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9 マーガレットの両親の末路
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ꕤ୭*モーセ準男爵夫人視点
「なぜみんな帰ってこないのかしら?」
「そ、そうだな・・・・・・なんでだろう?」
マーガレットもラモントも、エイナお姉様まで帰って来ないのは不気味で夫と毎日疑問を口にした。私達は本邸に向いリリアーナに会いに行ったが、あの薄情者は全く関心を示さなかった。
「あの3人の行方を知らない?」
「さあ? ここより楽しい場所でも見つけたのでは? だいたい、あの二人は子育てもまともにしていなかったでしょう? 無責任な者は、なにもかも棄てて逃げ出すことが多いようですわ」
「そんなことがあるわけがないわ! きっと事件に巻き込まれたのよ。探してよ!」
「あぁ、ラモントは一応夫なので行方不明の届け出はしておきましたが捜索願はだしておりません」
「なんでよ!」
「だって、愛人のマーガレットと消えたんですよ? あの二人は『真実の愛』で結ばれていたのでしたっけ? ですから、愛の逃避行なんじゃないですか? 子育てが嫌になったのかも」
「そんな・・・・・・でも、そうしたら私達はどうしたらいいのよ」
「あぁ、孫がいるではありませんか? きっちり面倒を見てくださいよ」
「無理よ。子供の世話なんて。ナニーを雇ってちょうだい!」
「それは無理です。最低限の住まいは提供しますが、それだけです」
――なんて冷たい女なの!
マーガレットがいなくなってしまった今、私が子供の世話をしなければならない。この歳で子供の世話なんてやってられない。
なんとかして・・・・・・あぁ、良いことを考えたわ。ここのララを殺せば私の孫のジョナサンが跡継ぎになれる。
夫と相談して計画をすすめた私は、ある日の夜遅くに本邸に忍び込んだ。運良く誰にも会わずララの部屋にたどり着き、思いっきりヒモでララの首を締め上げた。
―うっふふ、やったわ! うまいこと死んだじゃない!
私はぐったりしたララを夫と運びだし裏庭に埋めた。青白い月が冴え渡るそんな日に幼い子を殺した私達。
ところが朝起きてみると殺したはずのララは元気に庭園を散歩しているのが見えたが、孫のジョナサンはどこにもいなかった。
――おかしい・・・・・・なんでよ?・・・・・・まさか?
あのララを埋めた穴をもう一度掘りおこした私達夫婦は、そこにジョナサンの服の柄を見つける。慌ててすっかり掘りかえし、よくよく見たそれは・・・・・・紛れもなく私達の孫だった。
ワナワナと震えだした私は夫を責めた。夫も私を責めた。なぜなの? 殺したのはララはずなのにジョナサンを殺していた。
「このバカ女! ララを殺そうなんていうからこうなったんだ!」
「なによ。あんただって賛成したじゃない。元はと言えばあんたが甲斐性なしだからここに転がり込んだんじゃないよ! あんたみたいな男と結婚したのがそもそもの間違い・・・・・・」
「なっ、なんだとぉ!!」
逆上した夫にナイフで刺され、とっさに自分も夫の胸に編み棒を突き立てていた。
孫を殺した私達の精神状態はもう破滅に突き進むしかないのだった。
「なぜみんな帰ってこないのかしら?」
「そ、そうだな・・・・・・なんでだろう?」
マーガレットもラモントも、エイナお姉様まで帰って来ないのは不気味で夫と毎日疑問を口にした。私達は本邸に向いリリアーナに会いに行ったが、あの薄情者は全く関心を示さなかった。
「あの3人の行方を知らない?」
「さあ? ここより楽しい場所でも見つけたのでは? だいたい、あの二人は子育てもまともにしていなかったでしょう? 無責任な者は、なにもかも棄てて逃げ出すことが多いようですわ」
「そんなことがあるわけがないわ! きっと事件に巻き込まれたのよ。探してよ!」
「あぁ、ラモントは一応夫なので行方不明の届け出はしておきましたが捜索願はだしておりません」
「なんでよ!」
「だって、愛人のマーガレットと消えたんですよ? あの二人は『真実の愛』で結ばれていたのでしたっけ? ですから、愛の逃避行なんじゃないですか? 子育てが嫌になったのかも」
「そんな・・・・・・でも、そうしたら私達はどうしたらいいのよ」
「あぁ、孫がいるではありませんか? きっちり面倒を見てくださいよ」
「無理よ。子供の世話なんて。ナニーを雇ってちょうだい!」
「それは無理です。最低限の住まいは提供しますが、それだけです」
――なんて冷たい女なの!
マーガレットがいなくなってしまった今、私が子供の世話をしなければならない。この歳で子供の世話なんてやってられない。
なんとかして・・・・・・あぁ、良いことを考えたわ。ここのララを殺せば私の孫のジョナサンが跡継ぎになれる。
夫と相談して計画をすすめた私は、ある日の夜遅くに本邸に忍び込んだ。運良く誰にも会わずララの部屋にたどり着き、思いっきりヒモでララの首を締め上げた。
―うっふふ、やったわ! うまいこと死んだじゃない!
私はぐったりしたララを夫と運びだし裏庭に埋めた。青白い月が冴え渡るそんな日に幼い子を殺した私達。
ところが朝起きてみると殺したはずのララは元気に庭園を散歩しているのが見えたが、孫のジョナサンはどこにもいなかった。
――おかしい・・・・・・なんでよ?・・・・・・まさか?
あのララを埋めた穴をもう一度掘りおこした私達夫婦は、そこにジョナサンの服の柄を見つける。慌ててすっかり掘りかえし、よくよく見たそれは・・・・・・紛れもなく私達の孫だった。
ワナワナと震えだした私は夫を責めた。夫も私を責めた。なぜなの? 殺したのはララはずなのにジョナサンを殺していた。
「このバカ女! ララを殺そうなんていうからこうなったんだ!」
「なによ。あんただって賛成したじゃない。元はと言えばあんたが甲斐性なしだからここに転がり込んだんじゃないよ! あんたみたいな男と結婚したのがそもそもの間違い・・・・・・」
「なっ、なんだとぉ!!」
逆上した夫にナイフで刺され、とっさに自分も夫の胸に編み棒を突き立てていた。
孫を殺した私達の精神状態はもう破滅に突き進むしかないのだった。
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