（完）旦那様、あなたの愛はどこにあるのですか？

13 R18

※　結構、荒んだお話しになります。いや、なんでこうなったかは不明(^_^;　ダークです。青空はサイコパスじゃないですよぉ、念のため（笑）
　勇気のある方だけお読みくださいまし。読み終わった後の、もやもや感がなんとも･･････
　次回はラブラブのヒロインのお話ですので、これは飛ばしても大丈夫です（お気に入りはそのままでぇ！🙇🏻‍♀️）

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　私は賊頭が戻るのを待ち、彼は指がついたままの指輪を私に渡す。変色した指は腐敗しかけて、骨も露出していた。この指輪を私は覚えている。確かにジュスタンの指輪だ。

「あっははは。ざまぁないわね。私とならきっとうまくいったのに。バカな男！」

「これで満足かい？　さて、それじゃぁ、お前の望みは叶えたからもういいよな。娼館に行きな。あばよ」

「え？　どういうことよ？　なんで私がそんなところに行くのよ？」

「あぁ、俺様は、もっとビビッとくる女に出会ったのさ。お前はもう用済みなんだよ」

「だって、私をぴったりだって、言ったじゃない？　俺の為に産まれてきた女だって･･････言ったでしょう？」

「あぁ、言ったけどよぉ。もっと俺の心を揺さぶる女ができたんだからしょうがねーーよなぁ？　つべこべ言わず、行けよ。もう、前金は受け取っちまった」

（前金？　こいつ、私を売ったんだ･･････ちっくしょーー、許さない！　私を裏切る者は皆死んじゃえ！）

　私はこいつの後ろから、テーブルにあった果物ナイフを背中にぶっ刺した。一回、二回、三回。さっきまでリンゴをむいていた、とても良く切れるナイフだ。突き刺すたびにそいつの服が赤い血で染まる。3回目で赤い血がどくどくと吹き出し、賊頭がゆっくりと倒れていく。

「おい、お前･･････まさか俺が女に殺されるなんてなぁ･･････はははは、なんてこった。油断･･････した･･････よ」

　裏切り者の命が消えていく。

（ざまぁみろ！　私を裏切るからこういうことになるのよ）

　でも、油断していたのは彼だけじゃなかった。私は後ろから女が近づいて来たことに、まるで気がつかなかったのだ。

　背中に激しい痛みを感じ、この私からも血が流れ出す。初めはとても痛いけれど、段々と痛みはなくなり意識が遠のく私の耳に、女の馬鹿笑いが聞こえた。

「あっははは！　あんたぁーー！　この賊頭ったら、自分の女に殺されちゃった。良かったわね、今度はあんたが賊頭ね？　これで、あたいを奥さんにしてくれるんでしょう？　ほら、賊頭を殺った女は、あたいが殺したからさぁ」

「あぁ、よくやったなぁ。お前はやっぱりいい女だよ。でもなぁ、お前も、もう実は用済みだよ」
　私を刺した女は、今度は「あんたぁーー」と、呼びかけた男から胸をナイフで刺される。

「これで邪魔者は全部消えたぜ。お前達は痴情のもつれで殺し合ったんだよ。賊頭は今日から俺だし、今まで稼いだ金も全て俺のもんさぁーー。あっはははは」

　私は心の中で笑う。お前だっていずれ誰かに殺される。こんな盗人達の荒んだ世界で、仲間割れは定期的におこる。誰も、永遠にボスでなんかいられないんだ。

　私は血の海のなかで、瞼を閉じた。