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1、大好きなロミオ様の心変わり
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私は自分の容姿が嫌いだ。なぜ、こんなに勝ち誇ったような顔つきなのかしら? プライドが高そうで、冷たい女に見える。実際は少しもそんなことはないのに・・・・・・王太子のロミオ様は私の本質を誰より見てくれていた。
「私は、ソフィアのその猫のような瞳も、ツンと高いお鼻も、バラ色の唇も大好きさ。そして、ソフィアが誰よりも優しいことも知っているよ」
ロミオ様がそうおっしゃってくださったから、とても嬉しかった。私達はとても愛し合っていた。
「また、明日、学園で会おう!」
「はい。大好きです」
幸せな気分でその日も別れた。
そうして、翌日のこと、学園に着いたばかりの私は廊下で、ざわざわと声がする方向に歩いていった。
そこでは、なんと、ロミオ様がレティシア様を背負って保健室に行こうとしていた。レティシア様の膝からは血が出ていた。
朝っぱらから、そんな怪我をどこで負ったのだろう? ぼんやりと見ていると、レティシア様が私を指さした。
「ソフィア・ローズ公爵令嬢が私を突き飛ばしたんです!」
え? 私は、今、登校してきたばかりですよ?
皆が一斉に、こちらを見て囁く声が聞こえた。
「「「あぁ、ソフィア・ローズ公爵令嬢ならやりかねないわよね?」」」
「「「そうよね? あんなつり目の美人は意地悪な悪役令嬢と相場が決まっているわ」」」
女生徒達は声を揃えて言う。なぜ、容姿だけで判断するの?でも、ロミオ様だけはわかってくれるはずだわ。
けれど、その期待は見事に裏切られた。
「ソフィア・ローズ公爵令嬢! 見損なったぞ! なぜ、レティシアを突き飛ばしたんだ?」
「え? 私は、さきほど学校に着いたばかりで、そのようなことはしておりません!」
「嘘をつけ! ソフィアは勝ち気でわがままな顔をしている。どう見たって貴女がやったとしか思えない」
顔で判断された私は、どうやって反論すればいいのかわからない。
「ちっ! ソフィア・ローズ公爵令嬢の処分は追って伝える。屋敷に帰って謹慎をしておけ!」
反論するタイミングもなく、保健室に向かって足早に去って行くロミオ様を呆然と見つめていた。
いったい、なにが起きたのだろう? 私は屋敷に戻る道すがら、考えていた。私が、嫌われるようなことをなにかしたのかな?
それとも、なにかしなければいけないことをしなかったのかな? 正解がわからない・・・・・・
大好きな人に、信じてもらえず、顔のことまで言われて、思わず馬車のなかで涙がこぼれた。
屋敷に戻ると、専属侍女のエリーが驚きの表情で駆けてきた。
「お嬢様! 泣いてらっしゃるのですか? しかも、なぜ学園に行ったばかりで帰っていらっしゃったのですか?」
私は、エリーに抱きついて泣いた。そう、私は見た目は悪役令嬢っぽいけれど、普通の傷つきやすい女の子なんだ。
屋敷に入って居間に行くと、お母様もびっくりして声をかけてきた。
「ソフィアちゃん。どうしたの?」
お母様の優しい声でもっと涙が溢れたけれど、理由は言えないでいた。自分が学園でそんな扱いを受けたことを言うのが恥ずかしかった。
けれど、夕方にロミオ様がやって来て全部を両親に知られてしまった。
「ソフィア・ローズ公爵令嬢は、性格が悪すぎる。私は、昨日までなぜこのソフィアと婚約しようと思ったのかよくわからない。ソフィアは今日、レティシア・パリセ男爵令嬢をつきとばして怪我をさせた。私は、もうこのソフィアと婚約する気はなくなった」
ロミオ様は、私を汚いものをみるような眼差しで見つめた。
「それは、一方的ではありませんか? 証拠はどこにあるのです?」
お父様はロミオ様に尋ねた。
「証拠? そんなものなどいらない! なぜならレティシア・パリセ男爵令嬢が嘘を言うわけがないからだ!」
「は? 申し訳ありませんが、意味がわかりかねますわ」
お母様が、怪訝なお顔をされた。
「全く! この親にしてこの子ありだな! 少しは気がつけ! この意味は私がレティシアを愛しているということだ。『真実の愛』の前では人は誰でも嘘はつけないだろう? 私とレティシアは『真実の愛』で結ばれているのだ。だから、わたしは、レティシアと婚約することにした。」
「私は、ソフィアのその猫のような瞳も、ツンと高いお鼻も、バラ色の唇も大好きさ。そして、ソフィアが誰よりも優しいことも知っているよ」
ロミオ様がそうおっしゃってくださったから、とても嬉しかった。私達はとても愛し合っていた。
「また、明日、学園で会おう!」
「はい。大好きです」
幸せな気分でその日も別れた。
そうして、翌日のこと、学園に着いたばかりの私は廊下で、ざわざわと声がする方向に歩いていった。
そこでは、なんと、ロミオ様がレティシア様を背負って保健室に行こうとしていた。レティシア様の膝からは血が出ていた。
朝っぱらから、そんな怪我をどこで負ったのだろう? ぼんやりと見ていると、レティシア様が私を指さした。
「ソフィア・ローズ公爵令嬢が私を突き飛ばしたんです!」
え? 私は、今、登校してきたばかりですよ?
