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4 復讐への決意
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「やめなさい、ブロンシュ。アリゼはお前の従姉妹なんだぞ。立場は同等だ。アリゼの専属侍女にはフランシスカとトレーシーをつけよう。それから部屋は一番いい部屋を与えるので、ブロンシュの部屋を譲ってあげなさい」
「酷いわ、お父様。嫌です」
(この茶番劇はなぁに?)
「お部屋は空いているところで構いませんし、ブロンシュ様と同等な扱いなど望んでいません。できれば、元いた屋敷に戻りたいのですが……」
「あぁ、あのボロボロな家はすでに売ってしまった。だって兄上達がいない今、アリゼが譲り受けたものは全て引き取ったわたしのものになるからね」
「全て? 嘘でしょう?」
「アリゼが16歳になるまでは、後見人として引き取ったわたしの裁量に任される。シドニー兄上に貸したお金もあるから、あの家を売ったお金は当然わたしのものになるのは了承してほしい。だがアリゼのドレスや宝石だけは、そのまま持っていて構わない。わたしの心は広いからね」
(なにを言っているの?)
ブロンシュの部屋を奪いたくもないのに押し付けられて、とても大事にする振りをするゴドフロア叔父様が不気味だった。
ディナーは食べたい気分ではないから断ると、ブロンシュがわざわざ部屋までやってきて嫌味を言う。
「ねぇ、マナーを知らないから夕食を一緒に食べようとしないのでしょう? 」
(本当にしつこい人ね)
「えぇ、マナーなんて全然知らないのよ。教えてくださらない?」
もう面倒だからそう言っておく。
「うふふ。教えてあげるわけないでしょう? あんたなんて、これからいっぱい恥をかけばいいのよ」
(そう言うと思ったわ)
家は勝手に売られ、お父様の絵は別な場所に持っていかれたようだ。残されたのは私のドレスと宝石類だけ。そういえばお母様のドレス類や宝石はどうしたのかしら?
その答えは翌朝、わかる。ドナシアン伯爵夫人がお母様の宝石を得意げに身に着けていたからだ。
「旦那様。こんな見事な宝石初めて身に着けましたわ。ありがとうございます」
朝食の食堂でドナシアン伯爵夫人が嬉しそうに微笑む様を見てゾッとする。
ゴドフロア叔父様がこのようなことを平然とするということは、もうこの宝石の持ち主が戻ってこないことを知っているからに違いない。
(証拠なんていらない。これは確信だ。あのゴドフロア叔父様はきっと……)
私の頭に復讐の文字がぎらつく。私から家族を奪ったこの男に制裁を!
「なんで座らないの? 朝食のマナーすらできないの?」
生意気な従姉妹ブロンシュに、まずは思い知らせてあげよう。
だから今はわざと下品で愚かなふりをしよう。パンにはそのままかぶりつき、スープは皿に直接口をつけ音をだして飲んだ。
ゴドフロア叔父様はぎょっとしたが注意はできない。だって、貧乏人の娘に私を仕立て上げたのは自分だから。
ドナシアン伯爵夫人は軽蔑の眼差しで蔑み、ブロンシュは嬉しそうに笑った。
「さぁ、私の新しい妹。一緒に学園に行きましょう。すごく楽しいことが待っているわよ。ところで、そのドレスはずいぶん仕立てがいいけど後で私にちょうだい」
(あぁ、親子で似ているわね……人の物を欲しがるところが……)
「酷いわ、お父様。嫌です」
(この茶番劇はなぁに?)
「お部屋は空いているところで構いませんし、ブロンシュ様と同等な扱いなど望んでいません。できれば、元いた屋敷に戻りたいのですが……」
「あぁ、あのボロボロな家はすでに売ってしまった。だって兄上達がいない今、アリゼが譲り受けたものは全て引き取ったわたしのものになるからね」
「全て? 嘘でしょう?」
「アリゼが16歳になるまでは、後見人として引き取ったわたしの裁量に任される。シドニー兄上に貸したお金もあるから、あの家を売ったお金は当然わたしのものになるのは了承してほしい。だがアリゼのドレスや宝石だけは、そのまま持っていて構わない。わたしの心は広いからね」
(なにを言っているの?)
ブロンシュの部屋を奪いたくもないのに押し付けられて、とても大事にする振りをするゴドフロア叔父様が不気味だった。
ディナーは食べたい気分ではないから断ると、ブロンシュがわざわざ部屋までやってきて嫌味を言う。
「ねぇ、マナーを知らないから夕食を一緒に食べようとしないのでしょう? 」
(本当にしつこい人ね)
「えぇ、マナーなんて全然知らないのよ。教えてくださらない?」
もう面倒だからそう言っておく。
「うふふ。教えてあげるわけないでしょう? あんたなんて、これからいっぱい恥をかけばいいのよ」
(そう言うと思ったわ)
家は勝手に売られ、お父様の絵は別な場所に持っていかれたようだ。残されたのは私のドレスと宝石類だけ。そういえばお母様のドレス類や宝石はどうしたのかしら?
その答えは翌朝、わかる。ドナシアン伯爵夫人がお母様の宝石を得意げに身に着けていたからだ。
「旦那様。こんな見事な宝石初めて身に着けましたわ。ありがとうございます」
朝食の食堂でドナシアン伯爵夫人が嬉しそうに微笑む様を見てゾッとする。
ゴドフロア叔父様がこのようなことを平然とするということは、もうこの宝石の持ち主が戻ってこないことを知っているからに違いない。
(証拠なんていらない。これは確信だ。あのゴドフロア叔父様はきっと……)
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「なんで座らないの? 朝食のマナーすらできないの?」
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ドナシアン伯爵夫人は軽蔑の眼差しで蔑み、ブロンシュは嬉しそうに笑った。
「さぁ、私の新しい妹。一緒に学園に行きましょう。すごく楽しいことが待っているわよ。ところで、そのドレスはずいぶん仕立てがいいけど後で私にちょうだい」
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