5 / 5
5 最終話 (アデン視点) 事の真相とざまぁ?
しおりを挟む
「アデン! アデンの携帯貸して! ほら、これで見れるよ?」
昼すぎにサンドイッチを持っていきなりやってきたキャサリンが、僕の携帯をチャッチャッと触ってまた僕に返してくれた。
「なにを見られるの?」
「ん? アラサリーの携帯に昨日ストーカーウェアをインストールしたから、そのデータが転送されるのよ」
「なにそれ? そして、このデーターはなに?」
僕の携帯に流れ込む写メ、メールのやり取り、通話履歴……これは『編集長だらけ』……
「やられちゃってるね! まぁ、ここは離婚でよくないかい? いつもご飯をご馳走になっているからさぁー。このデータを書類化してあげるよぉーー。出来心で、なんて言われないように一ヶ月から三ヶ月我慢できる? 全部が編集しとくさ。この携帯は預かっておくね」
僕は虚しい気持ちでいっぱいで、頷くだけで精一杯だ。裏切られていた……もうなにも考えたくないんだ……
「公爵様から肖像画と、聖堂の壁画を頼まれていたんだ。すっごく忙しくなって公爵家に泊まり込みになる仕事だったから断ってたんだけど……」
「行ってきなよ! このキャサリン様が全部証拠をとっておくわよ」
☆彡★彡☆彡
僕はそれから半年のあいだ、家には帰らなかった。キャサリンからアラサリーに、急に泊りがけの仕事になったと言ってもらうようにした。
ずっと公爵家で用意された部屋で、寝食を忘れて絵を描いていた。嫌なことや辛いことを忘れるために真摯にうちこんだ結果、思いがけず素晴らしい傑作がうまれた。
特に聖堂の壁画は高く評価され、国王陛下にいたく気に入っていただけた。今までにも王家から仕事を受けていたこともあり、実績を認められて一代限りではあるが男爵の爵位もいただいたのだった。
自宅に戻るとアラサリーが媚びるような笑顔を浮かべて寄り添ってきたので、その身体をはねのけた。
「どうしたのよ? お帰り! 私、すっごく寂しかったわ。ところで、その格好はなぁに? お貴族様みたいよ? これって、仮装大会?」
「いや、違うよ。男爵の称号を国王陛下からいただいたんだ。もちろん一代限りなんだけど・・・・・・ただこれから、もっと素晴らしい壁画を描き続けるのなら、領地もくださって一代だけではなくなるそうだ」
「素敵! 私はアデンを支えるためにも、出版社はやめるわね?」
「いや、アラサリーの支えはいらない。会社は辞めないほうがいいよ」
ーーピンポーンーー
「おっ帰りぃーー! さてと、アラサリーはキモいからアデン君に近づかないでぇーー! はい、離婚届はこれよ?アラサリーさんはここにサインをどうぞ!」
キャサリンが元気よく入ってきて、アラサリーと僕の間に入ってきた。
「は? どういうことよ! あんたたち、さてはできていたのね? 慰謝料を請求するわ! 絶対に許さないんだからぁーー」
「アラサちゃん、これはなんでしょう? この証拠はばっちり残してあるからね? もう裁判所にも届け済みよ? 慰謝料を払うのはあんただね? それとさぁ、あたしの旦那ともよろしくやってるのわかったからね? 二人で払ってよね?」
☆彡★彡☆彡
(キャサリン視点)
アデンはアラサリーと離婚して、私もロバートとは離婚した。
「ねぇ、ロバートはアラサリーとは浮気していない、って言ってたけど?」
アデンが私に聞いてくるが、私は曖昧に笑って誤魔化した。
「ロバートは出張先にいっぱい女性がいたから、アラサリーがいたって不思議じゃないわよ」
そう、ロバートには女が複数いたが証拠はなかなか掴めなかった。あのアラサリーの携帯に登録してあった別人のロバートの電話番号を、夫の番号に変えた。
案の定、何回も私の夫に電話をし、ラブラブメールも電話番号宛てにいくつも送っていた。あの迂闊で愚かなアラサリーは絶対に電話番号を一回登録したら、その番号はいちいち確認しないはずなのだ。
私の夫はたくさんの女とつきあいすぎて、ごちゃごちゃになっていたらアラサリーのメールに相づちを打っていた。ばかな男だ・・・・・・。
かくして、浮気夫の証拠もゲットし私は見事離婚ができて・・・・・・しかも、今はアデンの恋人に収まっている。アデンの為にお料理教室にも通っているし、お掃除だって頑張っているわ。
私は、実はずっとアデンが好きだった。だから、彼の親友と結婚して隣の家に住んで家族同士で仲良くしたの。近くにいたかったから、それだけで幸せだったんだ!
