5 / 12
5
しおりを挟む
あの女性は、嘲笑うような眼差しを私に向けていた。バラ色のふっくらした頬に大きな瞳が印象的だった小柄な女性。
ローリー様はあのようなタイプの女性がお好みだったのか・・・・・・婚約者に忘れられた屈辱と情けなさで思わず涙がこぼれる。屋敷に着く頃には、目元がすっかり赤く腫れていた。
サロンを通り抜けて、自室に向かおうとした私をお母様が引き留める。
「ジョージア。どうしたというの? なんでそんなに目が・・・・・・」
「ちょっと思いがけないことがありました。後でお話しますわ。今は一人になりたいの」
「またあの性悪マカロン侯爵夫人に意地悪されたのね? だから、もう行かないように言ったでしょう? いつまでもお人好しは・・・・・・」
「えぇ、お母様。『お人好しは利用されて終わる』ですよね? いい勉強になったかもしれません。ローリ様が妻子を連れてお戻りになり、私に『君は誰かな?』と訊きました」
「なんてこと! それでマカロン侯爵夫人はなんとおっしゃったの? まさかその女を歓迎した?」
「はい、とても喜んでいらっしゃいました。そして私に『役目は終わった』と、おっしゃいました」
お母様は怒りに綺麗なお顔を歪ませ、お父様の執務室に飛び込んでいった。やがてかんかんになったお父様がやっていらして貴族裁判にかけると意気込む。
「婚約しているにも拘わらず妻子を作ったのは、明らかな不貞行為! 慰謝料でも請求しなければこちらの気がおさまらん!」
「お父様、落ち着いて! きっとこの場合だと慰謝料はもらえませんよ。戦死の通知で、法律上は婚約も白紙になったはずです。あちらのお屋敷に通って無駄な時間を過ごしたのは私の責任。全て自業自得なのです」
「・・・・・・くっそっ! 忌々しい侯爵家のバカ息子め! だが、おかしいぞ。なんで死んだはずの人間が無傷で、妻子まで連れて戻ってくるんだ。戦地で亡くなった者は骨の一部が遺族に戻されるが、じゃぁマカロン侯爵家に送られてきた骨は誰のものだ?」
「確かに不思議ですね。どこもお怪我はされていないようでした」
「これは、国王陛下に調べていただく必要があるだろう。ジョージア、すぐに行こう! なにか臭うぞ。早速、王宮に赴きご報告をしなければならない」
☆彡
――王宮内の謁見室にて。国王陛下の傍らには騎士団長、副団長。今回の戦死記録を管理している文官の長が控えているーー
「これほどすぐにお目通りが叶うとは思いませんでした。私はチェリル伯爵家の当主オリバー・チェリルでございます。こちらは娘のジョージア・・・・・・国王陛下におかれましてはご機嫌麗しく・・・・・・」
「あぁ、挨拶などは省いてよい。副団長が会うようにと、余に詰め寄って来てうるさかった。で、マカロン侯爵家のローリーが敵前逃亡の疑いがあるとは誠か?」
「はい。無傷で妻子を伴い、本日マカロン侯爵家に戻って来たそうです」
「チェリル伯爵が見たのか? ローリーはどんな様子だった?」
「私が見ました。私はチェルリ伯爵家の三女です。国王陛下にはご機嫌麗しく・・・・・・」
「だから挨拶は省略で良い。で、詳細を聞こう」
「はい、ローリー様の顔色はとても良く、どこにも怪我はないようでした。そして小柄な黒髪の女性と幼児を連れていました。ご自分の妻子だとおっしゃって、婚約者の私がわからないようでした」
「はっ! 無傷で妻子まで連れてご帰還かい? 婚約者の顔もわからない? ずいぶん都合のいいことがあるものだ!」
副騎士団長のバッチをつけた男性が吐き捨てるように言った。国王陛下の御前だというのに、とてもリラックしすぎだし語調が驚くほど強い。
「陛下。マカロン侯爵家の息子の配属先は前線地域ではなかったはずで、考えたら戦死というのも妙ですね。あの時期は、病気が蔓延していたわけでもなかった気がします」
文官が記録書をめくって首を傾げている。
「おっしゃるように前線ではなく野外病院がある地域です。兵器や整備部品などの補給管理のお仕事になると、出征前におっしゃっていたのを覚えています」
私は、文官の男性に遠慮がちに話しかける。
「あぁ、だったら戦闘で死ぬことはありえないです! 野外病院を構えた地域はかなり安全で、病気で死ぬことはあっても、戦の傷で死ぬことないはず・・・・・・国王陛下、ローリーの遺体として扱われた者がどんな状態だったか、徹底的に調べる必要があると思います」
