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13 王太子はなにをやらかしていたのかしら?
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「王太子殿下、お久しぶりですわね! 王家の血筋のイサベラ様が王太子殿下の横にいらっしゃるのなら我慢もできますが、そのイングリッド様には納得がいきませんわ! 私に『愛している、君だけは一生大事にする』とおっしゃったお言葉をよもやお忘れではないでしょうねぇ?」
「は? そのようなことを言った覚えは・・・・・・あっただろうか・・・・・・しかし、貴族同士はいろいろと色恋沙汰もある程度は許され・・・・・・」
当然のように誤魔化そうとする王太子殿下に私は吐き気がしてきたわ。
「バカ者! 王太子のお前がいろいろな女と遊び呆けていたら、王家の血筋がみだりに増え王位継承権争いで世が大いに乱れるわい! これが王太子で良いのだろうか」
国王陛下は困惑気味だ。
「父上。しかも兄上は娼館の女にまで惚れ込み、本来イサベルにプレゼントするべき使途の次期王太子妃品格保持費で商売女に宝石をプレゼントしていたようです」
「うわっ! なぜ、そのようなことを知っている? 汚いぞ。この私を調べあげたのか? 帰国するなり、なんの権利があってそのようなことをする? 我が国は長子相続が基本、次期国王の素行調査など不敬であろう?」
「エンリケは黙れ! レオよ、その証拠はあるのか?」
「はい、宮内庁で保管していた裏帳簿です。今、責任者に持って来させておりますので、少々お待ちください。兄上の命令で秘密の帳簿ができたとか・・・・・・理由は『真実の愛を一人占めしたいから』だそうです。」
「くっそ! 責任者だと! 裏切り者め」
忌々しくおっしゃる王太子殿下に重なる国王陛下のお言葉は驚きに満ちていた。
「なんだと? 商売女に真実の愛などあるものか!」
「父上! 今の発言はいかがなものかと思われます。よろしいですか? 娼婦だって同じ人間なのですよ。王たる者が職業に貴賎をつけてどうするのです? 彼女達にだって真実の愛を語る資格はあります。だいたいその類いの女性を卑しむのなら、そのような仕事をさせなければよろしいではありませんか? 合法的に許可しておいて差別するのはおかしい!」
「は? わかった、わかった。お前の娼婦に対する熱い思いはよく理解した。やはり、レオが次期王というのが妥当か・・・・・・お前は風俗担当大臣でもなって娼婦の性病問題にでも取り組んでくれよ」
「ぷっぷっ」
「そんな大臣って画期的よね! クスクス」
「風俗担当大臣って国王陛下も皮肉がきいていらっしゃるわね。でも、あの職業がなくならない限りは誰かが衛生面も含めて管理しないとまずいですものねぇ」
「名案でございます! この王太子殿下を風俗担当大臣にして、そのイングリッドはあたくしへの侮辱と暴行未遂罪で娼婦落ちにしてくださいませ!」
ペネロペ女公爵は上機嫌で国王陛下に進言なさった。
「ですね、大叔母様。父上、この魔石の映像を見てください。イングリッドが大叔母様に無礼を働いた様子とプリンシペ公爵が不倫していた告白が鮮明に記録されております」
「!? なんだ、このふざけた映像は? プリンシペ公爵! お前はもう公爵の地位には置いてはおけぬ。イングリッドの母親と通じていたなどと汚らわしい! 息子のジェイコブは王家の血筋ゆえ、平民というわけにもいくまいなぁ。王太子共々とんだ厄介者だ。全くレオがいてくれて良かった。王太子はレオ、王太子妃はイサベラとする! 」
全ての貴族がレオ様側につき、王太子殿下はガクッと膝から崩れ落ちたのだった。
そして追い打ちをかけるように、宮内庁の王太子妃品格保持費部署の責任者が駆けつけ裏帳簿を差し出すと国王陛下は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「エンリケ! お前は平民落ちだ! 去勢のうえの平民! バカ者が!」
ーーこれほど国王陛下を怒らすなど娼婦を買った以上になにをしていたのかしら?
