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3 婚約破棄され罪を着せられるアリアナ

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 アリアナとレオナルドとの結婚式がひと月後に迫ったある日のこと。
 アリアナは王宮にある謁見の間に呼ばれた。
 そこでは、国王をはじめ、大臣や役人たち、クレスウエル公爵夫妻アリアナの両親、レオナルドやエリナが怖い顔で、アリアナを睨みつけていた。

 夕暮れ時の柔らかな光が窓から差し込み、鮮やかなオレンジ色に謁見の間が染まっていく。一日のなかで、一番アリアナが好きなこの夕暮れの日差しのなかで、いったいなにが始まるのだろうか? それはアリアナにとっては、思いもよらなかった、レオナルドからの婚約破棄だった。

「私、レオナルド・ハーヴェイ=ジンキンズは七歳の頃より婚約してきたアリアナ・クレスウエル公爵令嬢に婚約破棄を言い渡す! この悪女は王室の財宝を盗んだ!」
「まさか……そのようなことはしておりません。まったくの事実無根です」

「そなたは長年、レオナルドの代わりに政務をこなしてきた。王太子妃になるという資格は失うが、素直に認めれば出来心として罪には問わない。証拠はあるのだから、洗いざらい白状するのだ!」
 国王は怪しげな証拠を精査せず、レオナルドの言い分だけを聞き、アリアナの罪を問うた。証拠は、王室所有の財宝がアリアナの部屋から見つかったという、エリナの証言だけだった。

「よく考えてみてください。仮に私がそのような悪事を働いたとしても、クレスウエル公爵家の自室に隠すでしょうか? あまりにも軽率でしょう」

「お姉様はとても巧妙に隠していたわよ。でも、私のほうが一枚上手ね。クローゼットの奥に微妙な隙間があることに気づいたのですもの。手で触れると、そこに目立たない切れ込みがあったわ。慎重に押してみたら、あらびっくり! それは隠し扉だったのよ。薄暗い小部屋が現れて、中には宝飾品がずらりと並べられていたわ」

「エリナから報告を受けた私は、それが王家の財宝だと一目でわかった。以前から少しずつ、なくなっていたものだったのだ。まさか、アリアナが犯人だとは思わなかったよ」

 身に覚えのない話すぎて、アリアナは首を傾げるしかない。

「さぁ、自分の罪を認めなさい!」
 王妃やクレスウエル公爵夫妻アリアナの両親がアリアナに詰め寄ったのだった。
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