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7 作戦
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王太子様専用のサロンで、王太子様は紅茶を嗜みながら待っていらした。サミール様が、先にサロンに足を踏み入れると王太子様は嬉しそうに顔を輝かされた。が、後から私の姿が見えると、あからさまに不愉快な顔をなさった。
「なんで、ヴァレリアまでいるのかな? 私は、サミールとだけ話すのかと思っていたが・・・」
「えっと、とても、珍しい紅茶が手に入ったので、お持ちしました。とても、良い香りで、特別な効果があるようです。リラックスできて、幸せな気分になれるんですよ」
持ってきた紅茶は、そんなロマンチックなものではなくて、ただの媚薬入りの紅茶だった。紅茶の葉に、ほんの少しだけ媚薬の粉末をいれたものだった。
「わぁーー、是非、飲んでみたいなぁ。王太子様、この紅茶を侍女に淹れてもらいましょう!」
サミールは、私が指示したとおりに、そう王太子に勧めて、すぐに頭痛がすると言いながら帰っていった。私は、王太子様に熱心に紅茶を勧めた。
「さぁ、一口飲んでみてください。どうですか? 美味しいでしょう?」
私は、上目遣いに、王太子様を斜め横から見上げる。この角度が、とても色っぽく見えるのよ?
「あぁ、本当に良い香りだなーー。このオレンジのような香りは、好きだよ」
ふふふ。それは、このあたりでは売っていない秘密の媚薬の香りよぉーー。お母様が、私の作戦のために隣国まで行って購入してきたものだった。
その紅茶を一口飲んで、私と王太子様は向かい合って、見つめ合った。王太子様の目は潤んでいて、呼吸も少しあらくなっていた。私が、王太子様の横に座ると、すぐに王太子様に押し倒されて、太ももを撫でられ・・・その、瞬間に、買収していた3人の侍女が大声をあげた。
「「「大変です! ウィルソン公爵令嬢が王太子様に襲われました!」」」
「「誰か、王太子様を止めてください」」
すぐに、王太子の護衛騎士が駆けつけて、王妃様も急いでやって来ました。
「なっ、なにをしているのですか! 正気ですか? 二人とも!」
王妃様は、呆れた声で叫んだ。
「私と王太子様は、実は最初に会った時から一目惚れして、愛し合っています」
私は、王妃様に自信満々で申し上げたわ。
「あら、そう・・・そんなはずは、ないけれど・・・困ったわねぇ」
「あら、簡単なことですわ! お義姉様と私は交換すればいいのです。だって、私は同じウィルソン公爵令嬢なのですから!」
「え? 貴方は宰相の子供なわけはないでしょう? ウィルソン公爵令嬢はアイリスだけですよ」
王妃様は途端に、顔を歪めて吐き捨てるようにおっしゃった。
「はぁ? 私は、そこにいる宰相であるお父様の実の娘ですけれど! 王妃様だからって、あんまり人を馬鹿にするのは良くないですわ」
「ちょっと、宰相。この娘は、貴方の子供なの? まさか、王女を妻にして、多くの恩恵を受けながら浮気をしていたというわけかしら? 王女が降嫁する際には、莫大な品格費が払われたわね? しかも、今は亡き先王妃様は毎年それとは別に王女の為に、かなりの金銭を与えていたでしょう? あれは、王女を守るためのお金で、お前とイングリットが遊び呆けるためのお金ではないわよ! ずいぶんと王家を舐めた真似をしてくれたものねぇーー?」
王妃様は、氷のように冷たい眼差しでお父様を睨みつけた。
「このヴァレリアはイングリットの連れ子です! 私の娘なわけないでしょう? 私はクリスタルを心から愛していましたよ? あぁ、でも、こんな事態になったのだから、ヴァレリアとは養子縁組をして私の娘をいうことにいたします! それならば、この愛し合う二人は結婚できる!」
「まぁーー、それは、とてもいい考えねぇ? 宰相、お前は本当に頭がいいわねぇ」
王妃様は、にっこりと微笑んだが、その目は少しも笑ってはいなかったのだった。
どういうこと?・・・私って、お父様の子供じゃないことになってるの?
