(完)悪役令嬢は惚れ薬を使って婚約解消させました

青空一夏

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この惚れ薬は本物?

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 ロミオ様が、なぜかこちらに来て私の手をとった。

「なぜ、赤いドレスを着ないの?」

 そうおっしゃって、自分で驚いて無言で去って行く。一瞬、優しい眼差しに戻ったのはなぜなのだろう? 
けれど、その三日後にはレティシア・パリセ男爵令嬢との婚約発表がなされた。

 レティシアがロミオ様の腕に手を絡めて登校するようになり、ロミオ様はあれ以来無視を決め込んでいる。
私はお父様にお願いして、ロミオ様と伯父様を屋敷に招いてほしいとお願いした。

「兄上は、昨日も我が家にお顔をお見せになったが王太子は招いても来ないだろう。まだ、諦められないのかい?」

「未練がましいのは、わかっているわ。でも、お願い! この薬を王太子に飲ませて・・・・・・」

「まさか、毒殺・・・・・・」

 私は、朗らかに笑った。市井で買ったことをはなし、試しに数滴、自分でも舐めてみたことを話した。

「こんなのは、みんなインチキだよ。中身はただの色付き水だ。ただ、それでソフィアの気がすむのならあのおバカな王太子に飲ませよう。スープかワイン、なんでもいいわからない方法でやってみよう」

 私は、この薬が効くなどとは思っていなかった。お父様が言うように、これはただの水だ。だって、これが本物なら昨日、私は犬がとても好きになっていたはずだから。

 幼い頃に噛まれて以来、小さな子犬ですら触れない。ハロルドは子犬を飼っていて、昨日は彼の家にお邪魔していた。自分のお茶に数滴垂らして飲んで子犬をじっと見つめたけれど少しも触れるようになれなかった。

 
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*

 ロミオ様は、しぶしぶ来たようで、ふてくされた様子が子供っぽかった。この方は、こんなに素直に感情を出す方だったろうか? 最初は、なんの変化もなかった。スープを飲んで、サラダを食べ終わったあたりから様子が違ってきた。私の瞳など見ることもなかったロミオ様が視線を合わせてきたのだ。

 メインディッシュのお肉を食べてワインを飲み干した時に、ロミオ様は私にこう言った。

「なんで、赤いドレスを着ないの? 今のドレスも似合っているけれどね。それで、私達はいつ婚約できるのかな?」

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