騎士団長が国王陛下に進言した。
「だったらその男は敵前逃亡というよりは脱走兵ですね。怪我をして次々と運び込まれてくる者達を見て耐えきれなくなったんでしょう。最前線の者は戦うのに必死で逃げる余裕さえないが、兵站部隊にはたまにそういう腰抜けが出てくる」
副団長が吐き捨てるように言うと、私に目を向けた。
「ジョージアもくだらない婚約者をもったね。これからどうするつもりかな? 婚約者は戻ってきたけれど妻子がいたのでは話にならない」
「え! 私をご存じですか? あの・・・・・・面識はございましたか? えっと、私は両親の迷惑にならないように修道院にでも入って、戦死した方達の為に祈り続けようかと思います」
「おい、おい。私を忘れたのかい? 貴族学園で1学年上の騎士科に通っていたベンジャミン・ジュードだよ」
「はい? あのベンジャミン様ですか? 国王陛下の甥の? よく図書館でお会いすることがありましたよね?」
「そうだよ! 思い出してくれて嬉しいよ。今はベンジャミン・ジュード公爵だ。父の爵位を最近継いだばかりだよ。で、修道院に入るって本気なのかい? 君はずっと天文学者に憧れていただろう? 結婚だってこれからできるのに?」
「結婚・・・・・・無理です。だって、もう貴族の同じ年頃の男性は結婚しているか婚約者がいて・・・・・・天文学はまだ学びたい気持ちはありますが、留学なんてお金がかかりすぎて・・・・・・」
「ちなみに私はまだ独身だ。しかも爵位を継いだばかりなので、急遽妻を募集している。それからジュード公爵家は金持ちなので、外国の天文学者ぐらい屋敷に招き、いくらでも専属家庭教師にしてあげられるよ?」
「へ?」
私は思わずおかしな声をだしてしまう。一方、お父様は期待のこもったキラキラの眼差しをベンジャミン様に向けた。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
※兵站(へいたん):戦闘部隊の後方にあって、兵器や整備部品の補給・兵士に必要な物資の補給・医療などを担う雑務の総称。
ローリー様はあのようなタイプの女性がお好みだったのか・・・・・・婚約者に忘れられた屈辱と情けなさで思わず涙がこぼれる。屋敷に着く頃には、目元がすっかり赤く腫れていた。
サロンを通り抜けて、自室に向かおうとした私をお母様が引き留める。
「ジョージア。どうしたというの? なんでそんなに目が・・・・・・」
「ちょっと思いがけないことがありました。後でお話しますわ。今は一人になりたいの」
「またあの性悪マカロン侯爵夫人に意地悪されたのね? だから、もう行かないように言ったでしょう? いつまでもお人好しは・・・・・・」
「えぇ、お母様。『お人好しは利用されて終わる』ですよね? いい勉強になったかもしれません。ローリ様が妻子を連れてお戻りになり、私に『君は誰かな?』と訊きました」
「なんてこと! それでマカロン侯爵夫人はなんとおっしゃったの? まさかその女を歓迎した?」
「はい、とても喜んでいらっしゃいました。そして私に『役目は終わった』と、おっしゃいました」
お母様は怒りに綺麗なお顔を歪ませ、お父様の執務室に飛び込んでいった。やがてかんかんになったお父様がやっていらして貴族裁判にかけると意気込む。
「婚約しているにも拘わらず妻子を作ったのは、明らかな不貞行為! 慰謝料でも請求しなければこちらの気がおさまらん!」
「お父様、落ち着いて! きっとこの場合だと慰謝料はもらえませんよ。戦死の通知で、法律上は婚約も白紙になったはずです。あちらのお屋敷に通って無駄な時間を過ごしたのは私の責任。全て自業自得なのです」
「・・・・・・くっそっ! 忌々しい侯爵家のバカ息子め! だが、おかしいぞ。なんで死んだはずの人間が無傷で、妻子まで連れて戻ってくるんだ。戦地で亡くなった者は骨の一部が遺族に戻されるが、じゃぁマカロン侯爵家に送られてきた骨は誰のものだ?」
「確かに不思議ですね。どこもお怪我はされていないようでした」
「これは、国王陛下に調べていただく必要があるだろう。ジョージア、すぐに行こう! なにか臭うぞ。早速、王宮に赴きご報告をしなければならない」
☆彡
――王宮内の謁見室にて。国王陛下の傍らには騎士団長、副団長。今回の戦死記録を管理している文官の長が控えているーー