「なんで、ヴァレリアまでいるのかな? 私は、サミールとだけ話すのかと思っていたが・・・」
「えっと、とても、珍しい紅茶が手に入ったので、お持ちしました。とても、良い香りで、特別な効果があるようです。リラックスできて、幸せな気分になれるんですよ」
持ってきた紅茶は、そんなロマンチックなものではなくて、ただの媚薬入りの紅茶だった。紅茶の葉に、ほんの少しだけ媚薬の粉末をいれたものだった。
「わぁーー、是非、飲んでみたいなぁ。王太子様、この紅茶を侍女に淹れてもらいましょう!」
サミールは、私が指示したとおりに、そう王太子に勧めて、すぐに頭痛がすると言いながら帰っていった。私は、王太子様に熱心に紅茶を勧めた。
「さぁ、一口飲んでみてください。どうですか? 美味しいでしょう?」
私は、上目遣いに、王太子様を斜め横から見上げる。この角度が、とても色っぽく見えるのよ?
「あぁ、本当に良い香りだなーー。このオレンジのような香りは、好きだよ」
ふふふ。それは、このあたりでは売っていない秘密の媚薬の香りよぉーー。お母様が、私の作戦のために隣国まで行って購入してきたものだった。
その紅茶を一口飲んで、私と王太子様は向かい合って、見つめ合った。王太子様の目は潤んでいて、呼吸も少しあらくなっていた。私が、王太子様の横に座ると、すぐに王太子様に押し倒されて、太ももを撫でられ・・・その、瞬間に、買収していた3人の侍女が大声をあげた。
「「「大変です! ウィルソン公爵令嬢が王太子様に襲われました!」」」
「「誰か、王太子様を止めてください」」
すぐに、王太子の護衛騎士が駆けつけて、王妃様も急いでやって来ました。
「なっ、なにをしているのですか! 正気ですか? 二人とも!」
王妃様は、呆れた声で叫んだ。
「私と王太子様は、実は最初に会った時から一目惚れして、愛し合っています」
私は、王妃様に自信満々で申し上げたわ。
「あら、そう・・・そんなはずは、ないけれど・・・困ったわねぇ」
「あら、簡単なことですわ! お義姉様と私は交換すればいいのです。だって、私は同じウィルソン公爵令嬢なのですから!」
「え? 貴方は宰相の子供なわけはないでしょう? ウィルソン公爵令嬢はアイリスだけですよ」
王妃様は途端に、顔を歪めて吐き捨てるようにおっしゃった。
「はぁ? 私は、そこにいる宰相であるお父様の実の娘ですけれど! 王妃様だからって、あんまり人を馬鹿にするのは良くないですわ」
「ちょっと、宰相。この娘は、貴方の子供なの? まさか、王女を妻にして、多くの恩恵を受けながら浮気をしていたというわけかしら? 王女が降嫁する際には、莫大な品格費が払われたわね? しかも、今は亡き先王妃様は毎年それとは別に王女の為に、かなりの金銭を与えていたでしょう? あれは、王女を守るためのお金で、お前とイングリットが遊び呆けるためのお金ではないわよ! ずいぶんと王家を舐めた真似をしてくれたものねぇーー?」
王妃様は、氷のように冷たい眼差しでお父様を睨みつけた。
「このヴァレリアはイングリットの連れ子です! 私の娘なわけないでしょう? 私はクリスタルを心から愛していましたよ? あぁ、でも、こんな事態になったのだから、ヴァレリアとは養子縁組をして私の娘をいうことにいたします! それならば、この愛し合う二人は結婚できる!」
「まぁーー、それは、とてもいい考えねぇ? 宰相、お前は本当に頭がいいわねぇ」
王妃様は、にっこりと微笑んだが、その目は少しも笑ってはいなかったのだった。
どういうこと?・・・私って、お父様の子供じゃないことになってるの?
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