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4 クズ?
しおりを挟む「自信は山より高く海より深く限りなくありますので、ご安心くださいませ。美しいカイド様は、女性にさぞ人気があったでしょうが、生憎そういった男性が好きな女性ばかりではありませんよ。それでは、契約に関係のないお話はここまでにして、本題にはいりませんこと? いつ結婚式を行うのですか?」
「驚いたな。こんなことは初めてだ。私の美貌に溺れないとはあり得ん」
カイド様は信じられないものを見る目で、私を上から下までジロジロと眺めました。これだから美形の方は苦手なのです。この世の全ての人間に愛されると思い込んでいる厚かましさ・・・・・・嘆かわしいです。
早速、契約書をかわすと、私は外見を磨くように言われました。ドレスもプレゼントするから購入するようにと。
「そんな必要はありません。このままでよろしいではありませんか? どうせ契約妻でしょう?」
私は、疑問符でいっぱいです。けれど、その疑問符はすぐに消え去りました。
「そのままでいいはずがないだろう? そんな見た目で、私の横に立てると思うのかい?」
あぁ、なるほどですね。全てはご自分のためですか。とても納得しました。自分が恥をかきたくないということならば仕方がありません。契約した以上は、カイド様が私のご主人様ですからね。
「では、一緒にお買い物に行きましょう」
当然私はカイド様と行くと思い込んでおりましたが、カイド様の侍従と行くように言われます。
まぁ、どっちでもいいです。要は支払いの問題ですからね。支払ってくださる保証がなければお買い物など怖くてできませんよ。
お財布さえあれば良いのです。お金がたくさん詰まったカイド様のお財布があれば安心、安心。本人などいなくても全く問題ありませんわ。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
市井にその侍従とお出かけをいたしまして、とある高級デザイナーの店に立ち寄りました。
私一人なら間違いなく追い出されているはずの空間も、ギャビン伯爵家の侍従がついていると全く態度は違うのです。まぁ、世の中ってそんなものですわね。
「あれとこれ。それから、あの棚の上のものも見せてください」
私は淡いブルーとレモン色のドレスを選びました。さらにもっと多くのドレスや靴にバックも買おうとする侍従に、私は疑問をぶつけます。
「あのぉーー。それはどなたのものですか? 私の身体はひとつです。そのようにたくさんのドレスや靴が必要でしょうか?」
「は? これだから貧乏貴族は! これから、貴女はザヘリー公爵家の若奥様になられるのですよ? その2着のドレスだけで足りるとお思いですか?」
「はぁ、すみません」
なんて、もったいない。契約妻のために、無駄な出費をするなんて。7着目のドレスを侍従が手に取ったところで、私はストップをかけましたよ。
「7着で充分です! 一週間も着回せますからねっ。あとは、手持ちのネックレスやスカーフなどで変化をつければどうってことはありませんわ。3着でもいいかも・・・・・・」
あとの言葉は、侍従が睨みつけてきたので、慌ててひっこめました。
「確かに堅実でしっかりしておられますが、こんな人を奥様にして良いのだろうか」
ぶつぶつと悩む侍従さんに、私は忠告の言葉をかけました。
「既に契約して決まったことですわ。髪の薄いあなたがくよくよ悩むと、地肌に良くないですよ。ところで、カイド様は今日はお忙しかったのですね? どうせなら、カイド様のお好きな色を選んでいただきたかったのに」
「はい。カイド様は恋人その1とデートがありますからね」
「は? ・・・・・・」
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