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17 イボちゃんは本当に病弱でした!
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「すいません。私の妹がまたなにか、問題でも起こしましたか?」
カイド様と負けず劣らずの美男子様がすっと近づいてきて、魅了するような笑顔を浮かべております。
「あぁ、お兄様ぁーー。このアイビーちゃんが私を虐めるのですぅ」
なるほど、あのように上目遣いで男性を見上げて、唇はアヒル口にするのですね。では、私も早速真似をしてみましょうか?
イボちゃんがお兄様に泣きつくなら、私はカイド様で試してみましょうかね。
「カイド様ぁーー。イボちゃんが、私を悪者にして虐めますわぁーー」
私はカイド様を潤んだ瞳で見上げます。カイド様は途端に私の腰を抱きしめ、大事そうに髪を撫でました。
(えっと。それ、要らないです!)
「イボンヌ! 私の妻に、くだらない言いがかりをやめろ! 私は妻だけを愛している」
(ん? ストップ! 違うわ。これは、絶対違う。軌道修正しますわ)
「イボンヌさんのお兄様ぁーー。イボちゃんが、虐めるのぉーー」
イボちゃんのお兄様は、爆笑しながら私の側に来ておっしゃいました。
「うちの妹に張り合える女性は、初めて見たよ」
耳元でささやかれますが、これはゲームですよね? 『イボちゃん星のぶりっこゲーム』だと思っていました。
さてと、もう充分夜会は楽しんだので、帰りたくなりました。
「カイド様。私、疲れましたわ。帰りましょう」
私がそう言うと嬉しそうに、私の腕をとって優しく手の甲を撫でながら、馬車に向かおうとします。だから、その撫でるのは要らないです!
このカイド様のベタベタモードに少しだけ苛ついた私に、宇宙人イボちゃんの言葉が投げつけられます。
「ちょっとぉ! なんで、勝ち逃げするのよ? カイド様に猫なで声なんか出して。しかも、べったりくっついて去っていくなんて、淑女にあるまじき醜態でしょう? 手なんか撫で回されて、はしたない。いい気にならないでよ! あたし、悲しくて目眩がしてきたわぁ。どうしよう・・・・・・もう立っていられない・・・・・・アイビーちゃんから虐められたうえに、カイド様からも酷いことを言われて・・・・・・もう、生きていたくなんかないんだから・・・・・・」
(この方も盛大な勘違い! 正しく矯正して差し上げなくては)
「今、イボちゃんは私を勝ち逃げとおっしゃいまして? 私は、戦ってもいませんよ? それから妻がいるカイド様に、まとわりついているイボちゃんに、淑女のなんたるかは教えていただく必要はありません。そもそも、私は手など撫でてほしいわけではありませんので、いくらでも代わって差し上げてよ? 私がカイド様にべったりくっついるのではなくて、さきほどから寄り添ってきているのはカイド様です」
「ひ、ひどーーい! イボちゃん、気絶するんだからぁーー」
「思い通りにならないと気絶する方がいますけれど、愚かなことです。なぜ、世界が自分中心にまわっていると思い込めるのかしら? イボちゃんは世界の中心ではなくて、世界のなかのひと粒の可愛くて甘い苺ですよ。可愛くて甘酸っぱい苺は大衆に好まれますけれど、この世の中にあふれているでしょう?」
「う、う。酷いわ。私、倒れそう。ほんとに死んじゃうかも」
あら、この方本当にお顔が真っ青ですね。もしかしたら、本当に病弱な方だったのかもしれないです。
「まぁーー。本当に? カイド様。医者を呼んで差し上げて。あぁ、あの恐ろしく苦くて不味いけれど、万病に効くという薬草がありましたでしょう? あれをドロドロにして煮出したものを、急いで飲んでいただきましょう」
「え? 大丈夫よ? あ、急に良くなったわ。うん、大丈夫」
イボちゃんは必死に拒みますが、あれはとても効くのです。
