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おまけ 読者様リクエスト 姉視点
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私は鈴木いろは。私には2歳下の妹がいるのだけれど、この子は昔から私のものを奪うのが大好きだった。おまけに、巧妙に嘘をつく。
あれは幼い頃にお気に入りだった髪飾り。妹が勝手につけているから怒ったら、床に足をジタバタさせて怒り狂った。そのせいでテーブルのフラワーアレンジメントは床に落ち、私が飲んでいた紅茶はこぼれ、妹の服を汚した。
騒ぎを駆けつけて両親が来る頃には、きちんとソファに座り悲劇のヒロインのように振る舞う結愛だ。その素晴らしい豹変ぶりには、私も呆れるしかなかった。
「お姉様の髪飾りを少し借りただけなのに、とても怒ってこのとおりですわ」
床に落ちたフラワーアレンジメントに服のシミ。これは私の仕業とされた。
ピンクとブルーの服を買ってもらえば、初めはピンクを選んだくせにいつのまにかブルーも着ていて・・・・・・2着とも妹のものになっていた。
服やアクセサリーならまだしも、友人までも奪っていくことがある結愛には嫌悪感しかなかった。
本当に子供の頃は苦労したものよ。
ꕤ୭*
大人になってからは、なるべく私は結愛には関わらない。あんな子が小学校の先生になった時には驚き呆れて、担当される子供が不憫でならないと思った。
私は公務員になり、異例の出世頭として女性課長に就任した。
ある日、五条優というイケメン議員さんがうちの課に相談に来た。
「実は家族に怠け者がいて困っています」
そんな言葉ではじまった話は、聞けば聞くほど清々しいクズの話で、思わずその根性をたたき直してやりたくなる子達だった。
二人とも高校を中退し、パチンコとゲームしかしない金食い虫らしい。レタス農家がいくら儲かるといっても、極楽とんぼが2匹ってきついと思う。
「お金なんて使うのは簡単だからね。毎日、パチンコ三昧・ゲーム三昧ではいつか破綻する。どうにかして家の手伝いでもいいからやってほしいんだよ。パチンコも控えてほしいしなぁ」
「ご両親はなんておっしゃっているのですか?」
「猫可愛がりだな。昔から、あいつらには甘いから」
こんな話を聞けば、同情も芽生えてそこから少しだけ愛が生まれた。そんな時に家族に彼を紹介したのは失敗だった。
結愛は案の定、優さんを欲しがったから。でも、私は無自覚にこうなることを予想していたのかも。
「ごめぇーーん。お姉様の婚約者は私が寝取っちゃったぁーー」
下品な言い方を私の耳元で、そっとささやく結愛。
「お姉様の婚約者が素敵だったから・・・・・・お姉様、許して! 結愛がいけないのよ!」
その一方で、大きな声で両親の前では、しおらしい妹を演じる。
優さんを見れば、困ったような表情で申し訳なさそうにしていた。わかっていますとも! 貴方は多分、少しも悪くないはず。
私は悲しい気持ちの反面、妹から解放された喜びと『ざまぁみろ』という気分を同時に味わっていた。
優さんが好きな気持ちはあったけれど、多分それは恋い焦がれるほどのものではなかったのだ。そして、彼の家族の抱える泥沼な構図も、どこかで私はリスクがありすぎると感じていたのかも。
ふっ。ずるいのは私なのかしら? でも、私はなにもしていない。妹に優さんを見せただけ。
私はつぶやく。
飛んで火に入る夏の虫って結愛のことよね?
完
あれは幼い頃にお気に入りだった髪飾り。妹が勝手につけているから怒ったら、床に足をジタバタさせて怒り狂った。そのせいでテーブルのフラワーアレンジメントは床に落ち、私が飲んでいた紅茶はこぼれ、妹の服を汚した。
騒ぎを駆けつけて両親が来る頃には、きちんとソファに座り悲劇のヒロインのように振る舞う結愛だ。その素晴らしい豹変ぶりには、私も呆れるしかなかった。
「お姉様の髪飾りを少し借りただけなのに、とても怒ってこのとおりですわ」
床に落ちたフラワーアレンジメントに服のシミ。これは私の仕業とされた。
ピンクとブルーの服を買ってもらえば、初めはピンクを選んだくせにいつのまにかブルーも着ていて・・・・・・2着とも妹のものになっていた。
服やアクセサリーならまだしも、友人までも奪っていくことがある結愛には嫌悪感しかなかった。
本当に子供の頃は苦労したものよ。
ꕤ୭*
大人になってからは、なるべく私は結愛には関わらない。あんな子が小学校の先生になった時には驚き呆れて、担当される子供が不憫でならないと思った。
私は公務員になり、異例の出世頭として女性課長に就任した。
ある日、五条優というイケメン議員さんがうちの課に相談に来た。
「実は家族に怠け者がいて困っています」
そんな言葉ではじまった話は、聞けば聞くほど清々しいクズの話で、思わずその根性をたたき直してやりたくなる子達だった。
二人とも高校を中退し、パチンコとゲームしかしない金食い虫らしい。レタス農家がいくら儲かるといっても、極楽とんぼが2匹ってきついと思う。
「お金なんて使うのは簡単だからね。毎日、パチンコ三昧・ゲーム三昧ではいつか破綻する。どうにかして家の手伝いでもいいからやってほしいんだよ。パチンコも控えてほしいしなぁ」
「ご両親はなんておっしゃっているのですか?」
「猫可愛がりだな。昔から、あいつらには甘いから」
こんな話を聞けば、同情も芽生えてそこから少しだけ愛が生まれた。そんな時に家族に彼を紹介したのは失敗だった。
結愛は案の定、優さんを欲しがったから。でも、私は無自覚にこうなることを予想していたのかも。
「ごめぇーーん。お姉様の婚約者は私が寝取っちゃったぁーー」
下品な言い方を私の耳元で、そっとささやく結愛。
「お姉様の婚約者が素敵だったから・・・・・・お姉様、許して! 結愛がいけないのよ!」
その一方で、大きな声で両親の前では、しおらしい妹を演じる。
優さんを見れば、困ったような表情で申し訳なさそうにしていた。わかっていますとも! 貴方は多分、少しも悪くないはず。
私は悲しい気持ちの反面、妹から解放された喜びと『ざまぁみろ』という気分を同時に味わっていた。
優さんが好きな気持ちはあったけれど、多分それは恋い焦がれるほどのものではなかったのだ。そして、彼の家族の抱える泥沼な構図も、どこかで私はリスクがありすぎると感じていたのかも。
ふっ。ずるいのは私なのかしら? でも、私はなにもしていない。妹に優さんを見せただけ。
私はつぶやく。
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