5 / 7
5 再教育か棄てるかどっち? 修行に出そう(ソフィアのお母様視点)
しおりを挟む
「あぁ、まずは、マリは当然のことながらクビですよ。いますぐ、荷物をまとめて出て行きなさい」
私は、酷なようだけれど迷わずに決断した。
「あぁ、そんなぁーー。ここは、とても条件が良くて、お給料もとても良かったのに・・・・・・お願いです・・・・・・月に30万ダランいただける職場などここしかありません」
30万ダラン? このマリは雑用女のはず。相場は月に10万ダランがいいところなのに・・・・・・なぜ30万ダラン? 一人前の侍女の給料でも20万ダランなのに!
「なぜ、30万ダラン? ソフィアや! この者の給料は10万ダランでしょう?」
「マリは雑用女の給料ですから8万ダランしかあげていないはずですわ。だって、仕事といえばほんとに雑用をするだけで、洗濯女やコックは別にいますし、掃除をする者も別にいますから・・・・・・」
私達は、ダニエルをじっと見て舌打ちをした。犯人はこいつか・・・・・・
全く、私も一人娘のソフィアがかわいくて、この男を夫にすることを、つい許してしまった。
大事な、大事な跡取り娘が惚れた男なら悪さをしなければ、ダニエル様でもいいかと思ったのだ。
ソフィアは優秀で商才はあるし、五カ国語を話せる才女だった。自慢の娘も、男選びの才能はなかったようだ。
これは、私の失態だわ。
ソフィアには、たくさんの一流の家庭教師をつけていた。
この世界では15歳で成人扱いだから13歳ともなれば、跡取り娘は、母屋とは別に屋敷を建ててもらえて、そこに使用人を雇い住むことができた。
この男が来たときに、少しでも、厳しく教育し立場をわからせてやれば良かったのに・・・
こんなぼんくらになってしまっては、後の祭りか・・・・・・
*:゚+。.☆
「ダニエル様。マリのお給料を水増ししたのは貴方ですか? そのお金はどこから?」
「あぁ、それは、もちろん私のお金からだ。私は、いつもソフィアからお小遣いをもらっている。そのなかで、少しだけ余計にたしてやっただけだ。マリはよく働くからな」
働き方が違う気もしたが、まぁいいとして。お小遣い?
「ソフィア! ダニエル様になにか仕事をまかせたことは?」
まさか、この婿はなにもしていなかったわけではあるまい・・・・・・
「仕事・・・・・・ダニエル様は数字を見ると頭が痛くなると言うので経理関係の書類を扱わせるのは諦めました。取引先との打ち合わせに使う資料や書類作成をお願いすると、きまって腹痛をおこすのでそれも諦めました・・・・・・力仕事も、筋トレのダンベルは軽々と持ち上げるのですが、雑穀が入った麻袋などは腰がぬけるとおっしゃって・・・・・・ダニエル様は虚弱体質でかわいそうな方なのです」
「ソフィア! それは、ただの怠け者です」
あれほど、仕事を完璧にこなし、取引に関係する使用人や従業員には厳しいソフィアが、こんなバカ婿の寝言のような言い訳を信じるとは・・・・・・恋は盲目とはこのことか・・・・・・
「ダニエル様、貴方は取引先に半年か一年ほど修行に行きなさい! 反省して生活を改めなければいけません」
翌日、私は、手頃な取引先に出向き、要件を伝えた。
「うちの婿殿を修行のために預かってもらえませんか? 職場は綺麗な女性がたくさんいる部署に配置してください。住むところも、歓楽街に近い場所を用意して・・・・・・」
取引先の社長は、狸のような笑顔で、
「あぁ、追い出したいのですね? うちの息子も、そちらに修行に出したいのですがねぇ」
と言ったのだった。
私は、酷なようだけれど迷わずに決断した。
「あぁ、そんなぁーー。ここは、とても条件が良くて、お給料もとても良かったのに・・・・・・お願いです・・・・・・月に30万ダランいただける職場などここしかありません」
30万ダラン? このマリは雑用女のはず。相場は月に10万ダランがいいところなのに・・・・・・なぜ30万ダラン? 一人前の侍女の給料でも20万ダランなのに!