「これほどすぐにお目通りが叶うとは思いませんでした。私はチェリル伯爵家の当主オリバー・チェリルでございます。こちらは娘のジョージア・・・・・・国王陛下におかれましてはご機嫌麗しく・・・・・・」
「あぁ、挨拶などは省いてよい。副団長が会うようにと、余に詰め寄って来てうるさかった。で、マカロン侯爵家のローリーが敵前逃亡の疑いがあるとは誠か?」
「はい。無傷で妻子を伴い、本日マカロン侯爵家に戻って来たそうです」
「チェリル伯爵が見たのか? ローリーはどんな様子だった?」
「私が見ました。私はチェルリ伯爵家の三女です。国王陛下にはご機嫌麗しく・・・・・・」
「だから挨拶は省略で良い。で、詳細を聞こう」
「はい、ローリー様の顔色はとても良く、どこにも怪我はないようでした。そして小柄な黒髪の女性と幼児を連れていました。ご自分の妻子だとおっしゃって、婚約者の私がわからないようでした」
「はっ! 無傷で妻子まで連れてご帰還かい? 婚約者の顔もわからない? ずいぶん都合のいいことがあるものだ!」
副騎士団長のバッチをつけた男性が吐き捨てるように言った。国王陛下の御前だというのに、とてもリラックしすぎだし語調が驚くほど強い。
「陛下。マカロン侯爵家の息子の配属先は前線地域ではなかったはずで、考えたら戦死というのも妙ですね。あの時期は、病気が蔓延していたわけでもなかった気がします」
文官が記録書をめくって首を傾げている。
「おっしゃるように前線ではなく野外病院がある地域です。兵器や整備部品などの補給管理のお仕事になると、出征前におっしゃっていたのを覚えています」
私は、文官の男性に遠慮がちに話しかける。
「あぁ、だったら戦闘で死ぬことはありえないです! 野外病院を構えた地域はかなり安全で、病気で死ぬことはあっても、戦の傷で死ぬことないはず・・・・・・国王陛下、ローリーの遺体として扱われた者がどんな状態だったか、徹底的に調べる必要があると思います」
騎士団長が国王陛下に進言した。
「だったらその男は敵前逃亡というよりは脱走兵ですね。怪我をして次々と運び込まれてくる者達を見て耐えきれなくなったんでしょう。最前線の者は戦うのに必死で逃げる余裕さえないが、兵站部隊にはたまにそういう腰抜けが出てくる」
副団長が吐き捨てるように言うと、私に目を向けた。
「ジョージアもくだらない婚約者をもったね。これからどうするつもりかな? 婚約者は戻ってきたけれど妻子がいたのでは話にならない」
「え! 私をご存じですか? あの・・・・・・面識はございましたか? えっと、私は両親の迷惑にならないように修道院にでも入って、戦死した方達の為に祈り続けようかと思います」
「おい、おい。私を忘れたのかい? 貴族学園で1学年上の騎士科に通っていたベンジャミン・ジュードだよ」
「はい? あのベンジャミン様ですか? 国王陛下の甥の? よく図書館でお会いすることがありましたよね?」
「そうだよ! 思い出してくれて嬉しいよ。今はベンジャミン・ジュード公爵だ。父の爵位を最近継いだばかりだよ。で、修道院に入るって本気なのかい? 君はずっと天文学者に憧れていただろう? 結婚だってこれからできるのに?」
「結婚・・・・・・無理です。だって、もう貴族の同じ年頃の男性は結婚しているか婚約者がいて・・・・・・天文学はまだ学びたい気持ちはありますが、留学なんてお金がかかりすぎて・・・・・・」
「ちなみに私はまだ独身だ。しかも爵位を継いだばかりなので、急遽妻を募集している。それからジュード公爵家は金持ちなので、外国の天文学者ぐらい屋敷に招き、いくらでも専属家庭教師にしてあげられるよ?」
「へ?」
私は思わずおかしな声をだしてしまう。一方、お父様は期待のこもったキラキラの眼差しをベンジャミン様に向けた。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
※兵站(へいたん):戦闘部隊の後方にあって、兵器や整備部品の補給・兵士に必要な物資の補給・医療などを担う雑務の総称。
141
お気に入りに追加
2,678
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】記憶を失くした旦那さま