「あんなに死んじゃうかも、と騒いでいたではありませんか! そんなに早く治るはずはありませんわ。きっと、私達に心配かけまいとしているのね? イボちゃんのことを演技と思い込んでごめんなさい。生きていたくないほど苦しい発作で気絶するのが常ならば、毎日飲むべきです!」
医者が持ってきたドロドロの薬草煮込みを、私は強引にイボちゃんに飲ませます。
「う、うげっ! 無理、無理だってばぁーー。こぉんな不味いのは無理!・・・・・・苦い、苦いよぉーー」
「我慢なさい! これで健康になるのです。私の末の妹も気絶する体質でしたが、これを一年続けたらとても元気になりましたよ」
「うげぇーー。やめて、やめてったらぁーー。お兄様ぁーー、この根っから天然女をどかしてよぉーー。うげ、もう飲めないったらぁーー」
「あっははは! まぁ、その薬草を一年も飲み続けたら、その我が儘病も治るだろう。飲みなさい。これは私の命令だ。父上も母上もイボンヌを甘やかし過ぎだ」
「えぇーー。そぉんなぁーー。げぇーー。もう、治ったから。私が悪かったです! もう許して」
イボちゃん、ここは我慢ですわ! 私は、どんぶり一杯の薬草汁を飲ませて、明日も飲ませて差し上げることを約束しました。
「明日も、こうして飲ませて差し上げましてよ? 何時頃、エリシャ伯爵家を訪問したらよろしいかしら? 私達、お友達でしょう? イボちゃんの健康つくりを全力でお手伝いしましてよ?」
イボちゃんは、感激のあまり泣いております。思ったよりも、素直な良い子でしたわ。私は彼女を宇宙人なんて思い、申し訳なかったと思ったのでした。
この騒ぎで周りに集まっていらしたなかには、国王様や王妃様もいらっしゃいました。
「すばらしい手腕だわ。これほど鮮やかに夫の恋人をおもてなしできる女性は、はじめて見ました。ザヘリー公爵家はカイドが継ぐというより、このアイビーが産んだ子供が継げば良いですわ。カイドが嫌なら離婚も許しましょう。ザヘリー公爵夫妻の甥はカイドだけではありませんからね。今日はずっと見ておりましたよ。なんて楽しい夜会だったことか・・・・・ねぇ、国王陛下」
「あ、あぁ、その通りだな。う、うむ。大変、良いものを見せてもらった」
「うふふ。アイビーは今日から私のお気に入りですわ。皆も心得ておくように」
その言葉に周りの貴婦人達が一斉にうなづいたのでした。
私は王妃様のお茶のお相手に、翌日から頻繁に王宮に招かれるようになりました。
おもてなし? なんのことだかわかりませんが、楽しんでいただけようで嬉しいです。
カイド様と負けず劣らずの美男子様がすっと近づいてきて、魅了するような笑顔を浮かべております。
「あぁ、お兄様ぁーー。このアイビーちゃんが私を虐めるのですぅ」
なるほど、あのように上目遣いで男性を見上げて、唇はアヒル口にするのですね。では、私も早速真似をしてみましょうか?
イボちゃんがお兄様に泣きつくなら、私はカイド様で試してみましょうかね。
「カイド様ぁーー。イボちゃんが、私を悪者にして虐めますわぁーー」
私はカイド様を潤んだ瞳で見上げます。カイド様は途端に私の腰を抱きしめ、大事そうに髪を撫でました。
(えっと。それ、要らないです!)
「イボンヌ! 私の妻に、くだらない言いがかりをやめろ! 私は妻だけを愛している」
(ん? ストップ! 違うわ。これは、絶対違う。軌道修正しますわ)
「イボンヌさんのお兄様ぁーー。イボちゃんが、虐めるのぉーー」
イボちゃんのお兄様は、爆笑しながら私の側に来ておっしゃいました。
「うちの妹に張り合える女性は、初めて見たよ」
耳元でささやかれますが、これはゲームですよね? 『イボちゃん星のぶりっこゲーム』だと思っていました。
さてと、もう充分夜会は楽しんだので、帰りたくなりました。
「カイド様。私、疲れましたわ。帰りましょう」
私がそう言うと嬉しそうに、私の腕をとって優しく手の甲を撫でながら、馬車に向かおうとします。だから、その撫でるのは要らないです!
