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二人の子供の処遇とベントレーの断罪(マーガレット視点)

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 「さてと、ミランダとジェームズがいなくなって、ずいぶん、法廷もすっきりしたな。ふぅーー、少し窓を開けよ! 新鮮な空気に入れ替えたい。だいぶ、淀んだ空気が溜まっていた。」

 王妃様は、深呼吸をなさって王様におっしゃった。

「さて、王様。次は王様がご判断してくださいませ。トマス公爵家の二人の子供の問題です」

「ふむ。良いだろう・・・・・・カトレーネ・トマス前公爵夫人はどうするつもりでおる?」

 王様は,カトレーネ・トマス前公爵夫人に優しく問いかけた。

「はい、二人の父親はこの浮気相手の5人の誰の子供でもありませんでした。今となっては、もう誰の子供であろうといいのです。公爵家の籍からは抜きますが、公爵家で育てあげいずれ召し抱えるなり騎士にしたいと思っております」

「これだけの醜聞が広まった貴族社会で家臣や騎士として生きるということは、ひどく辛いことだとは思わないのか? 人の口に戸は立てられない。何年経っても誰かが、それをネタに蔑みあざ笑うこともあるだろう」

「王様に失礼ながら申し上げます。醜聞に晒されるのが可哀想だからと、このトマス公爵家から遠い場所に住まわせたとします。醜聞からは逃れられるかもしれない。けれど、どこに行こうと生きていれば、なにかしら困難にぶつかり、悩み、苦しむことが必ずあるのです。ならば、見知った者のいる公爵家こそが彼らの生きる場所です。そうして、王様。私の目が黒いうちは、あの子達を絶対的に守りますとも! 心の強い子に育てあげますよ! このマーガレットと一緒に!」

 カトレーネ・トマス前公爵夫人は、しっかりと一言一言に力を込めておっしゃいました。王様は豪快にお笑いになっておっしゃいました。

「あぁ、貴女ならそう言うと思っていたよ。では、あの子達は公爵家からは籍を抜くが公爵家で育てよ。優秀に育てあげたなら、王家で真っ先に召し抱える。カトレーネ・トマス前公爵夫人よ、これからまだまだお互い長生きしないとな! 楽しい未来が待っているに違いない」
 
 王様は王妃様にもお顔をお向けになり微笑まれた。とても、和やかな空気に法廷は包まれたのだった。

 

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「この和やかな空気のなか、大変申し訳ありませんがまだ私の夫の処分が残っております!」

 そう、おっしゃったのはキンバリー・タタラン女伯爵だった。

「あぁ、そちらは私が裁こう」

 王妃様はベントレー様に冷たい視線を向けた。

「さてと、言い分は?」

「は、はい。いっときの気の迷いでした。本当に反省しております。もう、二度と妻を裏切ることはいたしません。なので、どうか、離婚だけは勘弁してください。タタラン家を追い出されたら,行くところがないのです」


「ふーーん。なんとも、情けない浮気者よ。浮気をするからには、バレた時のことも考えるべきだろう? なぜ、この期に及んで裏切った妻に縋ろうとするのだ? 虫が良すぎるであろう」

 王妃様は呆れてため息をつきながら、キンバリー・タタラン女伯爵にお尋ねになった?

「さぁ、キンバリーはどうしたい?」

「はい。もちろん、離婚ですわ。『二度としない』等という言葉は信じられません。失った信頼は取り戻せませんよ。私は、疑心暗鬼になって悩む妻にはなりたくありません。これから、ベントレーが浮気をしなくても、ふとしたことで恐らく私は彼を疑うでしょう。疑って責めて傷つきあって、そこはもう暖かい家庭ではないでしょう。お互いが不幸ですわ。きっぱりと終わらせましょう。ベントレー! そういうわけだから、慰謝料のほうをよろしくお願いしますね」

「ふむ。正論だな。ならば、ベントレーは働いて慰謝料を払うように! 仕事は見つからなければ世話をするが・・・・・・これだけの醜聞になった男だからまともな職は期待してくれるなよ。あぁ、ベントレーの実家はケロック準男爵家だったな? 縁を切ると王家に申し出てきたから、そちらの援助は望めない。一応、伝えておくよ」

 ベントレー様は、がっくりと肩を落とした。傍聴席からは、ヤジが飛んだ。

「「うちの煙突掃除夫に雇ってやろうかぁーー?」」

「「うちの便所のくみ取り男も募集中だぞーー」」

「「いや、まずいだろう? あんな色男雇ったら奥方の掃除までされる」」

「「あはははーー。間違いない。掃除にもいろいろあるからな」」

「「まぁーーお下品! お黙りなさいませ」」

「「あははは」」


「これ、これ。王様、王妃様の御前ですぞ!! 静粛に」

 裁判官が慌てて注意をしたのだった。



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まだ、明日も断罪が続きます。
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