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2 親達の思惑

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  その週末、カーティス家の方々がオズボルト侯爵家にやって来ました。

「このたびは、いい縁に恵まれましたねぇーー。カーティス男爵家としては願ってもないことです。オズボルト侯爵家は由緒ある名門高位貴族ですから。金ならいくらでも援助させてもらいますよ。事業での高位貴族との取引も今まで以上にしやすくなるでしょうし・・・・・・メリットは多い」

「ふふふ。まさに完璧な縁ですな! オズボルト侯爵家にはお金が必要だ。ついこないだ立ち上げた事業が破綻したばかりで困っていたところですよ。これからは協力して共同事業もできるというものでしょう? カーティス男爵家の財力とオズボルト侯爵家の地位と人脈を使えば、無敵ですなぁーー! あっははは」

 オズボルト家のサロンで、両親達はこの婚約を手放しで喜んでいます。オリオン様はその会話に穏やかな笑みを浮かべていました。

「あぁ、イレーヌはオリオン様に庭園でも案内してさしあげなさい。若い子同士で楽しみなさい」

 お母様は私にそうおっしゃると、また親同士の会話にもどっていくのです。

 私はオリオン様と庭園を散歩することにしました。



☆彡★彡☆彡



「オリオン様はクララ様を好きなのでしょう? なぜ、両親に抵抗しないのです?」

「うん、一度はクララが好きだと両親には伝えたよ? でも、両親がクララと一緒になろうとするなら勘当すると言うんだ。諦めるしかないだろう? それに、クララの家格は準男爵家だろう? 私がオズボルト侯爵家に婿養子になって家督を継ぐことになれば、愛人として迎えることも可能だ」

「え? そのようなおつもりなのですか? クララ様が愛人なんて納得するわけがありませんわ」

「もう、納得してるよ。アイヤナ準男爵家には、私の父親が金を援助している。クララだって逆らえるはずがないんだ。イレーヌも、もっと大人になれよ! 貴族の結婚なんてこんなものでしょう?」

「・・・・・・」

 オリオン様もクララ様も納得済み? ・・・・・・皆がこんなことはなんでもないように振る舞えるのでしょうか・・・・・・私も、もちろん両親には逆らえません・・・・・

 私とオリオン様の婚約は公に発表されて、皆が知るようになりました。


 このようなことは珍しくはないですが・・・・・・学園では・・・・・・
 
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