(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏

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ジェイデン・アドラーのその後

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 私は、なにも悪いことはしていない。カミラ女王がどんどん弱っていった時には不審だなとは思っていた。よく観察していたら、どうやら、カミラ女王の息子夫婦が毒を盛っているのに気がついた。

 けれど、そのままにしてなにもしなかった。なぜなら、カミラ女王が苦手だったからだ。あまりに、高潔で立派すぎて全てを見透かされている気がした。婚約者のバイオレットも、つまらない女だった。妹の方がよっぽどかわいい。

 だから、カミラ女王が亡くなり、バイオレットの代わりにアリッサが婚約者になったときには嬉しかった。もちろん、自分から望んではいない。アリッサから申し込まれたから承諾しただけだ。私からは何もしていない。

 バイオレットが、ひどい扱いを受けていた時も見ていたけれど私が意地悪をしたわけではない。なにもしなかっただけだ。

 馬車1台で嫁がされたことも知っていた。でも、私が指示したことではない。これも、なにもしなかっただけだ。

 全ては、アリッサとその両親の罪だ。私はそう主張したが、民の判断に任そうと言われて、爵位を剥奪され商業地域に連れて行かれたが、縄で縛られもしなかった。無罪だ。やった! 

 私は店に入って飲み物を買おうとしたが誰も振り向いてもくれない。別の店でも、まるで見えてないように扱われた。5件目で私は叫んだ。

「どういうことなんだ! 私をなぜ皆、無視するんだ? これでは、食べ物も飲み物も買えない・・・・・・なにも、できないではないかっ!」

 
「だって、あなたは私達の敬愛するカミラ女王にもバイオレット女王にも、なにもしなかったんでしょう?今度はあなたの番だ・・・・・・あなたの声が聞こえる人間はここには一人もいないよ」

 店の主人が、近づいてきて独り言のように呟くともう二度と私に話しかける者はいなかった・・・・・・

この商業地域は広い。歩いて隣の地区に行くには10日はかかる・・・・・・詰んだ・・・・・・

 
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