2 / 3
中編 クズの親もクズだった
しおりを挟む
私は携帯を取り出しその会話を録音、寝室の扉を開けて無言で録画もしてみたわ。やはり証拠は大事だもの。
「え? きゃぁーー! ちょっと、なに録画しているのよ? 止めてよ! いくらなんでも人権侵害よ」
「ぷっ、人権侵害? アンタはそれ以上のことを今しているけどね? こういうのをなんて言えばいいのかしらねぇ? 領域侵害? 陣地侵害? 聖域侵害? 家庭保全侵害危険物体に人権なんてないわよ!」
「うわぁーー! サシャ? お前、なんでここに? なんで、いきなり帰ってくるんだよ! 普通は帰る前に電話をいれるべきだろう? 今はこういう文明の機器があるんだ! なんで俺達を嵌めるんだ?」
「私が悪いのですか? 自分の住む屋敷にいきなり帰ってきてはいけないルールなんてありました?」
「子供が産めなかったサシャが悪いでしょう?」
マリーは痛いところをえぐってくる。
「そうだ! 連絡もしないでいきなり帰ってくるお前が悪い」
これは屁理屈! ダメージで言えばノーカウント。ただムカつき度はアップした。
二人は口々に私を責め立てる。
ーーだったら裁判でもなんでもやってみましょうか?
「わかりました。でしたら、この証拠は全部有効活用させていただきますね! 次に会うのは法廷で!」
私は荷物をさっさとまとめて、実家のデルモント侯爵家に帰った。
「お母様、ただいま戻りました!」
「あら、まぁ。どうしたというの?」
「この携帯の動画をどうぞ」
そこに映し出されている画像を見るなりお母様はニヤリと笑った。
「サシャを怒らせたらまずいのに。この人達はわかっているの?」
「いいえ、少しも・・・・・・あははは! わかっていないようですわ」
携帯にうつる義母からのメールの文面に思わず笑った私だ。
ーー夫のアークが味方にしたくて急いで親に電話したのだろう。
サシャさん。息子が女を屋敷に連れ込んでいたという事件は聞きましたよ。けれど貴女にも責任はあるんじゃなくて? こちらが涼しいからってサラドレ伯爵家の別荘に月の半分も来ていれば寂しいに決まっていますよ。これはあなたにも原因があるのよ?
――誰の為に別荘に行ったと思っているのよ? ならば、全力で潰して良いですよね?
私は裁判に持ち込むことを先方に通知した。
突然押しかけてきた義両親。
――ご病気ではなかったんですか? 義母は杖もなく歩いてくるし、義父は曲がっていた腰がきっちり伸びていた。
「あら、まぁ。いきなり元気になったんですね? 良かったこと」
「そんなことはどうでもよろしい! 裁判沙汰にするのだけは止めてちょうだい
! 良い笑い者になってしまうわ。貴女だって親友に寝取られた間抜けな女と言われるのよ?」
「うふふ。そうですね? 夫が浮気しているのにその義両親のお世話をしに往復4時間もかけて通っていた私ほど愚か者はいないでしょうね?」
「そ、そんなことは、嫁なんだから当たり前でしょう!」
「当たり前ですか・・・・・・だったら不倫した夫を訴えるのも当たり前の嫁の権利です」
「くっ。いいですか? 女はこういったことには耐える必要があります!」
私は数日前までは仲良しだと思っていた義母の瞳をじっと見つめて、ふわりと微笑んでやった。
「そういえば、お義父様はあの隣の別荘のお祖母様と毎週お散歩してますわよ。もうそのお歳ですし今まで黙っていることが家庭円満と思っていましたが、その言葉を聞いて気を使う必要がないと気がつきました。お義母様は耐えられる方なのですものね? お義父様の彼女は一人ではありませんよ。多分3人? でも、耐えてくださいね? 女はこういったことには耐える必要があるのでしょう?」
「え? きゃぁーー! ちょっと、なに録画しているのよ? 止めてよ! いくらなんでも人権侵害よ」
「ぷっ、人権侵害? アンタはそれ以上のことを今しているけどね? こういうのをなんて言えばいいのかしらねぇ? 領域侵害? 陣地侵害? 聖域侵害? 家庭保全侵害危険物体に人権なんてないわよ!」
「うわぁーー! サシャ? お前、なんでここに? なんで、いきなり帰ってくるんだよ! 普通は帰る前に電話をいれるべきだろう? 今はこういう文明の機器があるんだ! なんで俺達を嵌めるんだ?」
「私が悪いのですか? 自分の住む屋敷にいきなり帰ってきてはいけないルールなんてありました?」
「子供が産めなかったサシャが悪いでしょう?」
マリーは痛いところをえぐってくる。
