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IF R15 キャリーの末路

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 ※もし、この世界がもう少し厳しい世界だったら。R15です。絞首刑の場面がでてきます。自己判断でお読みください。



•───⋅⋆⁺‧₊☽⛦☾₊‧⁺⋆⋅───•



 「キャリー。お前の罪は重い。まずは身分を詐称し、クロネリー男爵令嬢と偽ってきたこと。マリー嬢を虐げていたこと。クロネリー男爵夫人に毒を盛ったこと。さらには、エジャートン公爵夫妻やエレノア嬢を事故死させようとしたこと……」

「事故死させようとはしていません。事故死すれば良いのに、と願っただけで、実行してはいません」

「平民がそんな大それたことを、口にするだけでも大罪である。実際、クロネリー男爵夫人には毒を盛っている。余はこのキャリーを絞首刑とする!」
 キャリーはショックのあまり倒れそうになりながらも抵抗するが、王家の騎士は厳しい面持ちでキャリーを地下牢に引きずっていった。

 

 処刑当日、澄み切った青空がどこまでも広がり、雲一つ見当たらない。柔らかな陽光が地上に降り注ぎ、草木がその光を受けて生き生きと輝いていた。そよ風が軽やかに吹き抜け、花の香りを運んできては頬を優しく撫でていく。

 (これから私は処刑されるのに……世界はなんでこんなにも穏やかなの?)
  
 絞首台が設置された広場には多くの見物客がひしめいていた。キャリーの胃の奥がじわじわと重たくなり、足が鉛のように動かない。

 「さっさと階段を登れ!」
 死刑執行人の役人たちが、キャリーの背中を乱暴に押した。あまりの恐ろしさに足が震える。
 
 手のひらには汗が滲み、袖で拭っても拭っても乾くことがない。胸の鼓動は早く、これほどまでに時間がゆっくりと進む感覚は、今までなかったかもしれない。

 絞首台の階段の前に立つと、耳の奥で耳鳴りがした。今さら逃げることなんてできないのに、視線をあたりにさまよわせ、なんとか絞首刑を避ける方法を考える。しかし、そんな方法はどこにもないのだ。

 一歩一歩階段を登り、首を吊る縄の前で立ち止まる。

(誰か、助けて……なんで、こんなことで死刑になるの? 私はただ貴族の令嬢として贅沢で楽しい生活がしたかっただけなのに……)

 縄で作られた輪の中に、キャリーの首が乱暴に押し込められる。観衆が騒ぎ立て、腐った生卵がキャリーの顔めがけて飛んできた。やがて、落とし戸が組み込まれた絞首台の戸が開く。一気に落下したキャリーは……




 死刑執行人の役人たちが、キャリーの亡骸を片付けながらもつぶやいた。

 「もっと、真面目に生きていれば、こんなことにはならなかったのに」

 平民であることが判明したキャリーは、罪人が合同で葬られる墓地に埋められたのだった。
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