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5 エストレラ視点の最期(エストレラ視点)・新しい人生(執事視点)※具体的な残酷描写はなし
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ーー★エストレラ視点ーー
「つかまえろ! 貴族を縛り上げろぉーー」
「逃がすなーー! 今まで、散々、贅沢してきやがった貴族達は俺らの敵だ!」
「革命だぁーー! これからは、人民の俺たちの時代だぁーーー!」
私は、大好きな雨のなかを傘をさしながら、庭園を眺めていた。その叫び声に驚いて門を見ると門兵を倒して、平民がなだれこんでくるところだった。急いで裏庭の物置に駆け込み隙間から、見つからないように覗いていた。
お父様もお母様も、縄で縛られて、屋敷から引きずり出されているのが見えた。
普段から宝石もつけず、簡素なワンピース姿のお姉様は、この日は使用人がするようなエプロンをつけていて、そばには若い見習の執事が一緒にいた。
平民の暴徒達は、お姉様を同じ仲間の平民だと思っているようだ。
「おい、そこの物置も確認しろ」そんな声が聞こえて・・・私は、恐ろしさに身が震えた。
「いたぞぉおおー! ほら、このヒラヒラの豪華なドレス! 間違いなくお貴族様だ!」
私は物置の奥から引きずりだされた。怖くて、たまらない・・・
やめてよ・・・誰か・・・助けて・・・
私は、その民衆のなかに違和感なく、とけこんでいるお姉様に助けを求めた。
「お姉様! お願い! 助けて!」
「まぁーー。お嬢様。私が、貴女のお姉様のはずがないでしょう?」
お姉様は、そう言ったきり、執事と一緒に、怒り狂った平民達の誰にも邪魔されることなく屋敷の外に出て行ったのだった。
豪華な絹のドレス姿の私は、馬車に無理矢理、乗せられた。どす黒い雨雲からふり落ちてくる雨は、地を打つような太い雨に変っていた。さっきまでの、優しい絹糸のような小雨とは違う。
私の顔に降り注ぐ最期の雨は、どしゃぶりで、痛いぐらいに冷たすぎた。革命の雨は、贅沢を極め尽くしていた貴族達に均一に降りかかったのだった。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
💐最終話💐
ーー★専属執事視点ーー
私は、カーディス侯爵夫人から金貨がぎっしり詰まった財布を渡された。
「アーリィをお願い」
その言葉に耳を疑った。このカーディス侯爵家の人達は、アーリィお嬢様を皆嫌っていたと思っていたからだ。
私は、心優しいアーリィお嬢様が好きだったから、これからずっとお側にいて、守っていこうと決心した。
私達は、カーディス侯爵夫人から貰った金貨で家を買い、小さなパン屋をやることにした。そのパン屋は、アーリィ様の多彩なアイディアで変ったパンを次々と売り出して、たちまち人気店になった。
結婚して、子供が産まれると、私は、アーリィお嬢様にカーディス侯爵夫人の話をした。革命を予感し、お金を渡されたこと、アーリィお嬢様を頼む、と言われたこと。
「まさか、お母様も転生者だったのかしら・・・」
不思議なことを、呟いたアーリィお嬢様が、初めて号泣した。さっきまで晴れていたはずの外では、小雨が優しい音をたてて降りだしていた。
子供の名前は、カーディス侯爵夫人の名前にちなんで、キャンディと名づけた。私達夫婦は、穏やかで素朴な幸せを手に入れたのだった。
完
🌷おまけ(アーリィ視点)
私は幼い息子と、雨のなか、手を繋いで歌う。
あめ、あめ、ふれ、ふれぇーーかぁさんがぁーー♫
お迎えきてくれ うれしいよぉーー
・・・・・・・・・
ピッチ ピッチ チャップ、チャップ
ラン ラン ラン ♫
・・・・・
これは、私がいた世界で歌われていた童謡だった。
「変った歌だね」
夫が笑いながら言う。私も、にっこり微笑んだ。元の世界に帰りたいとは、もう思わない。この世界こそが、私の生きる世界だから!
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
最後の童謡の部分ですが、これは童謡の「あめふり」を少しだけ変えて使用させていただきました。そのままだと著作権侵害かと思いまして少し変えたのですが、これだけ古い童謡ですと、もう著作権侵害にはならないそうです。
なので、そのまま使用しても良かったようです。
本来は、じゃのめで おむかい ですよね。かわいい歌だと思います。私の大好きな歌でして、ここに記載させていただきました。
参考引用童謡 あめふり
作詞:北原白秋
作曲:中山晋平
ーー★エストレラ視点ーー
「つかまえろ! 貴族を縛り上げろぉーー」
「逃がすなーー! 今まで、散々、贅沢してきやがった貴族達は俺らの敵だ!」
「革命だぁーー! これからは、人民の俺たちの時代だぁーーー!」
私は、大好きな雨のなかを傘をさしながら、庭園を眺めていた。その叫び声に驚いて門を見ると門兵を倒して、平民がなだれこんでくるところだった。急いで裏庭の物置に駆け込み隙間から、見つからないように覗いていた。
お父様もお母様も、縄で縛られて、屋敷から引きずり出されているのが見えた。
普段から宝石もつけず、簡素なワンピース姿のお姉様は、この日は使用人がするようなエプロンをつけていて、そばには若い見習の執事が一緒にいた。
平民の暴徒達は、お姉様を同じ仲間の平民だと思っているようだ。
「おい、そこの物置も確認しろ」そんな声が聞こえて・・・私は、恐ろしさに身が震えた。
「いたぞぉおおー! ほら、このヒラヒラの豪華なドレス! 間違いなくお貴族様だ!」
私は物置の奥から引きずりだされた。怖くて、たまらない・・・
やめてよ・・・誰か・・・助けて・・・
私は、その民衆のなかに違和感なく、とけこんでいるお姉様に助けを求めた。
「お姉様! お願い! 助けて!」
「まぁーー。お嬢様。私が、貴女のお姉様のはずがないでしょう?」
お姉様は、そう言ったきり、執事と一緒に、怒り狂った平民達の誰にも邪魔されることなく屋敷の外に出て行ったのだった。
豪華な絹のドレス姿の私は、馬車に無理矢理、乗せられた。どす黒い雨雲からふり落ちてくる雨は、地を打つような太い雨に変っていた。さっきまでの、優しい絹糸のような小雨とは違う。
私の顔に降り注ぐ最期の雨は、どしゃぶりで、痛いぐらいに冷たすぎた。革命の雨は、贅沢を極め尽くしていた貴族達に均一に降りかかったのだった。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
💐最終話💐
ーー★専属執事視点ーー
私は、カーディス侯爵夫人から金貨がぎっしり詰まった財布を渡された。
「アーリィをお願い」
その言葉に耳を疑った。このカーディス侯爵家の人達は、アーリィお嬢様を皆嫌っていたと思っていたからだ。
私は、心優しいアーリィお嬢様が好きだったから、これからずっとお側にいて、守っていこうと決心した。
私達は、カーディス侯爵夫人から貰った金貨で家を買い、小さなパン屋をやることにした。そのパン屋は、アーリィ様の多彩なアイディアで変ったパンを次々と売り出して、たちまち人気店になった。
結婚して、子供が産まれると、私は、アーリィお嬢様にカーディス侯爵夫人の話をした。革命を予感し、お金を渡されたこと、アーリィお嬢様を頼む、と言われたこと。
「まさか、お母様も転生者だったのかしら・・・」
不思議なことを、呟いたアーリィお嬢様が、初めて号泣した。さっきまで晴れていたはずの外では、小雨が優しい音をたてて降りだしていた。
子供の名前は、カーディス侯爵夫人の名前にちなんで、キャンディと名づけた。私達夫婦は、穏やかで素朴な幸せを手に入れたのだった。
完
🌷おまけ(アーリィ視点)
私は幼い息子と、雨のなか、手を繋いで歌う。
あめ、あめ、ふれ、ふれぇーーかぁさんがぁーー♫
お迎えきてくれ うれしいよぉーー
・・・・・・・・・
ピッチ ピッチ チャップ、チャップ
ラン ラン ラン ♫
・・・・・
これは、私がいた世界で歌われていた童謡だった。
「変った歌だね」
夫が笑いながら言う。私も、にっこり微笑んだ。元の世界に帰りたいとは、もう思わない。この世界こそが、私の生きる世界だから!
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
最後の童謡の部分ですが、これは童謡の「あめふり」を少しだけ変えて使用させていただきました。そのままだと著作権侵害かと思いまして少し変えたのですが、これだけ古い童謡ですと、もう著作権侵害にはならないそうです。
なので、そのまま使用しても良かったようです。
本来は、じゃのめで おむかい ですよね。かわいい歌だと思います。私の大好きな歌でして、ここに記載させていただきました。
参考引用童謡 あめふり
作詞:北原白秋
作曲:中山晋平
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コメントをお寄せくださり感謝💐です🎶☺️
お読みいただきありがとうございます(○^∇^)_☕️🍰
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結局、この曲の場合は、そのままでも良かったみたいです。
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コメントをお寄せくださり感謝💐です🎶☺️
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コメントをお寄せくださり感謝💐です🎶☺️