皆が一斉に、こちらを見て囁く声が聞こえた。
「「「あぁ、ソフィア・ローズ公爵令嬢ならやりかねないわよね?」」」
「「「そうよね? あんなつり目の美人は意地悪な悪役令嬢と相場が決まっているわ」」」
女生徒達は声を揃えて言う。なぜ、容姿だけで判断するの?でも、ロミオ様だけはわかってくれるはずだわ。
けれど、その期待は見事に裏切られた。
「ソフィア・ローズ公爵令嬢! 見損なったぞ! なぜ、レティシアを突き飛ばしたんだ?」
「え? 私は、さきほど学校に着いたばかりで、そのようなことはしておりません!」
「嘘をつけ! ソフィアは勝ち気でわがままな顔をしている。どう見たって貴女がやったとしか思えない」
顔で判断された私は、どうやって反論すればいいのかわからない。
「ちっ! ソフィア・ローズ公爵令嬢の処分は追って伝える。屋敷に帰って謹慎をしておけ!」
反論するタイミングもなく、保健室に向かって足早に去って行くロミオ様を呆然と見つめていた。
いったい、なにが起きたのだろう? 私は屋敷に戻る道すがら、考えていた。私が、嫌われるようなことをなにかしたのかな?
それとも、なにかしなければいけないことをしなかったのかな? 正解がわからない・・・・・・
大好きな人に、信じてもらえず、顔のことまで言われて、思わず馬車のなかで涙がこぼれた。
屋敷に戻ると、専属侍女のエリーが驚きの表情で駆けてきた。
「お嬢様! 泣いてらっしゃるのですか? しかも、なぜ学園に行ったばかりで帰っていらっしゃったのですか?」
私は、エリーに抱きついて泣いた。そう、私は見た目は悪役令嬢っぽいけれど、普通の傷つきやすい女の子なんだ。
屋敷に入って居間に行くと、お母様もびっくりして声をかけてきた。
「ソフィアちゃん。どうしたの?」
お母様の優しい声でもっと涙が溢れたけれど、理由は言えないでいた。自分が学園でそんな扱いを受けたことを言うのが恥ずかしかった。
けれど、夕方にロミオ様がやって来て全部を両親に知られてしまった。
「ソフィア・ローズ公爵令嬢は、性格が悪すぎる。私は、昨日までなぜこのソフィアと婚約しようと思ったのかよくわからない。ソフィアは今日、レティシア・パリセ男爵令嬢をつきとばして怪我をさせた。私は、もうこのソフィアと婚約する気はなくなった」
ロミオ様は、私を汚いものをみるような眼差しで見つめた。
「それは、一方的ではありませんか? 証拠はどこにあるのです?」
お父様はロミオ様に尋ねた。
「証拠? そんなものなどいらない! なぜならレティシア・パリセ男爵令嬢が嘘を言うわけがないからだ!」
「は? 申し訳ありませんが、意味がわかりかねますわ」
お母様が、怪訝なお顔をされた。
「全く! この親にしてこの子ありだな! 少しは気がつけ! この意味は私がレティシアを愛しているということだ。『真実の愛』の前では人は誰でも嘘はつけないだろう? 私とレティシアは『真実の愛』で結ばれているのだ。だから、わたしは、レティシアと婚約することにした。」
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