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8 ガマちゃん達の祖母は妖精 / メイド視点 / ビアス侯爵代行視点
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※ランドアイズ視点(脚を怪我した小さなガマちゃん)
ターナー伯爵家の池を住処としいていた僕達のお爺様は、かつて妖精の森に探検に向かい迷子になったことがある。そのときに美しい花の妖精に助けられたそうだよ。妖精に一目ぼれをしたお爺さまは、何度もプロポーズを重ねて、やっとお嫁さんにすることができたんだって。
それから、お爺さまはターナー伯爵家で家族を増やしていったわけなんだけれど、子孫である僕達には普通のガマガエルとは違う能力が備わっていたんだ。
妖精の血を引く僕らは人間の言葉だけでなく、他の動物たちの言葉も理解できるんだよ。これは、妖精の魔法の力が僕らに与えられた結果みたい。ただ、餌になる蚊、ハエ、蜘蛛、ミミズ、アリ、バッタみたいな小さな動物の言葉はわからない。
もし、彼らの言葉がわかったら、きっと可哀想で食べられなくなるから、その点は良かったと思う。僕らは森や自然と深いつながりを持ち、他の動物たちとコミュニケーションを取ることができるってわけ。さらに、僕らは妖精の力を受け継いでいるから、必要な場合に限り一時的に人間の姿に変身することもできるんだ。
僕たち一族はそんな能力を知られることなく、ターナー伯爵家で平穏に暮らしていた。ここの当主様と次期当主様のクリスフォード様は、動物好きで温厚な方達だったから、とても住み心地が良かったんだ。
☆彡 ★彡
ある日、クリスフォード様がとっても可愛い女性を屋敷に連れてきた。
きっとお嫁さんになる人だ! 優しい人だといいなぁ。
僕たちは遠くから静かに彼女を見守っていたよ。彼女の名前はブロッサム。名前も可愛いし、働き者みたいだった。僕の脚もね、優しく手当してくれたんだよ。おまけに、その後イナゴを小さく切った餌を僕に食べさせてくれて、名前までつけてくれたんだ!
僕たち一族は彼女を守ると決めた。僕ら、妖精の血を受け継いだガマガエル達は、ブロッサム様に忠誠を誓ったんだ。優しくて可愛くて綺麗なブロッサム様に意地悪するやつは僕たちが許さないぞ!
ちなみにウサギのバニラとはすぐに仲良しになれたよ。彼は普通のウサギだったけれど、僕らは妖精の血が入っているから彼とは会話ができる。彼は僕と同じように、ブロッサム様に感謝していたから、すぐに仲良くなれた。
彼もブロッサム様から助けてもらったんだって。ワイン煮にされるところだったらしい。助けられて本当に良かったよね。
☆彡 ★彡
その夜、メイド達の部屋から悪巧みが聞こえてきた。
「ガマガエルをベッドの上に放り投げたら、グルーを髪につけてやろうよ」
「グルーか。あれは髪の毛を洗ってもとれないから、おもしろいことになりそうだねぇ」
「あの綺麗な髪をバリカンで刈ってやれるわ。あたい達に虫なんて食わせて、絶対に許さないんだから!」
なんか、おばさん達の嫉妬って怖いな。ブロッサム様が若くて綺麗なことが気にくわないのかな?
僕らはブロッサム様のベッドに放り込まれたけれど、彼女を守るように周りを取り囲む形で着地したよ。メイドはブロッサム様が怖がらなかったから不満顔だった。
なんて、意地悪なおばさんだろう? そんなことばかりしているから、眉間の皺が深くなるんだよ!
