(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏

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5 ジェイコブ・プリンシペ公爵嫡男の気持ち(イサベラの兄)

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  僕は学園でも社交界でも『王女に気に入られた逆玉の輿男の子供』と揶揄された。これは幼い頃からだ。父上そっくりの藤色の髪と瞳は珍しく、その美貌を受け継いだ僕は女性からとても好かれた。

「またジェイコブの奴、女に囲まれてるよ。やっぱり父親と同じで女に気に入られてラッキーボーイとして生きていくんだよ。なんの功績もあげずに文官にも騎士にもなれなかった男が公爵になって、その無能な息子がまたそれを継ぐなんて世の中っておかしいなぁ」
 おもしろおかしく言う奴らは決まって僕と同じ程度の能力以下の者だった。抜きん出る奴らはそんなことも言わず黙々と努力していたから。


「でも、あのイサベラ様は王女殿下そっくりで気品があって、まさに王家の血筋だよな。やはり、高貴な方だからなにをやらせても優秀だしなぁ」

 同じ両親の間に生まれながらなぜこれほど評価が違う? 確かにイサベラは母上に似て音楽の才能もあり、賢妃とうたわれた王太后殿下に似て頭が良かった。



 イサベラの勉強を見ているとコンプレックスの塊になる。世の中にはテキストを一回読んで理解できる者と複数回読まないと理解できない者がいる。イサベラは明らかに前者で成績はいつもトップだった。

『努力は報われる』って嘘だよ。確かに頑張れば成績は上の下ぐらいまではいけたが僕にトップはとれなかった。剣や格闘関係はさらに無理だった。結果、いろいろなことを言われるんだ。




 そんなモヤモヤを抱えていた時にイングリッドがプリンシペ公爵家にやって来た。この子は全く可愛いだけの子だった。自分より下の者を見るのは安心するよな。

 このイングリッドならどんなに可愛がっても自分の地位を脅かさない。しかも、この子は言っちゃ悪いが頭は余り良くなかった。テキストを数回読んだだけでは理解できないタイプで、かなり時間をかけないと頭に入らないようだった。

 容姿だって小柄で小動物みたいだ。可愛いだけの女の子は一緒にいて心地よい。僕が理解できない数式を駆使して、いとも簡単に数学の難題をスラスラと解くイサベラよりも本当の妹の気がするよ。

 イサベラは強い子だしなんでもできる。だから、もう僕が守ってあげなくても大丈夫だ。これから守るべき対象はイングリッドだと思う。


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