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12 牢にいれられたわけを話すアリアナ
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魔王はイジワルーイの嘘を見抜けず、メイド部屋に住まわせたことを深く詫びた。
「すまなかったな。まさか、イジワルーイがそんな嘘をつくとは思ってもいなかったのだよ。言ってくれないとわからないこともある。これからは、なんでも私に言ってほしい」
「えぇ。ありがとうございます。イジワルーイ様を責めないであげてくださいね。あの方は魔王様を慕っていただけです。長年慕っていた異性に振り向いてもらえないのは辛いでしょうからね」
「アリアナはレオナルドを慕っていたか? 妹ではなく、本当は君が王太子の婚約者で、あいつの仕事を手伝っていたのだろう? いや、押しつけられていたと聞いた。地下牢に入れられていたのも、使い魔の鳥から聞いている」
魔王は、レオナルドの名を発音した時、胸に鋭い痛みを感じた。アリアナが他の男と婚約していたと考えると、思わず不機嫌になる自分が不思議でならなかった。
「知っていたのですね? 罪人の公爵令嬢を魔王様の花嫁に推してきたレオナルド王太子たちを、さぞ腹立たしく思ったことでしょう? ですが、私はなにもやましいことはしていません。レオナルド王太子が、妹のエリナを妃に迎えたかっただけのことです……」
アリアナは自分に負わされたえん罪について詳しく説明した。
「たったそれだけのことで、アリアナを罪に陥れたのか? エリナと結婚したかったのなら、穏便に婚約解消ですむ話だ。なぜ、わざわざ罪人にするんだ?」
魔王は眉根に皺をよせながら首を傾げた。
「人間って本当に残酷だわ。アリアナ、これから復讐に行こう!」
ジョアンナはぷりぷりと怒っていた。
「私はここに来られて、以前よりも楽しく生活しているわ。ジョアンナの気持ちは嬉しいけれど、特に復讐する必要はないのよ」
「エリナか。不埒な女め。そういえば、あの果実をもっとほしいと言ってきたぞ。心の醜さが顔に表れるような果実に変えて、たくさん王宮に贈ってやろう。初めは美しくなるが、徐々にその効果は薄れ、内面と同じくらい醜くなっていく」
魔王の隣にいたカイルは、アリアナの話を聞いて、邪悪なエリナを懲らしめたいと思った。魔界警察の長であるカイルは、罪のない者にえん罪を着せる邪な者を許せない。カイルもリオン同様、正義感が強く、曲がったことが大嫌いだったのだ。
「それは面白い。醜くなったエリナは綺麗になろうとして、ますます果実に食らいつく。そうして、なおさら醜くなっていく・・・・・・懲らしめるにはとても楽しい方法だな」
ゼインはニヤリと笑った。
アリアナは眉を八の字にして、不安げな表情だった。自分があれほど辛い目にあわされたのに、妹が酷い目にあうことは望んでいないようだった。そんな様子も魔王には好ましく映っていた。
「悔い改めて清い心になったらもとに戻る、というふうにすれば、アリアナの心は痛まないだろう? これはエリナのためにもなる善行なのだよ」
魔王はアリアナに、にっこりと笑いかけた。
「エリナのためにもなる・・・・・・確かに、そうですね。正しい心になれば姿が戻るのであれば、いきすぎた罰ではないです」
アリアナは安心したように微笑んだ。
そういったわけで、魔法の果実が大量にエリナのもとに送られたのであった。
「すまなかったな。まさか、イジワルーイがそんな嘘をつくとは思ってもいなかったのだよ。言ってくれないとわからないこともある。これからは、なんでも私に言ってほしい」
「えぇ。ありがとうございます。イジワルーイ様を責めないであげてくださいね。あの方は魔王様を慕っていただけです。長年慕っていた異性に振り向いてもらえないのは辛いでしょうからね」
「アリアナはレオナルドを慕っていたか? 妹ではなく、本当は君が王太子の婚約者で、あいつの仕事を手伝っていたのだろう? いや、押しつけられていたと聞いた。地下牢に入れられていたのも、使い魔の鳥から聞いている」
魔王は、レオナルドの名を発音した時、胸に鋭い痛みを感じた。アリアナが他の男と婚約していたと考えると、思わず不機嫌になる自分が不思議でならなかった。
「知っていたのですね? 罪人の公爵令嬢を魔王様の花嫁に推してきたレオナルド王太子たちを、さぞ腹立たしく思ったことでしょう? ですが、私はなにもやましいことはしていません。レオナルド王太子が、妹のエリナを妃に迎えたかっただけのことです……」
アリアナは自分に負わされたえん罪について詳しく説明した。
「たったそれだけのことで、アリアナを罪に陥れたのか? エリナと結婚したかったのなら、穏便に婚約解消ですむ話だ。なぜ、わざわざ罪人にするんだ?」
魔王は眉根に皺をよせながら首を傾げた。
「人間って本当に残酷だわ。アリアナ、これから復讐に行こう!」
ジョアンナはぷりぷりと怒っていた。
「私はここに来られて、以前よりも楽しく生活しているわ。ジョアンナの気持ちは嬉しいけれど、特に復讐する必要はないのよ」
「エリナか。不埒な女め。そういえば、あの果実をもっとほしいと言ってきたぞ。心の醜さが顔に表れるような果実に変えて、たくさん王宮に贈ってやろう。初めは美しくなるが、徐々にその効果は薄れ、内面と同じくらい醜くなっていく」
魔王の隣にいたカイルは、アリアナの話を聞いて、邪悪なエリナを懲らしめたいと思った。魔界警察の長であるカイルは、罪のない者にえん罪を着せる邪な者を許せない。カイルもリオン同様、正義感が強く、曲がったことが大嫌いだったのだ。
「それは面白い。醜くなったエリナは綺麗になろうとして、ますます果実に食らいつく。そうして、なおさら醜くなっていく・・・・・・懲らしめるにはとても楽しい方法だな」
ゼインはニヤリと笑った。
アリアナは眉を八の字にして、不安げな表情だった。自分があれほど辛い目にあわされたのに、妹が酷い目にあうことは望んでいないようだった。そんな様子も魔王には好ましく映っていた。
「悔い改めて清い心になったらもとに戻る、というふうにすれば、アリアナの心は痛まないだろう? これはエリナのためにもなる善行なのだよ」
魔王はアリアナに、にっこりと笑いかけた。
「エリナのためにもなる・・・・・・確かに、そうですね。正しい心になれば姿が戻るのであれば、いきすぎた罰ではないです」
アリアナは安心したように微笑んだ。
そういったわけで、魔法の果実が大量にエリナのもとに送られたのであった。
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