メイド達が、グルーをブロッサム様に塗りつけようとした瞬間、僕らは勢いよくジャンプした。僕の脚はその頃にはだいぶ回復していたんだ。妖精の血が流れているから怪我が治るのが早いんだよ。
僕と一族の皆はメイドたちに向かって、おしっこのしずくをぶちまけた。このために皆我慢していたから、大量のしずくがメイドたちの顔に当たり、彼女たちはびしょ濡れになって、驚きと恐れに顔を醜く歪めていたよ。
でも、それだけじゃ僕たちは満足しないよ。ガマ毒攻撃で少し反省させなくてはね。
ガマ毒は弱い毒だけど、メイドたちの肌をピリピリさせることができるんだ。毒を分泌させながら、僕はメイド達の鼻先でくるりとまわって見せた。毒が彼女達の顔にほんの少しづつかかっていった。
メイドたちは不快そうに身をよじらせ、涙を流しながら痛がったんだ。
※メイドのパティ視点
「きゃぁーー。痛い。痛い」
「なにかイボからおかしな液体を出したわよ」
「ピリピリするわぁーー!! 助けてぇーー」
「あら、大変かも。ガマガエルは、自身を捕食者から守るために毒をだしますのよ。外敵が近づくと、毒腺から毒液が分泌されるみたい。神経毒や皮膚刺激物質が含まれているのでお気をつけ遊ばせ」
「なんでそんなことを知っているのよ! しかもメイドのくせに、貴族みたいな話し方をしないでよ」
「動物図鑑を絵本代わりに育ちましたので動物の生態は暗記しています。話し方はあなたがたの真似をすれば良いのですか? 頑張ってみますねっ!」
ブロッサムはにっこりと笑顔を見せた。
おかしい! いくら意地悪しても、なんで笑っていられるの? あたいらじゃぁ、この子には敵わない。あたいは敗北を悟った。多分、人間の器が違う。
「覚えてなさいよー! 寝るときはちゃんと鍵をかけて、お腹にはタオルケットをかけないと許さないんだからぁーー」
あたいはグルーをあの子の髪につけなくて良かったと思ったし、寝る際の注意事項をしっかり伝えたのだった。
※ちょこっとビアス侯爵代行視点
王宮内には書類提出のための専門の窓口があり、領主や役人が書類をその宮廷書記に提出するのだが、大抵の貴族達は自分で出向かず、屋敷の侍従などに持って行かせていた。
ブロッサムが作成した書類は、いつもすんなりと受理されていた。ちなみに今回は、私とコーデリアが全部作成した。その書類の全部が全部、突き返されたのだ。
いったいどこが間違っているんだ? さっぱりわからん。ブロッサムよ、帰ってきてくれぇーー!
ターナー伯爵家の池を住処としいていた僕達のお爺様は、かつて妖精の森に探検に向かい迷子になったことがある。そのときに美しい花の妖精に助けられたそうだよ。妖精に一目ぼれをしたお爺さまは、何度もプロポーズを重ねて、やっとお嫁さんにすることができたんだって。
それから、お爺さまはターナー伯爵家で家族を増やしていったわけなんだけれど、子孫である僕達には普通のガマガエルとは違う能力が備わっていたんだ。
妖精の血を引く僕らは人間の言葉だけでなく、他の動物たちの言葉も理解できるんだよ。これは、妖精の魔法の力が僕らに与えられた結果みたい。ただ、餌になる蚊、ハエ、蜘蛛、ミミズ、アリ、バッタみたいな小さな動物の言葉はわからない。
もし、彼らの言葉がわかったら、きっと可哀想で食べられなくなるから、その点は良かったと思う。僕らは森や自然と深いつながりを持ち、他の動物たちとコミュニケーションを取ることができるってわけ。さらに、僕らは妖精の力を受け継いでいるから、必要な場合に限り一時的に人間の姿に変身することもできるんだ。
僕たち一族はそんな能力を知られることなく、ターナー伯爵家で平穏に暮らしていた。ここの当主様と次期当主様のクリスフォード様は、動物好きで温厚な方達だったから、とても住み心地が良かったんだ。
☆彡 ★彡
ある日、クリスフォード様がとっても可愛い女性を屋敷に連れてきた。
きっとお嫁さんになる人だ! 優しい人だといいなぁ。
僕たちは遠くから静かに彼女を見守っていたよ。彼女の名前はブロッサム。名前も可愛いし、働き者みたいだった。僕の脚もね、優しく手当してくれたんだよ。おまけに、その後イナゴを小さく切った餌を僕に食べさせてくれて、名前までつけてくれたんだ!