山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。
目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。
彼は愛しているのはリターナだと言った。
そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。
大好きなあなたを忘れる方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。
登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
・イーライ 学園の園芸員。
クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。
・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。
ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~
山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。
この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。
父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。
顔が良いから、女性にモテる。
わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!?
自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。
*沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?
ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。
アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。
15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話
殿下の婚約者は、記憶喪失です。
有沢真尋
恋愛
王太子の婚約者である公爵令嬢アメリアは、いつも微笑みの影に疲労を蓄えているように見えた。
王太子リチャードは、アメリアがその献身を止めたら烈火の如く怒り狂うのは想像に難くない。自分の行動にアメリアが口を出すのも絶対に許さない。たとえば結婚前に派手な女遊びはやめて欲しい、という願いでさえも。
たとえ王太子妃になれるとしても、幸せとは無縁そうに見えたアメリア。
彼女は高熱にうなされた後、すべてを忘れてしまっていた。
※ざまあ要素はありません。
※表紙はかんたん表紙メーカーさま
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】私の婚約者は、親友の婚約者に恋してる。
山葵
恋愛
私の婚約者のグリード様には好きな人がいる。
その方は、グリード様の親友、ギルス様の婚約者のナリーシャ様。
2人を見詰め辛そうな顔をするグリード様を私は見ていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】私を忘れてしまった貴方に、憎まれています
高瀬船
恋愛
夜会会場で突然意識を失うように倒れてしまった自分の旦那であるアーヴィング様を急いで邸へ連れて戻った。
そうして、医者の診察が終わり、体に異常は無い、と言われて安心したのも束の間。
最愛の旦那様は、目が覚めると綺麗さっぱりと私の事を忘れてしまっており、私と結婚した事も、お互い愛を育んだ事を忘れ。
何故か、私を憎しみの籠った瞳で見つめるのです。
優しかったアーヴィング様が、突然見知らぬ男性になってしまったかのようで、冷たくあしらわれ、憎まれ、私の心は日が経つにつれて疲弊して行く一方となってしまったのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる