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9 お母様らしい女性は再教育らしい
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ꕤ୭*イサベラ(ヒロイン)視点
「ちょっと不敬ですよ! 私はレオ殿下の叔母ですよ」
「あぁ、残念な叔母ですよね。自分の娘もまともに愛せないとは。あなたは欠陥品なんですよ。お子ちゃまと言ってもいいかもしれない。自分が可愛くて仕方がないんだ」
「なにを言うの? 私は自分の娘も他人の娘も同じように可愛がっていたわ! ほら、そこにいるイングリッドはまさに自分の娘ように目を掛けていたのよ」
「あぁ、自分が聖母様のように噂されるのが嬉しかったのでしょう? 叔母様は大叔母様(王太后の妹)の屋敷にしばらく遊びに行ってくださいね。私があらかじめ連絡しておきました」
「え? お母様の妹のペネロペ女公爵? 嫌よ! 私は絶対行かないわ。あの方は容赦ない厳しい方なのよ。年寄りのくせに呆れるほど元気で・・・・・・」
「ふっ、その通りです。あたくしは呆れるほど元気ですとも! さぁ、参りましょうか? あなたには再教育が必要なようです!」
タイミング良く音もなく滑るように姿を現した高齢な貴婦人に私はびっくりだ。後ろには王家の騎士を従えている。国王陛下もお仕置きできる唯一の女性、皇太后陛下の妹で女傑の名をほしいままにした女公爵の話は有名で知らぬ者はいない。
どうやら本当に私のお母様らしい女性は、王家の騎士達に無理矢理荷物のように担がれて運ばれていこうとしている。
「嫌だってば!! お兄様は知っていらっしゃるの? 私は王の妹なのよ! なにをしたって許されるんだからぁーー!!」
「お黙り! 私は王太后の妹です。国王陛下が姉のお腹にいる頃から知っていますよ! 何度陛下のオムツを替えてあげたことか! あの子は赤子の頃皆のアイドルでしたからねぇーー。それにおねしょがなおらなくて幾度もナイショでシーツを替えてあげたものです!」
「お母様をどこに連れて行くのですか? あなたは大嘘つきだと思います! だって王太后殿下の妹のあなたがオムツなんて替えるはずがないわ! 下女だって侍女だってベビーシッターだって王宮にはいるはずじゃない!」
「ほぉ? 自分より身分が上の者にいきなり話しかけることはタブーだと教わらなかったのか? あたくしはお前よりずっと上のはずだがなぁ? それにあたくしは医学の心得があるので、陛下の専属医師でもあった。ゆえに、便の状態をみることも診察のひとつだ。王族と言えど私は規格外ゆえ、赤子のオムツも入浴もさせたことがあるぞ。そこのレオ王子だとて同じことだ。イングリッドとやら、あまり調子にのると後でかなり痛い目をみるだろう」
「嘘だわ! 嘘よ! そんな偉い方がなんの前触れもなくいらっしゃるはずがないもん。この王子もペネロペ女公爵とかってババァもきっと偽物です。お母様この方達はきっとそっくりさんの詐欺集団です。イザベラ様より可愛がっていただいた恩を私が今返すときが来ました。えぃ!!」
へっぴり腰でペネロペ女公爵に向かって拳を振り上げ殴ろうとしたのだ。
すかさずレオ殿下がイングリッドのみぞおちを突いて気絶させた。
「この女は大叔母様を今殴ろうとしたなぁ? 見ただろう? 記録したか?」
レオ殿下の従者が録画・録音用の魔石を持ってニヤリと微笑んだ。
「もちろん、ばっちりです」
ペネロペ女公爵が、
「なるほど、自分の娘より他人の娘を優先か? たいしたものだ。疑似体験でもすれば良い」
とつぶやくと愉快そうな笑い声をあげた。
「ひっ!! 叔母様・・・・・・ち、違うのです! 決してイサベラを粗末に扱ってなどいないんです。勝手にこの子が被害妄想になっていただけで・・・・・・そうよ、イサベラが弱すぎるのよ。イングリッドを可愛がっていても、私がイサベラのこともちゃんと愛しているってわかるはずよ! わからなければいけないはずよ」
「はぁーーん。なるほどね。レオ王子殿下、このおバカはあたくしに任せなさい! ほら、行きますよ。着替えなど、どうでもよろしい! 化粧? そんなものはなくても生きていけます! 全く、人の目ばかり気にして中身を磨かないから上っ面の自分の評価ばかりが気になるのです!」
お母様らしい女性は泣きながら元気な老婦人に今度こそズルズルと引っ張られていった。
「いやぁーー!! 叔母様は怖いもん、怖いもん!一族で一番恐ろしいのは叔母様だってばぁーー」
「ふっ。大叔母様の研究材料にされるかもですね・・・・・・まぁ、命までもはとられないでしょう」
レオ殿下の言葉にお兄様らしい青年は噛みつく。
「母上は国王陛下の愛妹だぞ! こんなことは許されない!」
「あぁ、兄とは名ばかりの能なしだな? じゃぁ、お前の言い分を聞こうじゃないか?」
「ちょっと不敬ですよ! 私はレオ殿下の叔母ですよ」
「あぁ、残念な叔母ですよね。自分の娘もまともに愛せないとは。あなたは欠陥品なんですよ。お子ちゃまと言ってもいいかもしれない。自分が可愛くて仕方がないんだ」
「なにを言うの? 私は自分の娘も他人の娘も同じように可愛がっていたわ! ほら、そこにいるイングリッドはまさに自分の娘ように目を掛けていたのよ」
「あぁ、自分が聖母様のように噂されるのが嬉しかったのでしょう? 叔母様は大叔母様(王太后の妹)の屋敷にしばらく遊びに行ってくださいね。私があらかじめ連絡しておきました」
「え? お母様の妹のペネロペ女公爵? 嫌よ! 私は絶対行かないわ。あの方は容赦ない厳しい方なのよ。年寄りのくせに呆れるほど元気で・・・・・・」
「ふっ、その通りです。あたくしは呆れるほど元気ですとも! さぁ、参りましょうか? あなたには再教育が必要なようです!」
タイミング良く音もなく滑るように姿を現した高齢な貴婦人に私はびっくりだ。後ろには王家の騎士を従えている。国王陛下もお仕置きできる唯一の女性、皇太后陛下の妹で女傑の名をほしいままにした女公爵の話は有名で知らぬ者はいない。
どうやら本当に私のお母様らしい女性は、王家の騎士達に無理矢理荷物のように担がれて運ばれていこうとしている。
「嫌だってば!! お兄様は知っていらっしゃるの? 私は王の妹なのよ! なにをしたって許されるんだからぁーー!!」
「お黙り! 私は王太后の妹です。国王陛下が姉のお腹にいる頃から知っていますよ! 何度陛下のオムツを替えてあげたことか! あの子は赤子の頃皆のアイドルでしたからねぇーー。それにおねしょがなおらなくて幾度もナイショでシーツを替えてあげたものです!」
「お母様をどこに連れて行くのですか? あなたは大嘘つきだと思います! だって王太后殿下の妹のあなたがオムツなんて替えるはずがないわ! 下女だって侍女だってベビーシッターだって王宮にはいるはずじゃない!」
「ほぉ? 自分より身分が上の者にいきなり話しかけることはタブーだと教わらなかったのか? あたくしはお前よりずっと上のはずだがなぁ? それにあたくしは医学の心得があるので、陛下の専属医師でもあった。ゆえに、便の状態をみることも診察のひとつだ。王族と言えど私は規格外ゆえ、赤子のオムツも入浴もさせたことがあるぞ。そこのレオ王子だとて同じことだ。イングリッドとやら、あまり調子にのると後でかなり痛い目をみるだろう」
「嘘だわ! 嘘よ! そんな偉い方がなんの前触れもなくいらっしゃるはずがないもん。この王子もペネロペ女公爵とかってババァもきっと偽物です。お母様この方達はきっとそっくりさんの詐欺集団です。イザベラ様より可愛がっていただいた恩を私が今返すときが来ました。えぃ!!」
へっぴり腰でペネロペ女公爵に向かって拳を振り上げ殴ろうとしたのだ。
すかさずレオ殿下がイングリッドのみぞおちを突いて気絶させた。
「この女は大叔母様を今殴ろうとしたなぁ? 見ただろう? 記録したか?」
レオ殿下の従者が録画・録音用の魔石を持ってニヤリと微笑んだ。
「もちろん、ばっちりです」
ペネロペ女公爵が、
「なるほど、自分の娘より他人の娘を優先か? たいしたものだ。疑似体験でもすれば良い」
とつぶやくと愉快そうな笑い声をあげた。
「ひっ!! 叔母様・・・・・・ち、違うのです! 決してイサベラを粗末に扱ってなどいないんです。勝手にこの子が被害妄想になっていただけで・・・・・・そうよ、イサベラが弱すぎるのよ。イングリッドを可愛がっていても、私がイサベラのこともちゃんと愛しているってわかるはずよ! わからなければいけないはずよ」
「はぁーーん。なるほどね。レオ王子殿下、このおバカはあたくしに任せなさい! ほら、行きますよ。着替えなど、どうでもよろしい! 化粧? そんなものはなくても生きていけます! 全く、人の目ばかり気にして中身を磨かないから上っ面の自分の評価ばかりが気になるのです!」
お母様らしい女性は泣きながら元気な老婦人に今度こそズルズルと引っ張られていった。
「いやぁーー!! 叔母様は怖いもん、怖いもん!一族で一番恐ろしいのは叔母様だってばぁーー」
「ふっ。大叔母様の研究材料にされるかもですね・・・・・・まぁ、命までもはとられないでしょう」
レオ殿下の言葉にお兄様らしい青年は噛みつく。
「母上は国王陛下の愛妹だぞ! こんなことは許されない!」
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