でも、アラサリーが浮気してくれてたから・・・・・・これはアデンには内緒だ・・・・・・私の気持ちはアラサリーに感謝しているということ。
アラサちゃん! 私の大好きなアデンを裏切ってくれてありがとう!!
完
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
🌷 おまけ
「アデン、おめでとう! 大聖堂の壁画を任されて大成功ですって! 領地も、もらえて本物のお貴族様になれるなんて、すごいわ!」
「うん、これから生まれる子供のために頑張ったよ!」
アデンは男爵の爵位を子供に継がせることができるまでに出世し、子どもは3人恵まれてずっと幸せだったそうです。
アラサリーは・・・・・・路地裏で夜になると立っているそうですよ・・・・・・何のためにかって? さぁ、なんの為ですかねぇーー
「うっさいわよ! お金の為よ! 決まってるじゃない! 今日こそは上客を捕まえてやるんだからね!」
アラサリーは、真っ赤な口紅をつけてブツブツつぶやいております。まぁ、そういうことのようです。
おしまい
昼すぎにサンドイッチを持っていきなりやってきたキャサリンが、僕の携帯をチャッチャッと触ってまた僕に返してくれた。
「なにを見られるの?」
「ん? アラサリーの携帯に昨日ストーカーウェアをインストールしたから、そのデータが転送されるのよ」
「なにそれ? そして、このデーターはなに?」
僕の携帯に流れ込む写メ、メールのやり取り、通話履歴……これは『編集長だらけ』……
「やられちゃってるね! まぁ、ここは離婚でよくないかい? いつもご飯をご馳走になっているからさぁー。このデータを書類化してあげるよぉーー。出来心で、なんて言われないように一ヶ月から三ヶ月我慢できる? 全部が編集しとくさ。この携帯は預かっておくね」
僕は虚しい気持ちでいっぱいで、頷くだけで精一杯だ。裏切られていた……もうなにも考えたくないんだ……
「公爵様から肖像画と、聖堂の壁画を頼まれていたんだ。すっごく忙しくなって公爵家に泊まり込みになる仕事だったから断ってたんだけど……」
「行ってきなよ! このキャサリン様が全部証拠をとっておくわよ」
☆彡★彡☆彡
僕はそれから半年のあいだ、家には帰らなかった。キャサリンからアラサリーに、急に泊りがけの仕事になったと言ってもらうようにした。
ずっと公爵家で用意された部屋で、寝食を忘れて絵を描いていた。嫌なことや辛いことを忘れるために真摯にうちこんだ結果、思いがけず素晴らしい傑作がうまれた。
特に聖堂の壁画は高く評価され、国王陛下にいたく気に入っていただけた。今までにも王家から仕事を受けていたこともあり、実績を認められて一代限りではあるが男爵の爵位もいただいたのだった。
自宅に戻るとアラサリーが媚びるような笑顔を浮かべて寄り添ってきたので、その身体をはねのけた。
「どうしたのよ? お帰り! 私、すっごく寂しかったわ。ところで、その格好はなぁに? お貴族様みたいよ? これって、仮装大会?」
「いや、違うよ。男爵の称号を国王陛下からいただいたんだ。もちろん一代限りなんだけど・・・・・・ただこれから、もっと素晴らしい壁画を描き続けるのなら、領地もくださって一代だけではなくなるそうだ」
「素敵! 私はアデンを支えるためにも、出版社はやめるわね?」
「いや、アラサリーの支えはいらない。会社は辞めないほうがいいよ」
ーーピンポーンーー
「おっ帰りぃーー! さてと、アラサリーはキモいからアデン君に近づかないでぇーー! はい、離婚届はこれよ?アラサリーさんはここにサインをどうぞ!」
キャサリンが元気よく入ってきて、アラサリーと僕の間に入ってきた。
「は? どういうことよ! あんたたち、さてはできていたのね? 慰謝料を請求するわ! 絶対に許さないんだからぁーー」
「アラサちゃん、これはなんでしょう? この証拠はばっちり残してあるからね? もう裁判所にも届け済みよ? 慰謝料を払うのはあんただね? それとさぁ、あたしの旦那ともよろしくやってるのわかったからね? 二人で払ってよね?」
