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番外編

15  グラハム・サンジェルマンとの出会い 全年齢向け

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ꕤ୭*グラハム・サンジェルマンとの出会い(アイビー視点)


「僕はグラハム・サンジェルマンだよ。君、本は好き? 今、とても楽しい冒険ものを読んでいるんだ。女の子はそんなの興味ないのかな・・・・・・」

「ううん、そんなことないわ。私、本は大好きよ」
 グラハム・サンジェルマンとの出会いはお母様が作ってくれた。彼は金髪で蒼い瞳の優しい男の子だ。

 お母様が連れ出してくれた産まれて初めての楽しい馬車の旅にすっかり有頂天になり嬉しさに頬が染まった。そこで訪問したサンジェルマン侯爵家の嫡男。

 優しい口調と人懐っこい微笑み。すぐに打ち解けて話ができたのは驚きだった。一緒に本を読んで同じエピソードで笑えるって素敵なことだ。これも初めての経験。

ーーね? とても素敵な子でしょう?

 私に呼びかけるお母様の声に、私は頭の中で「うん」と答えた。

ーーでもね、アイビー。男の子はたくさんいるからね? 最初に決めない方がいいわ。だってお母様もアイビーのお父様を貴女の年頃で見初めたのですもの! 

 お母様が頭の中でお父様の悪口を連発していた。お父様は私を嫌いなのかと思っていたけれど「ただのヘタレなだけよ!」とお母様はおっしゃった。

ーーお母様といれば私は安心。このままずっと一緒にいたい。





 それから庭園をグラハム様と一緒に散歩をして、私のことを少しだけお話した。一度も外に出なかったことや笑ってはいけないと言われたことを話すと、顔色を変えて怒ってくれた。

「今日はここに泊まっていきなよ。そんなところに帰ったらなにをされるかわからないでしょう? 僕が父上に頼んであげる」

「うん、ありがとう!」

ーーお母様、ここに泊まっていいかしら?(アイビー)

ーーもちろんよ! オスカー公爵家は危険だから、もともと明日の夕方に戻る作戦よ。アイビーはグラハム君と遊んでいなさい。あ、でも惚れちゃだめよ!(イレーヌ)



 私のことを守るように一緒にいてくれるグラハム様・・・・・・嬉しそうに微笑む様は尻尾がはえていそう。にっこり微笑むグラハム様とはずっと仲良しでいられそうな気がしたのだった。

 
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