「なぜ、30万ダラン? ソフィアや! この者の給料は10万ダランでしょう?」
「マリは雑用女の給料ですから8万ダランしかあげていないはずですわ。だって、仕事といえばほんとに雑用をするだけで、洗濯女やコックは別にいますし、掃除をする者も別にいますから・・・・・・」
私達は、ダニエルをじっと見て舌打ちをした。犯人はこいつか・・・・・・
全く、私も一人娘のソフィアがかわいくて、この男を夫にすることを、つい許してしまった。
大事な、大事な跡取り娘が惚れた男なら悪さをしなければ、ダニエル様でもいいかと思ったのだ。
ソフィアは優秀で商才はあるし、五カ国語を話せる才女だった。自慢の娘も、男選びの才能はなかったようだ。
これは、私の失態だわ。
ソフィアには、たくさんの一流の家庭教師をつけていた。
この世界では15歳で成人扱いだから13歳ともなれば、跡取り娘は、母屋とは別に屋敷を建ててもらえて、そこに使用人を雇い住むことができた。
この男が来たときに、少しでも、厳しく教育し立場をわからせてやれば良かったのに・・・
こんなぼんくらになってしまっては、後の祭りか・・・・・・
*:゚+。.☆
「ダニエル様。マリのお給料を水増ししたのは貴方ですか? そのお金はどこから?」
「あぁ、それは、もちろん私のお金からだ。私は、いつもソフィアからお小遣いをもらっている。そのなかで、少しだけ余計にたしてやっただけだ。マリはよく働くからな」
働き方が違う気もしたが、まぁいいとして。お小遣い?
「ソフィア! ダニエル様になにか仕事をまかせたことは?」
まさか、この婿はなにもしていなかったわけではあるまい・・・・・・
「仕事・・・・・・ダニエル様は数字を見ると頭が痛くなると言うので経理関係の書類を扱わせるのは諦めました。取引先との打ち合わせに使う資料や書類作成をお願いすると、きまって腹痛をおこすのでそれも諦めました・・・・・・力仕事も、筋トレのダンベルは軽々と持ち上げるのですが、雑穀が入った麻袋などは腰がぬけるとおっしゃって・・・・・・ダニエル様は虚弱体質でかわいそうな方なのです」
「ソフィア! それは、ただの怠け者です」
あれほど、仕事を完璧にこなし、取引に関係する使用人や従業員には厳しいソフィアが、こんなバカ婿の寝言のような言い訳を信じるとは・・・・・・恋は盲目とはこのことか・・・・・・
「ダニエル様、貴方は取引先に半年か一年ほど修行に行きなさい! 反省して生活を改めなければいけません」
翌日、私は、手頃な取引先に出向き、要件を伝えた。
「うちの婿殿を修行のために預かってもらえませんか? 職場は綺麗な女性がたくさんいる部署に配置してください。住むところも、歓楽街に近い場所を用意して・・・・・・」
取引先の社長は、狸のような笑顔で、
「あぁ、追い出したいのですね? うちの息子も、そちらに修行に出したいのですがねぇ」
と言ったのだった。
26
お気に入りに追加
613
あなたにおすすめの小説
側室を用意したら離縁して下さいますか?
ヘロディア
恋愛
育ちがよく、幸せな将来を予想していた主人公。彼女の結婚相手は望んでいた結婚とは大違いであった。
夜中になると貪るように彼女を求めてくる彼と、早く離婚したいと願うようになり…
結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」
「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」
「ま、まってくださ……!」
「誰が待つかよバーーーーーカ!」
「そっちは危な……っあ」
団長サマの幼馴染が聖女の座をよこせというので譲ってあげました
毒島醜女
ファンタジー
※某ちゃんねる風創作
『魔力掲示板』
特定の魔法陣を描けば老若男女、貧富の差関係なくアクセスできる掲示板。ビジネスの情報交換、政治の議論、それだけでなく世間話のようなフランクなものまで存在する。
平民レベルの微力な魔力でも打ち込めるものから、貴族クラスの魔力を有するものしか開けないものから多種多様である。勿論そういった身分に関わらずに交流できる掲示板もある。
今日もまた、掲示板は悲喜こもごもに賑わっていた――
国外追放なんて簡単にはできません
章槻雅希
ファンタジー
とある王国での、卒業パーティでの婚約破棄騒動後、国外追放になった令嬢を国境まで送り届ける兵士たちの話。
ほぼ1場面の小話です。
婚約破棄の場面は出てきません。
『小説家になろう』に重複投稿しています。
聖なる歌姫は喉を潰され、人間をやめてしまいました。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ロレーナに資格はない!」
「歌の下手なロレーナ!」
「怠け者ロレーナ!」
教会の定めた歌姫ロレーナは、王家の歌姫との勝負に負けてしまった。それもそのはず、聖なる歌姫の歌は精霊に捧げるもので、権力者を喜ばせるものではない。
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
【完結】慈愛の聖女様は、告げました。
BBやっこ
ファンタジー
1.契約を自分勝手に曲げた王子の誓いは、どうなるのでしょう?
2.非道を働いた者たちへ告げる聖女の言葉は?
3.私は誓い、祈りましょう。
ずっと修行を教えを受けたままに、慈愛を持って。
しかし。、誰のためのものなのでしょう?戸惑いも悲しみも成長の糧に。
後に、慈愛の聖女と言われる少女の羽化の時。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる