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6 期待に胸を躍らす元夫(元夫視点)
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国王陛下の前で、泣き言のひとつも言うかと思われたアナスタシアは、しおらしく身を引いた。
僕のことを相当愛してくれていたのだろうな。僕の幸せのために涙をのんで別れてくれた彼女に感謝した。
その健気さにご褒美をあげたい。つまり慰謝料ぐらいはたっぷり払ってやるよ。どうせ僕の金はこれからいくらでも、エルサのお陰で増えるんだから。
早速、慰謝料3億ルピアを一括で払ったら良心の呵責もなくなった。アナスタシアのティーカップを売り続ければこんな金すぐに補填できるし、僕にはエルサがいるから痛くも痒くもない。
安心してこれからの希望に胸をときめかせている僕は、エルサに5億投資したが余裕だよね。父上も母上もこの投資に一枚噛んでいて、一族皆が僕のお陰で大金持ちになるのも目前だ。
「ちょっと隣国に商談で行ってくるわね。今年はシェルビーも呼んで大がかりなファッションショーもしたいのよ」
エルサは籍をいれてすぐに、隣国に精力的に仕事をしにいった。素晴らしい働き者だよ。
ところが、ひと月経ってもふた月経っても帰って来ない。おかしいなぁ。どこにいるのかもわからず、連絡がとれない・・・・・・
そんなことで悩んでいると、
「旦那様、前の奥様のティーカップを著作権保護委員会に差し押さえられました」
と、執事は僕に報告してきたんだ。
「なんでだよ?」
「えぇと、そのティーカップを売っては違法だそうです。著作権侵害になるそうです」
「へ?なんでだ・・・・・・」
嘘だろう? あのデザインはイーサ伯爵家のものになっていたのじゃないのか? 今後アナスタシアのデザインしたものは、ひとつも売れないことになり、もしそれを破って売った場合はかなり重い刑にあたるとのことだった。
母上も父上もここにきて絶望することになった。破滅だ・・・・・・
ーーあ、そうだ・・・・・・アナスタシアとよりをもどせばいいんじゃないかな? あの女は私に未練たっぷりだったからきっと泣いて喜ぶ。
数ヶ月ぶりにアナスタシアに譲った王都の屋敷に行くと、金髪で不思議な色合いの瞳の美女がおり、「どなた?」と尋ねられた。
「あの、前のイーサ伯爵夫人はどこにいますか?」
「ぷっ、あっはははは」
「目の前にいるでしょう?」
「え? 冗談ですよね? 僕の、あ、いえ、私の妻だった女はそんな美人ではないし」
「ほんのジョークよ。イーサ伯爵夫人だった女なんてもうこの世にはいないわ! さっさと帰ってちょうだい。私は彼女からここを買った新しい住人よ」
「あ、す、すいません」
領地の屋敷に戻ってよく考えたら、あの女性には見覚えがあった。エルサのファッション雑誌の表紙を飾るイメージモデルだ。
ーーなんで、あそこにいたのだろう?
そして、その3日後一通の招待状が送られてきた。エルサのファッションショーが3日後に王宮で開かれるという。王族や貴族がこぞって集まるそこで彼女は神秘のベールを脱ぐらしい。
あぁ、そうかエルサが帰って来ないのは僕をそこで驚かすつもりなんだ。サプライズでなにか用意してくれるのかもしれないな。
そう思うと安心してそのファッションショーの日が待ち遠しくなった。きっとエルサは王族や高位貴族の前で僕を夫と宣言してくれるはずだ。
「アラン・イーサ伯爵がこのエルサの最愛の夫です! 私の財産は彼のものでもあります。そう、アランのお陰で今の私があるのです!」
なぁ~~んて、きっと公式発表してくれるんだろうなぁ。どうしよう? それに応える気の利いた言葉を考えておかなくちゃ!
僕のことを相当愛してくれていたのだろうな。僕の幸せのために涙をのんで別れてくれた彼女に感謝した。
その健気さにご褒美をあげたい。つまり慰謝料ぐらいはたっぷり払ってやるよ。どうせ僕の金はこれからいくらでも、エルサのお陰で増えるんだから。
早速、慰謝料3億ルピアを一括で払ったら良心の呵責もなくなった。アナスタシアのティーカップを売り続ければこんな金すぐに補填できるし、僕にはエルサがいるから痛くも痒くもない。
安心してこれからの希望に胸をときめかせている僕は、エルサに5億投資したが余裕だよね。父上も母上もこの投資に一枚噛んでいて、一族皆が僕のお陰で大金持ちになるのも目前だ。
「ちょっと隣国に商談で行ってくるわね。今年はシェルビーも呼んで大がかりなファッションショーもしたいのよ」
エルサは籍をいれてすぐに、隣国に精力的に仕事をしにいった。素晴らしい働き者だよ。
ところが、ひと月経ってもふた月経っても帰って来ない。おかしいなぁ。どこにいるのかもわからず、連絡がとれない・・・・・・
そんなことで悩んでいると、
「旦那様、前の奥様のティーカップを著作権保護委員会に差し押さえられました」
と、執事は僕に報告してきたんだ。
「なんでだよ?」
「えぇと、そのティーカップを売っては違法だそうです。著作権侵害になるそうです」
「へ?なんでだ・・・・・・」
嘘だろう? あのデザインはイーサ伯爵家のものになっていたのじゃないのか? 今後アナスタシアのデザインしたものは、ひとつも売れないことになり、もしそれを破って売った場合はかなり重い刑にあたるとのことだった。
母上も父上もここにきて絶望することになった。破滅だ・・・・・・
ーーあ、そうだ・・・・・・アナスタシアとよりをもどせばいいんじゃないかな? あの女は私に未練たっぷりだったからきっと泣いて喜ぶ。
数ヶ月ぶりにアナスタシアに譲った王都の屋敷に行くと、金髪で不思議な色合いの瞳の美女がおり、「どなた?」と尋ねられた。
「あの、前のイーサ伯爵夫人はどこにいますか?」
「ぷっ、あっはははは」
「目の前にいるでしょう?」
「え? 冗談ですよね? 僕の、あ、いえ、私の妻だった女はそんな美人ではないし」
「ほんのジョークよ。イーサ伯爵夫人だった女なんてもうこの世にはいないわ! さっさと帰ってちょうだい。私は彼女からここを買った新しい住人よ」
「あ、す、すいません」
領地の屋敷に戻ってよく考えたら、あの女性には見覚えがあった。エルサのファッション雑誌の表紙を飾るイメージモデルだ。
ーーなんで、あそこにいたのだろう?
そして、その3日後一通の招待状が送られてきた。エルサのファッションショーが3日後に王宮で開かれるという。王族や貴族がこぞって集まるそこで彼女は神秘のベールを脱ぐらしい。
あぁ、そうかエルサが帰って来ないのは僕をそこで驚かすつもりなんだ。サプライズでなにか用意してくれるのかもしれないな。
そう思うと安心してそのファッションショーの日が待ち遠しくなった。きっとエルサは王族や高位貴族の前で僕を夫と宣言してくれるはずだ。
「アラン・イーサ伯爵がこのエルサの最愛の夫です! 私の財産は彼のものでもあります。そう、アランのお陰で今の私があるのです!」
なぁ~~んて、きっと公式発表してくれるんだろうなぁ。どうしよう? それに応える気の利いた言葉を考えておかなくちゃ!
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