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因果応報が始まる

16 アイリス視点 幸せな未来(最終話)

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★アイリス視点★

私は、お母様の子供の頃からの日記をずっと持っている。お母様は、とても自分の家族を観察していた。そうして、日記には事細かくつけていた。端的に表現していたのは以下の文章だった。



父上・・・能なしで、庭師が恋人。一日中、日なたぼっことお昼寝。たまに、散歩。

兄上・・・能なしで専属執事が恋人。一日中、部屋に籠もっているのが好き。

母上・・・すべての王家の仕事を担う裏の王のはず・・・

王女の私にいくら、隠そうとしてもわかるわよ。
私は、いずれ、この国の女王になるだろう。辺境伯のジェイスの妻になりたいけれど、それは無理だ。私はこの腐った王家を立て直すつもりなのだから・・・まずは、あの素行の悪い宰相のウェイドを首にしてやるわ!


しかし、この文を最後に日記は更新されなくなった。お母様があの父親に無理に結婚を迫ったとされる日からは白紙のままだ。それは、ずっと母の部屋の隅で埃にかぶり、私が発見したのはずいぶん前で・・・こっそり自分の部屋に隠した。

大きくなるにつれて、その日記の意味はだんだんわかってきて・・・私は誰にも言えなかった・・・ただ、サミールには不安を口にした。

「私は誰にも愛されない子だ・・・・」と。

サミールは、守ってくれると言った。私だけを愛してくれると。だから、王太子妃になりなさいと王妃様に言われてすぐにサミールに手紙を書いた。

絶対に助けてくれるのが、私にはわかっていた。だって、お母様の日記には、ジェイス辺境伯のお母様は隣国の王女様で偉大なる天才魔法使いだって書いてあったから。そして、魔法は隔世遺伝するとも書いてあった。だからサミールは、絶対に誰をも従わせることができる大魔法使いに違いない。

初めて好きになった人が彼で本当に良かったと思った。でも、サミールが周りを騙すために、ヴァレリアに夢中になっているふりをしていたときは、少し嫌だったわ・・・でも、みんな、私を守る為だったからしかたない。


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚


私は、サミールともうすぐ結婚する。私は、すでに辺境伯の領地の屋敷に住んでいるし、もう王都に行くつもりはない。

サミールのお父様のアレッサンドロ様は、私を抱きしめてとても喜んでくれた。私は、お母様の形見の日記をお渡しした。そこには、アレッサンドロ様への愛がたくさん綴られていたから。アレッサンドロ様は、仇はとったからと呟いていた。

仇ってなんだろう? サミールは知らなくていいと、私に言ったわ。だから、私も絶対に聞かない。・・・私は二度と、お父様と義理のお母様の姿を見ることはなかった。



*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
ーー時は春。満開に咲き乱れる花の木の下でーー

それから、一年が過ぎて・・・私の腕には女の子の可愛い赤ちゃんがいる。

ジュイス辺境伯家の庭園で敷物を広げて、私とサミール様とアレッサンドロ様。侍女長と執事長が一緒にお花見を楽しんでいた。

王家の早馬が来て、使いの者が用向きを告げた。

「グラハム王家からの伝言をお伝えします。『女の赤ちゃんが生まれて大変めでたい。ついては、その子供を伴って王家に見せにくるように』との王妃様のお言葉でございます」

「これからは、用があれば王家のほうから、こちらに出向いてくればいい。私は、いつまでも王家の臣下でいるつもりはない」

そのサミール様の言葉に使いの者は、震え上がっていた。私は、頼もしい夫の身体に寄りかかり、舞い落ちる桜の花びらを見ていた。愛娘は、キャッキャッと笑って、花びらに手を伸ばした。


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚その三年後


私は、息子を抱いて、辺境伯の屋敷ではなく隣国の王宮にいた。娘は庭園で侍女に見守られながら子犬と走り回っている。私は、サミール様に息子を渡すと、ティアラの位置を鏡で確認した。

「サミール皇帝、アイリス皇妃。グラハム王国(かつてのアイリスの祖国)の王妃様が謁見したいといらっしゃっております」

側近が私達に言うと、サミールは言った。

「そんなものは、待たせておけばよい!」

サミールはお婆様の国の跡継ぎとして王になり近隣諸国も配下にし皇帝になっていたのだった。



*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚ある日のサミールとアイリス




一面の花畑でサミールはアイリスに約束していた。

「この世界の全てを、貴女にあげよう。愛も権力も富も全てだ」

私は、そんなに欲張りじゃぁないわよ。だから、こう言ったわ。

「そんなの欲張りだわ・・・私は、そうねぇ・・・愛だけでいいわ・・・あぁ、でもお金も少しね!」

梢の葉の間から、光のかけらがキラリと星のように光ったのだった。



本編完


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このあと、おまけで、宰相と義理母のざまぁです 
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