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3 アンナにぶちかます(こんなの序章よ)(故イレーヌ王女殿下視点)/ アイビーが天才に? (アンナ視点)

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  ミランダは青ざめて私の前から姿を消したので、私はサロンの床を磨いているメイドに言った。
「今日は床を磨かないでいいわよ。だいたい、なんで午後のお茶の時間帯に掃除をさせるのよ、ミランダめっ! 掃除は朝早くのお客様が来ない時間帯にするものよ」   


  そして、私は侍女を呼びつけて、
「馬車を用意なさい。サンジェルマン侯爵邸を訪問するわ」
と、言い渡した。

「それはできません! アイビーお嬢様はこのお屋敷から一歩も出てはいけません!」
 横柄に言ってきた侍女を私はじっと見つめた。

「お前はいつからこの屋敷の主になったの? 私が外出すると言えば誰も止められる者はいないわ」

「なんの騒ぎですか! アイビー様、駄々をこねてはいけません!」
 アンナが鼻にかかった声で背後から声をかけてきたわ。

「あら、お前はまだ花粉症なのねぇーー。若い頃からで男ばかり追いかけ回して、馬小屋でイチャイチャしていた癖はぬけたのかしら?」

「えっ・・・・・・なんでそれを・・・・・・お、おほほ。面白い冗談ですねぇ?」

「あら、冗談じゃないわよ! お前のことは、なんでも知っていてよ。ところで、なぜお前達侍女が私の外出を止められるのか教えてちょうだい。侍女が主の直系のご令嬢に言っていいことと悪いことを、お前達が知らないはずはないわねぇ? そこ! 無駄話しをしない! この私が話しているのよ! 侍女の躾けがなってないわ」
 
 サロンの隅で固まって話しをする侍女達を一喝した私だ。ここは無法地帯だわ!

「ふん。アイビー様は侍女の心得を全部わかっていらっしゃるのですか? まだ、貴族学校も通う前の子供ではありませんか?」

「侍女の心得2,580条はそらで言えるわよ! ちなみにお前の今の言葉は不敬罪で鞭3回よ! 主をなじるような発言をすることは慎むべきとは第356条に記してあるわ! ところでひとつ聞きたいことがあるのだけれど、お前の給料は誰が払っている?」

「そ、それはオスカー公爵様です」

「違うわよ! エリック・オスカー公爵は事業の失敗で一時期破産しかけたのを、私が・・・・・・いいえ、お母様が降嫁した際の莫大な持参金で立て直したのよ。つまり、私のお母様からお前のお給金はでているのよ」

「ですから、あなたは罪な子なのです。あなたのせいで王女殿下はお亡くなり・・・・・・」

「お黙りなさい! この国の賢王女殿下と称えられたお母様が私のせいで命を落としたなどという発想をするわけがないでしょう! お母様は私をこの世に産んでとても嬉しいと思っています! お前ごときにお母様のことを語られたくないわ! 早く馬車を用意なさい! 」

「は、はい・・・・・・ですがミランダ様にお伺いをたてなければ。」

「ミランダは本当にお父様と結婚したの? 婚姻証明証は? 国王陛下の許可証は? あるというのなら持っていらっしゃい! それから、百歩譲ってもし結婚していたとしてもねぇ。私は王女殿下の娘ですよ! どちらの身分が上かもわからない愚か者がなぜ侍女長を名乗っているのよ!」

「あ、えっと、あの・・・・・・私は決して・・・・・・アイビー様のご機嫌を損ねようとは思っていなかったのです。ば、馬車はすぐに用意いたしますので」

「そう、わかればいいのよ。これからも自分の立場をよく思い出すことね。最も、これで終わりになんかしないわよ?」






ꕤ୭*アンナ視点



「あら、お前はまだ花粉症なのねぇ~~。若い頃から思い込みで男ばかり追いかけ回して、馬小屋でイチャイチャしていた癖はぬけたのかしら?」

 アイビー様からの爆弾発言に私は信じられない思いでいっぱいだ。なんでそんな昔のことを知っているのよ!


「侍女の心得2,580条はそらで言えるわよ! ちなみにお前の今の言葉は不敬罪で鞭3回よ! 主をなじるような発言をすることは慎むべきとは第356条に記してあるわ! 答えなさい。お前の給料は誰が払っている?」

 続けざまに出てくる侍女心得2,580条の知識に、私の頭はパニックだ! 私でさえ、覚えきれていないのに!

――ひぇ~~!! どういうことよ? 怖い! 怖い! なんでアイビーが天才になってるのぉ?


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