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番外編

14 ウィローはどうなったの? 全年齢向け

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「ウィロー! あのアイビーがあなたの地位を奪っていた悪い子なのよ。だから、思い知らせてあげていいの。だって、嘘つきの悪い子は懲らしめてわからせてあげるべきでしょう?」

 お母様もアンナもそう言って私を抱きしめた。私はオスカー公爵家に来てからずっと公爵令嬢だと言われ続けていた。
 だから、いつだって意地悪してアイビーが本気で死ねばいいと思った。


 ところが修道院で教えられたことは全く違った。私は鍛冶屋の父と下女の母の間に生まれた公爵令嬢どころか貴族でもないという。

 初めは信じられなかったけれど、シスター達が毎日私を諭して根気強く導いてくれた。しばらくすると、父だという男が月に一回訪ねてくれて話しをするようになった。

 幼い頃の記憶はおぼろげではあったが、ひげのある男性のイメージは父だったのかと納得した。抱っこされて遊んでもらった記憶が蘇ると、自分が貴族でもなんでもないと理解できた。


 それからは反省と後悔の日々だ。貴族でもない私が王族のアイビー様を虐めるなど、まさに万死に値する行為だと理解できた。

 母親とアンナは処刑されたとも聞かされ、自分達の行いがどれだけ罪深いものであったかを改めて身に染みて恐ろしさに震えた。




 毎朝早く起きて修道院の清掃をし、菜園で作物を育て牛の世話をし夕方には食事を協力しあってつくり、その後は寝る間際まで祈りを捧げる。

 楽しみはない。この生活自体を楽しむ心がなければ生きてはいけない。だから祈りのなかにも楽しみを見いだそうとした。

 祈れば祈るほど罪が一個一個はがれていくと思うようにしたり、祈りの言葉ひとつで地獄に墜ちたであろうお母様の苦痛が一瞬でも和らぐと想像もした。

 ここの修道院は規律も厳しくなく優しい場所だ。シスター達は根気強く教えてくれるし暴力などはない。穏やかな規則正しい生活は私を生まれ変わらせてくれたと思う。



 必要な学問もここで教えてもらい5年ほどが経った頃、素晴らしく美しい女の子が馬車から降り立ち私に話しかけた。

「ここでの暮らしはどうですか?」

「ここの生活は、地に足をつけて生きている喜びがあります。多くを望まず質素な当たり前の生活が私の生きる世界なのだと悟りました。」

「そう。ならば、私はあなたを許します」
 それだけ言って眩しい笑顔で去っていった美少女は私と同じぐらいの年齢で・・・・・・5年前の自信のない痩せ細った身体のアイビー様と気がつくのにかなりの時間がかかった。

「アイビー王女殿下からお許しがでましたよ。ウィローは市井で生活できますよ。どうしますか?」
 シスターの言葉に首を横に振った。私はお母様もアンナも処刑されたことを知っている。

「いいえ、ここで私は一生暮します。お母様とアンナの為にも安らかに眠るように祈りたいです」
 身の程知らずなことを考えたお母様とアンナの愚かさが今ならわかる。そして、私の罪もきっと一生かけないと償えないと気がついたのだ。




 それからたまにアイビー王女殿下がお菓子を差し入れに来てくださるようになった。感謝でいっぱいになって流す涙に甘いお菓子が、少しだけしょっぱい。



 それからずっとこの修道院で暮している。今の私は神の教えを学び、アイビー王女殿下の配慮のもと、修道院の長となるべき資格をとる為に勉学に励む日々だ。

「ウィローのような過去をもった女性が修道院で更生して、立派にその長にもなれたということがとても大事なことなのよ! あなたのような立場の人間の指針になってちょうだい! 人は立ち直れるんだ、そして生まれ変われるんだということを証明してほしいの」

 ありがたいお言葉に感謝しかない。今では国王陛下もすっかり許してくださった。これから、修道院もいろいろな改革をして一人でも多くの人間を救えるように頑張りたい!


ꕤ୭*国王陛下とオスカー公爵のお仕置き


「うっ、苦い!」

「げっ、まずっ」

「これさぁ、相当身体に良くないよね? 尋常じゃない苦さじゃん?」

「まぁ、そうは言ってもお母様がおっしゃったことですし・・・・・・飲むしかないのではないでしょうか?」

 澄ました顔のアイビーが国王陛下とオスカー公爵に世界一苦いけれど健康にいいというお茶を飲ませていた。

「はぁーー仕方がないな。毎日、コップ1杯なら許容範囲か」
 国王陛下がため息をつき、

「ですね」
と、オスカー公爵も相づちをうった。

 かくして、この苦行はおよそ1年続けられた。





 効能としては国王陛下は肌のキメが細かくなり、オスカー公爵は便秘が治ってよく眠れるようになったとか・・・・・・ 
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