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8 墓穴を掘ったキュルス侯爵家のおバカ者達(国王陛下視点)
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「そうですとも! おい、ウリエル! お前はこんな大それた詐欺をよくも思いついたな!前からなよなよしている男らしくない奴だとは思っていたが、こんなに情けない奴とは!」
キュルス侯爵の嫡男のオリバーは、鼻の穴を勢いよく広げて得意気だ。
「国王陛下、このウリエルを処刑してください! 陛下の前で偽りを言った大罪人です! このキュルス侯爵家から追い出すいい機会だ。お前が祖父母から相続したあの別邸を俺に引き渡せ! 三男にくせに生意気なんだよ!」
次男のカーティスはここぞとばかりに、前から狙っていた別邸をウリエルからかすめ取ろうとしていた。
「あぁ、いい機会です。この三男は昔から血が繋がっていないぐらい可愛くなかった。お前は勘当だ! 今後は私達とは赤の他人だ!」
愚かなキュルス侯爵は、せいせいしたと言わんばかりに大声でまくしたてている。
全く、バカ者どもがうるさいわ! 私はキュルス侯爵家の亡くなった爺さんは好きだったが、この息子と孫は愚かでほとほと困っていた。血が繋がっていないぐらい可愛くないだと? だろうな! お前らポンコツの血を多く受け継がなかったから、ウリエルは幼い頃から勉学に秀で品行方正な子供だったのさ。いわゆる隔世遺伝だろうよ。
キュルス侯爵家の当主はしばしば平民の女性に不埒な真似をしていると噂があったし、その嫡男は素行が悪く娼館に入り浸り、次男は賭け事好きなのだ! ろくでなしのこいつらは、ちょうどいい機会だから一掃してしまえ!
「おぉ。私もなぁ、お前達とこのウリエルとは縁を切ったほうがいいと、ずっとそう思っていたのだ」
「やった。それじゃ、お祖父様がウリエルに渡した遺産は次男の俺のものだ!」
「バカを言うな! 嫡男の俺のものだ!」
「うるさいわ! お前達はこれだからうんざりなんだ! こんなおバカたちは、由緒あるキュルス侯爵家の跡継ぎに相応しくないわ! キュルス侯爵家は三男のウリエルを当主と認める。お前達は望みどおりにウリエルとは縁を切らせよう! たった今からお前達はキュルス侯爵家の者ではない! 即刻、本邸から出て行け!」
「なぜですか? おかしいですよ!」
元キュルス侯爵家のアホどもが、口を揃えて言うのにも呆れた。
「おかしいだと? いいか? ここには我が国ばかりでなく、諸外国からもエルサファンの高位貴族達が来ている。諸外国の王族ですらお忍びで来ているというこのような場所で、兄弟ケンカまで始めようとする恥知らずな者が侯爵家など継げると思うか?」
「そ、そんなぁ~~俺たちは追い出されたらどこに行けばいいんだ。あ、ウリエルはほんとにエルサなのか?だったら、キュルス侯爵家の財産の何十倍も資産があるはず。俺たちにもわけてくれよぉ。兄弟だろう?」
「いや、私達はさきほど他人になりましたよね? 嫌です!」
「なんて酷い奴なんだ! お金を一人占めするなんて! 根性が曲がっているぞ!」
オリバーは叫び鼻水まで垂らしている。やれやれ、情けない奴だ。この期に及んでさんざんばかにしてきた弟にたかろうとするとは、プライドの欠片もないクソなんだな!
「おい、衛兵! こいつらの顔は見たくない。お引き取り願おうか」
私の言葉に衛兵は一斉に元キュルス侯爵夫妻とその息子達をつまみ出した。
――あぁ、すっきりしたわい! あぁ、肝心のクズを忘れていたなぁ。
このアラン・イーサ伯爵、お前も伯爵の地位には到底相応しくない愚か者よ。
さてと、このトンチンカンはどうするかなぁ?
キュルス侯爵の嫡男のオリバーは、鼻の穴を勢いよく広げて得意気だ。
「国王陛下、このウリエルを処刑してください! 陛下の前で偽りを言った大罪人です! このキュルス侯爵家から追い出すいい機会だ。お前が祖父母から相続したあの別邸を俺に引き渡せ! 三男にくせに生意気なんだよ!」
次男のカーティスはここぞとばかりに、前から狙っていた別邸をウリエルからかすめ取ろうとしていた。
「あぁ、いい機会です。この三男は昔から血が繋がっていないぐらい可愛くなかった。お前は勘当だ! 今後は私達とは赤の他人だ!」
愚かなキュルス侯爵は、せいせいしたと言わんばかりに大声でまくしたてている。
全く、バカ者どもがうるさいわ! 私はキュルス侯爵家の亡くなった爺さんは好きだったが、この息子と孫は愚かでほとほと困っていた。血が繋がっていないぐらい可愛くないだと? だろうな! お前らポンコツの血を多く受け継がなかったから、ウリエルは幼い頃から勉学に秀で品行方正な子供だったのさ。いわゆる隔世遺伝だろうよ。
キュルス侯爵家の当主はしばしば平民の女性に不埒な真似をしていると噂があったし、その嫡男は素行が悪く娼館に入り浸り、次男は賭け事好きなのだ! ろくでなしのこいつらは、ちょうどいい機会だから一掃してしまえ!
「おぉ。私もなぁ、お前達とこのウリエルとは縁を切ったほうがいいと、ずっとそう思っていたのだ」
「やった。それじゃ、お祖父様がウリエルに渡した遺産は次男の俺のものだ!」
「バカを言うな! 嫡男の俺のものだ!」
「うるさいわ! お前達はこれだからうんざりなんだ! こんなおバカたちは、由緒あるキュルス侯爵家の跡継ぎに相応しくないわ! キュルス侯爵家は三男のウリエルを当主と認める。お前達は望みどおりにウリエルとは縁を切らせよう! たった今からお前達はキュルス侯爵家の者ではない! 即刻、本邸から出て行け!」
「なぜですか? おかしいですよ!」
元キュルス侯爵家のアホどもが、口を揃えて言うのにも呆れた。
「おかしいだと? いいか? ここには我が国ばかりでなく、諸外国からもエルサファンの高位貴族達が来ている。諸外国の王族ですらお忍びで来ているというこのような場所で、兄弟ケンカまで始めようとする恥知らずな者が侯爵家など継げると思うか?」
「そ、そんなぁ~~俺たちは追い出されたらどこに行けばいいんだ。あ、ウリエルはほんとにエルサなのか?だったら、キュルス侯爵家の財産の何十倍も資産があるはず。俺たちにもわけてくれよぉ。兄弟だろう?」
「いや、私達はさきほど他人になりましたよね? 嫌です!」
「なんて酷い奴なんだ! お金を一人占めするなんて! 根性が曲がっているぞ!」
オリバーは叫び鼻水まで垂らしている。やれやれ、情けない奴だ。この期に及んでさんざんばかにしてきた弟にたかろうとするとは、プライドの欠片もないクソなんだな!
「おい、衛兵! こいつらの顔は見たくない。お引き取り願おうか」
私の言葉に衛兵は一斉に元キュルス侯爵夫妻とその息子達をつまみ出した。
――あぁ、すっきりしたわい! あぁ、肝心のクズを忘れていたなぁ。
このアラン・イーサ伯爵、お前も伯爵の地位には到底相応しくない愚か者よ。
さてと、このトンチンカンはどうするかなぁ?
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