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今こそブロンディ王国の粛清を!
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来賓用の城では、多くの王族がおり、私達の到着を知ると我先にと挨拶に来た。
「「「カルロス王国の太陽に栄光と祝福を」」」
「「「カルロス王国の若き獅子に忠誠を誓います」」」
ここに集まった王族は、カルロス王国となんとかお近づきになりたいと願う国ばかりのようだ。カルロス王国が繁栄しているなによりの証拠だ。
そのなかには、カミラ女王の生前に交流のあった王族もおり、私の顔を見知った王族もいた。
「これは、カミラ女王様の秘蔵っ子のバイオレット王女様ではありませんか。カルロス王国の王太子妃になったとは聞いておりませんでしたが。こんな重要な婚姻が発表されない等は通常はありえませんが・・・・・・なぜ」
「まさか・・・・・・人違いでしょう・・・・・・」
誤魔化してはみたものの、髪と目の色を変えただけでは洞察力に優れた者は見破ってしまうのだろう。ノーラン様が、その方をそっと隅に連れて行き事情を説明する様子をじっと観察する男がいるのに私は気がついた。
私の元婚約者のジェイデン・アドラー様だった。彼は私に目をやると、驚愕の表情を浮かべた。まるで、亡霊をみるような目だ。
ゆっくりと、近づいてきて私に跪いた。
「まさか、生きているとは思わなかった。許してくれ。今更、貴女が好きだということに気がついた」
「はぁ?そもそも、私は貴方を存じませんよ」
「お願いだ。許してくれ。そうだ、一緒に遠い国に逃げよう。一緒になれる国が必ず見つかる」
ゆっくりと静かに近づいてきたノーラン様は、その馬鹿げた言葉に苦笑し、ジェイデン様の背後に近づき小刀の刃を背中に突きつけた。
「我が妃を口説く愚か者はカルロス王国では釜ゆでの刑だ。あれは、相当きつい刑だが、お前に適用できるか宰相に確認しよう」
「え? 私は、この国の将来の女王アリッサ王女の婚約者ですよ。そんな刑が許されるわけがない!」
「ほぉ、おもしろい! アリッサ王女の婚約者がカルロス王国の王太子妃になると決まった女性を口説いたのか?
おまえらブロンディ王国の王族はクズばかりだな! 良いか?お前とアリッサ王女が結婚するのは全くかまわん。実際、興味もない話だ。ただ、女王の座はアリッサ王女には任せられない。もう、こんな茶番はおしまいにしよう。父上! あの愚かな者達とこの男は、これ以上、野放しにさせてはいけない!」
後ろにいてディーと遊んでいたトリスタン王は立ち上がって宣言した。
「私は、カルロス王国の王トリスタンである。今こそ、ブロンディ王国の粛清を始める。正当な跡継ぎはここにいるバイオレット王女だ。この王女はカルロス王国の次期王妃にもなろう。この粛清に意義のある者はいるか?」
「「「異議なし」」」
「「「カルロス王国の偉大なる太陽と月と星に」」」
私は、ディーを抱きながら、月と星はなんの例えだろうと独りごちた。傍らにいたマディソンが恭しく私に膝をつき答えた。
「太陽は王と王太子を意味します。月は王妃や王太子妃を。星はそのお子様を意味します」
私の身はまだ清いままだ。そして、出産はとても痛くて辛いことだと聞いたことがあった。
それでも、ノーラン様との星なら、たくさんの星が授かりますようにと心で祈る。私はノーラン様を心から愛しているのだから・・・・・・
「「「カルロス王国の太陽に栄光と祝福を」」」
「「「カルロス王国の若き獅子に忠誠を誓います」」」
ここに集まった王族は、カルロス王国となんとかお近づきになりたいと願う国ばかりのようだ。カルロス王国が繁栄しているなによりの証拠だ。
そのなかには、カミラ女王の生前に交流のあった王族もおり、私の顔を見知った王族もいた。
「これは、カミラ女王様の秘蔵っ子のバイオレット王女様ではありませんか。カルロス王国の王太子妃になったとは聞いておりませんでしたが。こんな重要な婚姻が発表されない等は通常はありえませんが・・・・・・なぜ」
「まさか・・・・・・人違いでしょう・・・・・・」
誤魔化してはみたものの、髪と目の色を変えただけでは洞察力に優れた者は見破ってしまうのだろう。ノーラン様が、その方をそっと隅に連れて行き事情を説明する様子をじっと観察する男がいるのに私は気がついた。
私の元婚約者のジェイデン・アドラー様だった。彼は私に目をやると、驚愕の表情を浮かべた。まるで、亡霊をみるような目だ。
ゆっくりと、近づいてきて私に跪いた。
「まさか、生きているとは思わなかった。許してくれ。今更、貴女が好きだということに気がついた」
「はぁ?そもそも、私は貴方を存じませんよ」
「お願いだ。許してくれ。そうだ、一緒に遠い国に逃げよう。一緒になれる国が必ず見つかる」
ゆっくりと静かに近づいてきたノーラン様は、その馬鹿げた言葉に苦笑し、ジェイデン様の背後に近づき小刀の刃を背中に突きつけた。
「我が妃を口説く愚か者はカルロス王国では釜ゆでの刑だ。あれは、相当きつい刑だが、お前に適用できるか宰相に確認しよう」
「え? 私は、この国の将来の女王アリッサ王女の婚約者ですよ。そんな刑が許されるわけがない!」
「ほぉ、おもしろい! アリッサ王女の婚約者がカルロス王国の王太子妃になると決まった女性を口説いたのか?
おまえらブロンディ王国の王族はクズばかりだな! 良いか?お前とアリッサ王女が結婚するのは全くかまわん。実際、興味もない話だ。ただ、女王の座はアリッサ王女には任せられない。もう、こんな茶番はおしまいにしよう。父上! あの愚かな者達とこの男は、これ以上、野放しにさせてはいけない!」
後ろにいてディーと遊んでいたトリスタン王は立ち上がって宣言した。
「私は、カルロス王国の王トリスタンである。今こそ、ブロンディ王国の粛清を始める。正当な跡継ぎはここにいるバイオレット王女だ。この王女はカルロス王国の次期王妃にもなろう。この粛清に意義のある者はいるか?」
「「「異議なし」」」
「「「カルロス王国の偉大なる太陽と月と星に」」」
私は、ディーを抱きながら、月と星はなんの例えだろうと独りごちた。傍らにいたマディソンが恭しく私に膝をつき答えた。
「太陽は王と王太子を意味します。月は王妃や王太子妃を。星はそのお子様を意味します」
私の身はまだ清いままだ。そして、出産はとても痛くて辛いことだと聞いたことがあった。
それでも、ノーラン様との星なら、たくさんの星が授かりますようにと心で祈る。私はノーラン様を心から愛しているのだから・・・・・・
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