「は? そのようなことを言った覚えは・・・・・・あっただろうか・・・・・・しかし、貴族同士はいろいろと色恋沙汰もある程度は許され・・・・・・」
当然のように誤魔化そうとする王太子殿下に私は吐き気がしてきたわ。
「バカ者! 王太子のお前がいろいろな女と遊び呆けていたら、王家の血筋がみだりに増え王位継承権争いで世が大いに乱れるわい! これが王太子で良いのだろうか」
国王陛下は困惑気味だ。
「父上。しかも兄上は娼館の女にまで惚れ込み、本来イサベルにプレゼントするべき使途の次期王太子妃品格保持費で商売女に宝石をプレゼントしていたようです」
「うわっ! なぜ、そのようなことを知っている? 汚いぞ。この私を調べあげたのか? 帰国するなり、なんの権利があってそのようなことをする? 我が国は長子相続が基本、次期国王の素行調査など不敬であろう?」
「エンリケは黙れ! レオよ、その証拠はあるのか?」
「はい、宮内庁で保管していた裏帳簿です。今、責任者に持って来させておりますので、少々お待ちください。兄上の命令で秘密の帳簿ができたとか・・・・・・理由は『真実の愛を一人占めしたいから』だそうです。」
「くっそ! 責任者だと! 裏切り者め」
忌々しくおっしゃる王太子殿下に重なる国王陛下のお言葉は驚きに満ちていた。
「なんだと? 商売女に真実の愛などあるものか!」
「父上! 今の発言はいかがなものかと思われます。よろしいですか? 娼婦だって同じ人間なのですよ。王たる者が職業に貴賎をつけてどうするのです? 彼女達にだって真実の愛を語る資格はあります。だいたいその類いの女性を卑しむのなら、そのような仕事をさせなければよろしいではありませんか? 合法的に許可しておいて差別するのはおかしい!」
「は? わかった、わかった。お前の娼婦に対する熱い思いはよく理解した。やはり、レオが次期王というのが妥当か・・・・・・お前は風俗担当大臣でもなって娼婦の性病問題にでも取り組んでくれよ」
「ぷっぷっ」
「そんな大臣って画期的よね! クスクス」
「風俗担当大臣って国王陛下も皮肉がきいていらっしゃるわね。でも、あの職業がなくならない限りは誰かが衛生面も含めて管理しないとまずいですものねぇ」
「名案でございます! この王太子殿下を風俗担当大臣にして、そのイングリッドはあたくしへの侮辱と暴行未遂罪で娼婦落ちにしてくださいませ!」
ペネロペ女公爵は上機嫌で国王陛下に進言なさった。
「ですね、大叔母様。父上、この魔石の映像を見てください。イングリッドが大叔母様に無礼を働いた様子とプリンシペ公爵が不倫していた告白が鮮明に記録されております」
「!? なんだ、このふざけた映像は? プリンシペ公爵! お前はもう公爵の地位には置いてはおけぬ。イングリッドの母親と通じていたなどと汚らわしい! 息子のジェイコブは王家の血筋ゆえ、平民というわけにもいくまいなぁ。王太子共々とんだ厄介者だ。全くレオがいてくれて良かった。王太子はレオ、王太子妃はイサベラとする! 」
全ての貴族がレオ様側につき、王太子殿下はガクッと膝から崩れ落ちたのだった。
そして追い打ちをかけるように、宮内庁の王太子妃品格保持費部署の責任者が駆けつけ裏帳簿を差し出すと国王陛下は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「エンリケ! お前は平民落ちだ! 去勢のうえの平民! バカ者が!」
ーーこれほど国王陛下を怒らすなど娼婦を買った以上になにをしていたのかしら?
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