なことに革命の後に、どのような人生をたどったかは誰も知らないのだった。
◆◆☆
まばゆいシャンデリアが怪しくきらめき
血のように赤いじゅうたんが敷き詰められた大広間。
黒い翼をもったお仕着せの執事服を着た美青年が嬉しそうに微笑む。
「サタン様。お早いお帰りで。お楽しみになられましたか?」
「いいえ、賢王と聖女の堕落は、あっけなさすぎましたわ」
クリーム色のドレスを着たサタンと呼ばれた女性は春の暖かな微笑みをふわりと浮かべた。
完
170
お気に入りに追加
69
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
かつて聖女は悪女と呼ばれていた
楪巴 (ゆずりは)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」
この聖女、悪女よりもタチが悪い!?
悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!!
聖女が華麗にざまぁします♪
※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨
※ 悪女視点と聖女視点があります。
※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
え?
えええええ??
そ、そういう事?
😨
正しくサタンさま
ですよね!
本来ならちゃんとした賢王と聖女
のはずが、周りの人や環境で
一歩も二歩も間違えて…
処刑とは!
くわばらくわばら(笑)
感想ありがとうございまぁす(*^。^*)
そうそう
この方はサタン様だったの😓
なんつーか
甘やかすとせっかくの素質や才能も台無しになるという
教訓めいたお話になっております😁
コメントをお寄せくださり感謝💐です🎶☺️
退会済ユーザのコメントです
Maro様
感想、ありがとうございまぁす😆