僕たち一族は彼女を守ると決めた。僕ら、妖精の血を受け継いだガマガエル達は、ブロッサム様に忠誠を誓ったんだ。優しくて可愛くて綺麗なブロッサム様に意地悪するやつは僕たちが許さないぞ!
ちなみにウサギのバニラとはすぐに仲良しになれたよ。彼は普通のウサギだったけれど、僕らは妖精の血が入っているから彼とは会話ができる。彼は僕と同じように、ブロッサム様に感謝していたから、すぐに仲良くなれた。
彼もブロッサム様から助けてもらったんだって。ワイン煮にされるところだったらしい。助けられて本当に良かったよね。
☆彡 ★彡
その夜、メイド達の部屋から悪巧みが聞こえてきた。
「ガマガエルをベッドの上に放り投げたら、グルーを髪につけてやろうよ」
「グルーか。あれは髪の毛を洗ってもとれないから、おもしろいことになりそうだねぇ」
「あの綺麗な髪をバリカンで刈ってやれるわ。あたい達に虫なんて食わせて、絶対に許さないんだから!」
なんか、おばさん達の嫉妬って怖いな。ブロッサム様が若くて綺麗なことが気にくわないのかな?
僕らはブロッサム様のベッドに放り込まれたけれど、彼女を守るように周りを取り囲む形で着地したよ。メイドはブロッサム様が怖がらなかったから不満顔だった。
なんて、意地悪なおばさんだろう? そんなことばかりしているから、眉間の皺が深くなるんだよ!
メイド達が、グルーをブロッサム様に塗りつけようとした瞬間、僕らは勢いよくジャンプした。僕の脚はその頃にはだいぶ回復していたんだ。妖精の血が流れているから怪我が治るのが早いんだよ。
僕と一族の皆はメイドたちに向かって、おしっこのしずくをぶちまけた。このために皆我慢していたから、大量のしずくがメイドたちの顔に当たり、彼女たちはびしょ濡れになって、驚きと恐れに顔を醜く歪めていたよ。
でも、それだけじゃ僕たちは満足しないよ。ガマ毒攻撃で少し反省させなくてはね。
ガマ毒は弱い毒だけど、メイドたちの肌をピリピリさせることができるんだ。毒を分泌させながら、僕はメイド達の鼻先でくるりとまわって見せた。毒が彼女達の顔にほんの少しづつかかっていった。
メイドたちは不快そうに身をよじらせ、涙を流しながら痛がったんだ。
※メイドのパティ視点
「きゃぁーー。痛い。痛い」
「なにかイボからおかしな液体を出したわよ」
「ピリピリするわぁーー!! 助けてぇーー」
「あら、大変かも。ガマガエルは、自身を捕食者から守るために毒をだしますのよ。外敵が近づくと、毒腺から毒液が分泌されるみたい。神経毒や皮膚刺激物質が含まれているのでお気をつけ遊ばせ」
「なんでそんなことを知っているのよ! しかもメイドのくせに、貴族みたいな話し方をしないでよ」
「動物図鑑を絵本代わりに育ちましたので動物の生態は暗記しています。話し方はあなたがたの真似をすれば良いのですか? 頑張ってみますねっ!」
ブロッサムはにっこりと笑顔を見せた。
おかしい! いくら意地悪しても、なんで笑っていられるの? あたいらじゃぁ、この子には敵わない。あたいは敗北を悟った。多分、人間の器が違う。
「覚えてなさいよー! 寝るときはちゃんと鍵をかけて、お腹にはタオルケットをかけないと許さないんだからぁーー」
あたいはグルーをあの子の髪につけなくて良かったと思ったし、寝る際の注意事項をしっかり伝えたのだった。
※ちょこっとビアス侯爵代行視点
王宮内には書類提出のための専門の窓口があり、領主や役人が書類をその宮廷書記に提出するのだが、大抵の貴族達は自分で出向かず、屋敷の侍従などに持って行かせていた。
ブロッサムが作成した書類は、いつもすんなりと受理されていた。ちなみに今回は、私とコーデリアが全部作成した。その書類の全部が全部、突き返されたのだ。
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