このカイド様のベタベタモードに少しだけ苛ついた私に、宇宙人イボちゃんの言葉が投げつけられます。
「ちょっとぉ! なんで、勝ち逃げするのよ? カイド様に猫なで声なんか出して。しかも、べったりくっついて去っていくなんて、淑女にあるまじき醜態でしょう? 手なんか撫で回されて、はしたない。いい気にならないでよ! あたし、悲しくて目眩がしてきたわぁ。どうしよう・・・・・・もう立っていられない・・・・・・アイビーちゃんから虐められたうえに、カイド様からも酷いことを言われて・・・・・・もう、生きていたくなんかないんだから・・・・・・」
(この方も盛大な勘違い! 正しく矯正して差し上げなくては)
「今、イボちゃんは私を勝ち逃げとおっしゃいまして? 私は、戦ってもいませんよ? それから妻がいるカイド様に、まとわりついているイボちゃんに、淑女のなんたるかは教えていただく必要はありません。そもそも、私は手など撫でてほしいわけではありませんので、いくらでも代わって差し上げてよ? 私がカイド様にべったりくっついるのではなくて、さきほどから寄り添ってきているのはカイド様です」
「ひ、ひどーーい! イボちゃん、気絶するんだからぁーー」
「思い通りにならないと気絶する方がいますけれど、愚かなことです。なぜ、世界が自分中心にまわっていると思い込めるのかしら? イボちゃんは世界の中心ではなくて、世界のなかのひと粒の可愛くて甘い苺ですよ。可愛くて甘酸っぱい苺は大衆に好まれますけれど、この世の中にあふれているでしょう?」
「う、う。酷いわ。私、倒れそう。ほんとに死んじゃうかも」
あら、この方本当にお顔が真っ青ですね。もしかしたら、本当に病弱な方だったのかもしれないです。
「まぁーー。本当に? カイド様。医者を呼んで差し上げて。あぁ、あの恐ろしく苦くて不味いけれど、万病に効くという薬草がありましたでしょう? あれをドロドロにして煮出したものを、急いで飲んでいただきましょう」
「え? 大丈夫よ? あ、急に良くなったわ。うん、大丈夫」
イボちゃんは必死に拒みますが、あれはとても効くのです。
「あんなに死んじゃうかも、と騒いでいたではありませんか! そんなに早く治るはずはありませんわ。きっと、私達に心配かけまいとしているのね? イボちゃんのことを演技と思い込んでごめんなさい。生きていたくないほど苦しい発作で気絶するのが常ならば、毎日飲むべきです!」
医者が持ってきたドロドロの薬草煮込みを、私は強引にイボちゃんに飲ませます。
「う、うげっ! 無理、無理だってばぁーー。こぉんな不味いのは無理!・・・・・・苦い、苦いよぉーー」
「我慢なさい! これで健康になるのです。私の末の妹も気絶する体質でしたが、これを一年続けたらとても元気になりましたよ」
「うげぇーー。やめて、やめてったらぁーー。お兄様ぁーー、この根っから天然女をどかしてよぉーー。うげ、もう飲めないったらぁーー」
「あっははは! まぁ、その薬草を一年も飲み続けたら、その我が儘病も治るだろう。飲みなさい。これは私の命令だ。父上も母上もイボンヌを甘やかし過ぎだ」
「えぇーー。そぉんなぁーー。げぇーー。もう、治ったから。私が悪かったです! もう許して」
イボちゃん、ここは我慢ですわ! 私は、どんぶり一杯の薬草汁を飲ませて、明日も飲ませて差し上げることを約束しました。
「明日も、こうして飲ませて差し上げましてよ? 何時頃、エリシャ伯爵家を訪問したらよろしいかしら? 私達、お友達でしょう? イボちゃんの健康つくりを全力でお手伝いしましてよ?」
イボちゃんは、感激のあまり泣いております。思ったよりも、素直な良い子でしたわ。私は彼女を宇宙人なんて思い、申し訳なかったと思ったのでした。
この騒ぎで周りに集まっていらしたなかには、国王様や王妃様もいらっしゃいました。
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「あ、あぁ、その通りだな。う、うむ。大変、良いものを見せてもらった」
「うふふ。アイビーは今日から私のお気に入りですわ。皆も心得ておくように」
その言葉に周りの貴婦人達が一斉にうなづいたのでした。
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