(完)私の家を乗っ取る従兄弟と従姉妹に罰を与えましょう!

青空一夏

文字の大きさ
上 下
5 / 12

5 同じ魔法使い見つけた!

しおりを挟む
ꕤ୭*ラマ・レミントン視点

 私の兄が死体で発見された時に、私はとても不審感をもった。

ーー物盗りなら家紋入りの指輪を盗らないはずがないし、ランス伯爵令嬢が贈ったというペンダントもそのままだ。それなのに顔だけ潰されて、この死体は兄上だと主張している。おかしいいだろう?

 私があらゆる可能性を考えて森を捜索した結果は、実に恥じ入る事実だった。
「兄上! 生きていたのか? なぜなんだ? 木こりの娘がそんなに好きか?」
 兄上は森の近くの村落の木こりの娘と結婚していたのだ。

「これが『真実の愛』だと気づいた。この娘に子供ができたんだ!」
「くっ! 意味がわからん! あれだけ優秀だった兄上が・・・・・・父上も母上もどれだけ悲しんだと思っているんだ?」

「『真実の愛』に犠牲はつきものだ!」
「は? もういいよ。確かに、私の知っている兄上は死んだようだ。ここにいるのは姿が似ているが違う人間だ」
 私はが怖くてその場を急いで離れた。これは私だけの秘密だ。



 兄が生きていることは自分の胸の奥だけにしまっておくべきだ。夜会でリリアーナを見かけて近況を報告しあううちに彼女の違和感に気がついた。彼女もなにか隠しているように思う。

 夜会にはいつも彼女の夫の姿はないし、親族を皆敷地に住まわせているというのも不思議だった。





 ある日の夜会で、彼女は思い詰めたようにポツリと言った。

「レオン様は天国にいらっしゃるのでしょうね。私も天国に行く為にいつも天使の心でいなければなりません。それが辛くて、地獄に行っても会えるなら思いっきり鬼になれるのに」
 その意味のわからないつぶやきに、私は真顔で答えた。

「兄上は地獄に行くよ。間違いなくね。それに、それほど会いたいと思うような相手じゃないから!」

「どういうことですか? お願い! 教えて」



 結局彼女に全ての事情を話した私に、彼女は苦笑いをしながらこう言った。

「死を願ってはいけないと固く心に刻まねばならない人がまた増えたわけね」

「あぁ、そうだな。全く、迂闊に悪口も考えられない! あの糞兄め。いや、まずい、まずい・・・・・・死は願っていないからな・・・・・・」

「え?」
「えぇ~~?」
 私達は顔を見合わせたのだった。






୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧

次回、最終回です。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

【完結】全てを後悔しても、もう遅いですのよ。

アノマロカリス
恋愛
私の名前はレイラ・カストゥール侯爵令嬢で16歳。 この国である、レントグレマール王国の聖女を務めております。 生まれつき膨大な魔力を持って生まれた私は、侯爵家では異端の存在として扱われて来ました。 そんな私は少しでも両親の役に立って振り向いて欲しかったのですが… 両親は私に関心が無く、翌年に生まれたライラに全ての関心が行き…私はいない者として扱われました。 そして時が過ぎて… 私は聖女として王国で役に立っている頃、両親から見放された私ですが… レントグレマール王国の第一王子のカリオス王子との婚姻が決まりました。 これで少しは両親も…と考えておりましたが、両親の取った行動は…私の代わりに溺愛する妹を王子と婚姻させる為に動き、私に捏造した濡れ衣を着せて婚約破棄をさせました。 私は…別にカリオス王子との婚姻を望んでいた訳ではありませんので別に怒ってはいないのですが、怒っているのは捏造された内容でした。 私が6歳の時のレントグレマール王国は、色々と厄災が付き纏っていたので快適な暮らしをさせる為に結界を張ったのですが… そんな物は存在しないと言われました。 そうですか…それが答えなんですね? なら、後悔なさって下さいね。

お姉さまに挑むなんて、あなた正気でいらっしゃるの?

中崎実
ファンタジー
若き伯爵家当主リオネーラには、異母妹が二人いる。 殊にかわいがっている末妹で気鋭の若手画家・リファと、市中で生きるしっかり者のサーラだ。 入り婿だったのに母を裏切って庶子を作った父や、母の死後に父の正妻に収まった継母とは仲良くする気もないが、妹たちとはうまくやっている。 そんな日々の中、暗愚な父が連れてきた自称「婚約者」が突然、『婚約破棄』を申し出てきたが…… ※第2章の投稿開始後にタイトル変更の予定です ※カクヨムにも同タイトル作品を掲載しています(アルファポリスでの公開は数時間~半日ほど早めです)

そんなの知らない。自分で考えれば?

ファンタジー
逆ハーレムエンドの先は? ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

処理中です...