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22 魔界の楽しいお祭り(星々の祭り)
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魔界の夜空に輝く星々を祝う祭りが行われた日のことである。この日は魔族たちが集まり、幻想的な光のショーとともに、豊穣と繁栄が祈られた。
魔界の広大な平原が祭りの会場で、夜空に向けて設置された光の装飾が美しく輝く。高い塔や木々には、発光するランタンや魔法の結晶が飾られていた。
空を飛ぶドラゴンの形をした光のシンボルが浮かび上がり、音楽とともに華麗なダンスが披露される。空中には、星座の形をした光の道が作られ、観客がそれに沿って歩くことで、星座の物語を体験できた。
祭りの出店には、輝く花のエキスを使った飲み物や、光る砂糖菓子、魔界の果実を使ったスイーツが並ぶ。特に人気なのは、夜空の色に似た青いカクテルだ。
祭りのクライマックスには、魔界の長老たちによる星の神への祈りが行われる。参加者は小さな星形のランタンを手にし、夜空に放つことで、願い事が叶うと信じていた。
星々の祭りはそのような楽しい祭りであった。だが、魔王はアリアナの周囲を取り囲むように護衛を配置し、誰も彼女に近づけないようにした。魔王はアリアナの安全を第一に考え、他の参加者が近づくたびに警戒心を強めた。結果的に、アリアナには護衛の姿しか見えなくて、祭りの雰囲気を楽しむこともできない。
「我が妃には、誰も近づけさせない」
その言葉にアリアナは他の人々との交流を断たれ、呆れと窮屈さを感じる。
「ダリの気持ちもわかるけれど、もう少しなんとかならないですか? これでは屋台が立ち並んでいる様子もわかりませんし、お祭りに来た気がしないです。例えば、透明なバリアーを私に張ってくださるとか?」
「おぉ、その手があったな。アリアナには聖域を守る為の強力な結界を張り巡らそう。うんうん、なぜ、早く思いつかなかったのだろうか?」
「へ? 結界は通常、大規模なエリアや特定の対象を長期間保護・封じ込めるために設置されますよね? 国を守るためにも使う最上位の強力な魔法では?」
「その通り! 我が妃は国と同じぐらい大事であるし、私にとっては魔界よりも遙かに大事な物だ。ゆえに、結界でアリアナの安全は永久に守る!」
それ以来、アリアナが外出する際は、魔王にお姫様抱っこされるか、透明な丸い結界に守られて、地面からわずかに浮いた状態で移動することになった。この結界は、ふわりふわりとアリアナの行きたい場所へと運んでくれるものの、そのためにアリアナは不満の声を上げることになるのだった。
「ダリ! このままでは足腰が衰えてしまうわ。一歩も歩かないなんて、魔族としても不健康よ!」
魔王の過剰な溺愛は、まだまだ続くのだった。
魔界の広大な平原が祭りの会場で、夜空に向けて設置された光の装飾が美しく輝く。高い塔や木々には、発光するランタンや魔法の結晶が飾られていた。
空を飛ぶドラゴンの形をした光のシンボルが浮かび上がり、音楽とともに華麗なダンスが披露される。空中には、星座の形をした光の道が作られ、観客がそれに沿って歩くことで、星座の物語を体験できた。
祭りの出店には、輝く花のエキスを使った飲み物や、光る砂糖菓子、魔界の果実を使ったスイーツが並ぶ。特に人気なのは、夜空の色に似た青いカクテルだ。
祭りのクライマックスには、魔界の長老たちによる星の神への祈りが行われる。参加者は小さな星形のランタンを手にし、夜空に放つことで、願い事が叶うと信じていた。
星々の祭りはそのような楽しい祭りであった。だが、魔王はアリアナの周囲を取り囲むように護衛を配置し、誰も彼女に近づけないようにした。魔王はアリアナの安全を第一に考え、他の参加者が近づくたびに警戒心を強めた。結果的に、アリアナには護衛の姿しか見えなくて、祭りの雰囲気を楽しむこともできない。
「我が妃には、誰も近づけさせない」
その言葉にアリアナは他の人々との交流を断たれ、呆れと窮屈さを感じる。
「ダリの気持ちもわかるけれど、もう少しなんとかならないですか? これでは屋台が立ち並んでいる様子もわかりませんし、お祭りに来た気がしないです。例えば、透明なバリアーを私に張ってくださるとか?」
「おぉ、その手があったな。アリアナには聖域を守る為の強力な結界を張り巡らそう。うんうん、なぜ、早く思いつかなかったのだろうか?」
「へ? 結界は通常、大規模なエリアや特定の対象を長期間保護・封じ込めるために設置されますよね? 国を守るためにも使う最上位の強力な魔法では?」
「その通り! 我が妃は国と同じぐらい大事であるし、私にとっては魔界よりも遙かに大事な物だ。ゆえに、結界でアリアナの安全は永久に守る!」
それ以来、アリアナが外出する際は、魔王にお姫様抱っこされるか、透明な丸い結界に守られて、地面からわずかに浮いた状態で移動することになった。この結界は、ふわりふわりとアリアナの行きたい場所へと運んでくれるものの、そのためにアリアナは不満の声を上げることになるのだった。
「ダリ! このままでは足腰が衰えてしまうわ。一歩も歩かないなんて、魔族としても不健康よ!」
魔王の過剰な溺愛は、まだまだ続くのだった。
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