(完)悪役令嬢は惚れ薬を使って婚約解消させました

青空一夏

文字の大きさ
上 下
2 / 8

2、不思議な薬を購入するソフィア

しおりを挟む
「どうして、急にそのようなことをおっしゃるのですか? 先日までの私達は愛し合っておりました」

「あぁ、ソフィア! 貴女にはわからないだろうな。『真実の愛』というものは前触れもなくやってくるのだ。まるで『神の啓示』のようにな! それで、ソフィアには反省の為に三日ほど謹慎を命じる。今後、レティシアを傷つけることはこの私が許さないからな!」

 ロミオ様は、レティシア・パリセ男爵令嬢の怪我が私のせいだと決めつけたまま、不機嫌な様子で帰っていった。

「なんだ? あのばか王太子は? あれは、あんなに阿呆だったかな?」

 お父様が首を傾げた。お母様も、呆れて首を横に振った。

「あんな方と婚約しなくてかえって良かったですわ。さぁ、ソフィアちゃん。こんなことは忘れましょう。三日間も学園に行かなくていいなら、お母様と市井の商店街にでも遊びに行きましょう」

「ふむ。それが、いい。私は兄上(王)に報告してくる。こんな濡れ衣を着せられて黙ってはいられん!」

 お父様は王様に会いに行かれる様子です。私は、すっかり落ち込んでしまって自室に戻った。

『・・・・・私はレティシアと婚約することにした。』と、ロミオ様はおっしゃった。

 『真実の愛』って、なんだろう? 私とロミオ様との愛こそ、それだと思っていたのにこんなにも簡単に壊れるということは、違ったということだ。

 その日の夜遅くに王宮からお戻りになったお父様は、私の部屋をノックした。

「ソフィア。起きているかい?」

 私は、起きていると返事をした。お父様は、私の部屋に入ってくると気遣わしげに私を見つめた。

「兄上に会って、ソフィアのことは信じてもらえたよ。ただ、ロミオ王子はどうにもレティシア様に夢中で王の言うことも耳に入らないらしい。一過性の恋煩いだと思うから様子を見ると言われたよ」

 一過性の恋煩いってなに? 待っていれば、ロミオ様の心は戻ってくるの? 

 翌日、お母様とのお買い物で、市井に行った際に見つけた出店で、私は不思議な薬を見つけた。

老女がその薬を取って見ている私に『それは恋のお呪い、いわゆる惚れ薬さ』と言った。

「ソフィアちゃん! 何をしているの? 向こうの通りのカフェに入りましょう? お母様は喉が渇いたわ」

 そのお母様の言葉に慌てて、私はその老女にお金を払いポケットにしまった。

 その後、その老女が『あれ、あたしゃ、間違えたようだよ』とぼそっと呟いた声は私には届かなかった。

 三日後、学園に行くと私の机には落書きがされ『意地悪女』と書かれていたのだった。



୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

※宣伝です。不快な方はお読みにならないでください。


作者のTwitter @bluesky1170 よろしければフォローお願いします😊
固定ツイートに『○○読んでいる。フォローしたよ』と知らせていただければ必ずフォロバさせていただきます🌸
ご愛読いただきまして、ありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾

「婚約破棄されたので、もう縋る女はやめました」なぜか、恋愛路線から外れコメディー路線のホームセンター冨士山のお話になっております。毎回、事件が起こります。よろしくお願いします(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾


しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

結婚式をボイコットした王女

椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。 しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。 ※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※ 1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。 1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。

ふまさ
恋愛
 楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。  でも。  愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。  この作品は、小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました

紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。 ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。 ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。 貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

この恋を忘れたとしても

喜楽直人
恋愛
卒業式の前日。寮の部屋を片付けていた私は、作り付けの机の引き出しの奥に見覚えのない小箱を見つける。 ベルベットのその小箱の中には綺麗な紅玉石のペンダントが入っていた。

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。 アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。 15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした

miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。 婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。 (ゲーム通りになるとは限らないのかも) ・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。 周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。 馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。 冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。 強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!? ※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

婚約破棄がお望みならどうぞ。

和泉 凪紗
恋愛
 公爵令嬢のエステラは産まれた時から王太子の婚約者。貴族令嬢の義務として婚約と結婚を受け入れてはいるが、婚約者に対して特別な想いはない。  エステラの婚約者であるレオンには最近お気に入りの女生徒がいるらしい。エステラは結婚するまではご自由に、と思い放置していた。そんなある日、レオンは婚約破棄と学園の追放をエステラに命じる。  婚約破棄がお望みならどうぞ。わたくしは大歓迎です。

処理中です...