☆彡★彡☆彡
(キャサリン視点)
アデンはアラサリーと離婚して、私もロバートとは離婚した。
「ねぇ、ロバートはアラサリーとは浮気していない、って言ってたけど?」
アデンが私に聞いてくるが、私は曖昧に笑って誤魔化した。
「ロバートは出張先にいっぱい女性がいたから、アラサリーがいたって不思議じゃないわよ」
そう、ロバートには女が複数いたが証拠はなかなか掴めなかった。あのアラサリーの携帯に登録してあった別人のロバートの電話番号を、夫の番号に変えた。
案の定、何回も私の夫に電話をし、ラブラブメールも電話番号宛てにいくつも送っていた。あの迂闊で愚かなアラサリーは絶対に電話番号を一回登録したら、その番号はいちいち確認しないはずなのだ。
私の夫はたくさんの女とつきあいすぎて、ごちゃごちゃになっていたらアラサリーのメールに相づちを打っていた。ばかな男だ・・・・・・。
かくして、浮気夫の証拠もゲットし私は見事離婚ができて・・・・・・しかも、今はアデンの恋人に収まっている。アデンの為にお料理教室にも通っているし、お掃除だって頑張っているわ。
私は、実はずっとアデンが好きだった。だから、彼の親友と結婚して隣の家に住んで家族同士で仲良くしたの。近くにいたかったから、それだけで幸せだったんだ!
でも、アラサリーが浮気してくれてたから・・・・・・これはアデンには内緒だ・・・・・・私の気持ちはアラサリーに感謝しているということ。
アラサちゃん! 私の大好きなアデンを裏切ってくれてありがとう!!
完
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
🌷 おまけ
「アデン、おめでとう! 大聖堂の壁画を任されて大成功ですって! 領地も、もらえて本物のお貴族様になれるなんて、すごいわ!」
「うん、これから生まれる子供のために頑張ったよ!」
アデンは男爵の爵位を子供に継がせることができるまでに出世し、子どもは3人恵まれてずっと幸せだったそうです。
アラサリーは・・・・・・路地裏で夜になると立っているそうですよ・・・・・・何のためにかって? さぁ、なんの為ですかねぇーー
「うっさいわよ! お金の為よ! 決まってるじゃない! 今日こそは上客を捕まえてやるんだからね!」
アラサリーは、真っ赤な口紅をつけてブツブツつぶやいております。まぁ、そういうことのようです。
おしまい
1
お気に入りに追加
237
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
婚約者と妹に毒を盛られて殺されましたが、お忘れですか?精霊の申し子である私の身に何か起これば無事に生き残れるわけないので、ざまぁないですね。
無名 -ムメイ-
恋愛
リハビリがてら書きます。
1話で完結します。
注意:低クオリティです。
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
( *ˊᗜˋ)ノꕤ*.゚コンバンハ~♪
>5話、所々、『アラサリー』・・・・・・
ひゃ∑( ◦д⊙)‼
修正しておきます
間違いだらけ(•́ε•̀;ก)💦・・・・・・
いやはやなんとも・・・・・・
>テンポ良く、ざまぁ・・・・・・
そうそうw
ろくでもない人達です😁
感想アリガトウ✾“ヽ(。◕‿◕。)ノ”ゴザイマス🌷
青空様~💐
新作ですね🎵
浮気妻の心理に興味津々((o(^∇^)o))
お読みいただきありがとうございます(○^∇^)_☕️🍰
これね、、、最低なんですヽ(´o`;
ゆるふわお下劣です😅
コメントをお寄せくださり感謝💐です🎶☺️
お読みいただきありがとうございます(○^∇^)_☕️🍰
これね
最低な女性が思い浮かんだので書きたくなって😅👀
2話目は最低な妻視点ですーーーー
ここが書きたかったぁーー🎵
みんなで最低ーーヽ(´o`;とハモりたい🎵🎶
コメントをお寄せくださり感謝💐です🎶☺️