「そうだ! 連絡もしないでいきなり帰ってくるお前が悪い」
これは屁理屈! ダメージで言えばノーカウント。ただムカつき度はアップした。
二人は口々に私を責め立てる。
ーーだったら裁判でもなんでもやってみましょうか?
「わかりました。でしたら、この証拠は全部有効活用させていただきますね! 次に会うのは法廷で!」
私は荷物をさっさとまとめて、実家のデルモント侯爵家に帰った。
「お母様、ただいま戻りました!」
「あら、まぁ。どうしたというの?」
「この携帯の動画をどうぞ」
そこに映し出されている画像を見るなりお母様はニヤリと笑った。
「サシャを怒らせたらまずいのに。この人達はわかっているの?」
「いいえ、少しも・・・・・・あははは! わかっていないようですわ」
携帯にうつる義母からのメールの文面に思わず笑った私だ。
ーー夫のアークが味方にしたくて急いで親に電話したのだろう。
サシャさん。息子が女を屋敷に連れ込んでいたという事件は聞きましたよ。けれど貴女にも責任はあるんじゃなくて? こちらが涼しいからってサラドレ伯爵家の別荘に月の半分も来ていれば寂しいに決まっていますよ。これはあなたにも原因があるのよ?
――誰の為に別荘に行ったと思っているのよ? ならば、全力で潰して良いですよね?
私は裁判に持ち込むことを先方に通知した。
突然押しかけてきた義両親。
――ご病気ではなかったんですか? 義母は杖もなく歩いてくるし、義父は曲がっていた腰がきっちり伸びていた。
「あら、まぁ。いきなり元気になったんですね? 良かったこと」
「そんなことはどうでもよろしい! 裁判沙汰にするのだけは止めてちょうだい
! 良い笑い者になってしまうわ。貴女だって親友に寝取られた間抜けな女と言われるのよ?」
「うふふ。そうですね? 夫が浮気しているのにその義両親のお世話をしに往復4時間もかけて通っていた私ほど愚か者はいないでしょうね?」
「そ、そんなことは、嫁なんだから当たり前でしょう!」
「当たり前ですか・・・・・・だったら不倫した夫を訴えるのも当たり前の嫁の権利です」
「くっ。いいですか? 女はこういったことには耐える必要があります!」
私は数日前までは仲良しだと思っていた義母の瞳をじっと見つめて、ふわりと微笑んでやった。
「そういえば、お義父様はあの隣の別荘のお祖母様と毎週お散歩してますわよ。もうそのお歳ですし今まで黙っていることが家庭円満と思っていましたが、その言葉を聞いて気を使う必要がないと気がつきました。お義母様は耐えられる方なのですものね? お義父様の彼女は一人ではありませんよ。多分3人? でも、耐えてくださいね? 女はこういったことには耐える必要があるのでしょう?」
94
お気に入りに追加
480
あなたにおすすめの小説

婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています


王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

誰も残らなかった物語
悠十
恋愛
アリシアはこの国の王太子の婚約者である。
しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。
そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。
アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。
「嗚呼、可哀そうに……」
彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。
その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

そのご令嬢、婚約破棄されました。
玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。
婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。
その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。
よくある婚約破棄の、一幕。
※小説家になろう にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる