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6 断罪 1 (マーガレット視点)R18残酷シーンあり
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(マーガレット視点)R18 残酷シーンあり
私の計画は途中までは上手くいった。けれど、死んだはずのアレキサンダー様が戻られて全てが水の泡に・・・・・・でも、これからの巻き返しは必ずあるはず。だって、私の娘のマリアがアレキサンダー様に気に入られたのだから。
マリアがスエンソン侯爵夫人になったら、また王都に呼び戻してもらえば良い。ジョセフは媚薬を盛りすぎて少しおかしくなっている。前は中肉中背の渋めのいい男だったのに、今ではすっかり醜く太り、暇さえあれば食べている。
媚薬漬けにしすぎたのかもしれない。きっと脳の一部が溶けてしまったのかも。あぁ、嫌だ、嫌だ。早くこんな田舎から抜け出したいし、こんな男はもういらない。
そんなある日、王都から騎士達10人ほどがいきなりやって来て、私の手を縛り上げた。
「お前をローズ・スエソン伯爵夫人殺害の罪で拘束する!」
「まさか、なにかのお間違いでしょう? 身に覚えは全くありませんわ」
「お前の娘が自供した! 言い逃れはできん」
(自供! なんでよ? マリアはなぜしゃべってしまったの?)
王都に戻り、厳しい取り調べが行われた。私は必死に否定したが、マリアの自白は覆せない。やがて、ローズに使った残りの毒を裏庭にまいたことや、行商人から毒を買い入れたことなどが次々と明らかにされ証拠もすっかり揃ってしまう。
私はマリアと裁判にかけられたが、結果は極刑。
「娘は悪くないんです。私だけが悪いんです」
裁判の場で訴えつづける私に、久しぶりに見たマリアは笑い続けているだけだ。
「お母様、私もうすぐ侯爵夫人よ。お母様の言ったとおりよね。きゃはははは!」
「これは・・・・・・気が狂ってる? なんで?」
「あぁ、それは私が自白作用のある香を嗅がせすぎたせいだな。少し効き過ぎたようだ」
アレキサンダー様が私にそう言って薄く笑う。
「酷い! 娘はまだこんなに若いのに! これから幸せな未来が待っていたのに!」
「だったら、私の母上は? まだまだ健康で幸せに暮らせていたはずなのに・・・・・・ローラはお前達のせいで痩せ細って傷つき、今はどこにいるのかもわからない・・・・・・お前達のせいで! 私の家族はバラバラになったのだぞ!」
(うるさい、うるさい、うるさい! 欲しいものは力尽くで奪えばいい。だって私は侍女でいるのが嫌だった。なんで生まれた家柄で全部決まるの? なんで、私よりみんな恵まれた人生を送っているの? ローズはたまたま貴族の富豪の家に生まれて何不自由なく暮らす。私は一生侍女のまま? 不公平だ。生まれたときから運命が、人生が、ほぼ決まるなんておかしいじゃないかっ!)
処刑日は良く晴れた朝だった。処刑台の周りには、見物人でたくさんの人だかりができている。処刑は民衆の楽しみのひとつだからだ。
一段、また一段と処刑台に通じる階段を登っていく。手足が震え、見物人からは石を投げつけられる。額にあたると血が流れ、目に入り・・・・・・視界が真っ赤に染まっていくよう・・・・・・
「人殺しぃいいーー!! 」
「人でなしぃいいーー!!」
罵倒が何度も浴びせられ、処刑台の前でとても長い時間晒される。それは民衆からの制裁の時間。容赦なく飛んでくる石は私の頬にお腹に足に、あらゆる場所に命中する。
立っていられないほどの石を投げつけられた私はすでに血まみれだ。全身を痛みが覆い尽くし、もうすぐにでも楽になりたいのに、まだそこに放置される。
ぼろぼろになりながらもそこに倒れ空を見上げれば、いつになく澄んだ空は憎らしいほどに綺麗で泣きたくなる。
(なんで身の丈にあった幸せだけを望まなかったのだろう)
初めてそう思ったときには遅い。遅すぎた・・・・・・
半日ほどはそのまま灼熱の太陽の陽に焼かれ、やっと首に縄をかけられて足下の板がガタンと外される。
一瞬の後に・・・・・
手が宙を虚しくあがき、私の身体は落ちていく・・・・・・地獄に墜ちて・・・・・・いく。
私の計画は途中までは上手くいった。けれど、死んだはずのアレキサンダー様が戻られて全てが水の泡に・・・・・・でも、これからの巻き返しは必ずあるはず。だって、私の娘のマリアがアレキサンダー様に気に入られたのだから。
マリアがスエンソン侯爵夫人になったら、また王都に呼び戻してもらえば良い。ジョセフは媚薬を盛りすぎて少しおかしくなっている。前は中肉中背の渋めのいい男だったのに、今ではすっかり醜く太り、暇さえあれば食べている。
媚薬漬けにしすぎたのかもしれない。きっと脳の一部が溶けてしまったのかも。あぁ、嫌だ、嫌だ。早くこんな田舎から抜け出したいし、こんな男はもういらない。
そんなある日、王都から騎士達10人ほどがいきなりやって来て、私の手を縛り上げた。
「お前をローズ・スエソン伯爵夫人殺害の罪で拘束する!」
「まさか、なにかのお間違いでしょう? 身に覚えは全くありませんわ」
「お前の娘が自供した! 言い逃れはできん」
(自供! なんでよ? マリアはなぜしゃべってしまったの?)
王都に戻り、厳しい取り調べが行われた。私は必死に否定したが、マリアの自白は覆せない。やがて、ローズに使った残りの毒を裏庭にまいたことや、行商人から毒を買い入れたことなどが次々と明らかにされ証拠もすっかり揃ってしまう。
私はマリアと裁判にかけられたが、結果は極刑。
「娘は悪くないんです。私だけが悪いんです」
裁判の場で訴えつづける私に、久しぶりに見たマリアは笑い続けているだけだ。
「お母様、私もうすぐ侯爵夫人よ。お母様の言ったとおりよね。きゃはははは!」
「これは・・・・・・気が狂ってる? なんで?」
「あぁ、それは私が自白作用のある香を嗅がせすぎたせいだな。少し効き過ぎたようだ」
アレキサンダー様が私にそう言って薄く笑う。
「酷い! 娘はまだこんなに若いのに! これから幸せな未来が待っていたのに!」
「だったら、私の母上は? まだまだ健康で幸せに暮らせていたはずなのに・・・・・・ローラはお前達のせいで痩せ細って傷つき、今はどこにいるのかもわからない・・・・・・お前達のせいで! 私の家族はバラバラになったのだぞ!」
(うるさい、うるさい、うるさい! 欲しいものは力尽くで奪えばいい。だって私は侍女でいるのが嫌だった。なんで生まれた家柄で全部決まるの? なんで、私よりみんな恵まれた人生を送っているの? ローズはたまたま貴族の富豪の家に生まれて何不自由なく暮らす。私は一生侍女のまま? 不公平だ。生まれたときから運命が、人生が、ほぼ決まるなんておかしいじゃないかっ!)
処刑日は良く晴れた朝だった。処刑台の周りには、見物人でたくさんの人だかりができている。処刑は民衆の楽しみのひとつだからだ。
一段、また一段と処刑台に通じる階段を登っていく。手足が震え、見物人からは石を投げつけられる。額にあたると血が流れ、目に入り・・・・・・視界が真っ赤に染まっていくよう・・・・・・
「人殺しぃいいーー!! 」
「人でなしぃいいーー!!」
罵倒が何度も浴びせられ、処刑台の前でとても長い時間晒される。それは民衆からの制裁の時間。容赦なく飛んでくる石は私の頬にお腹に足に、あらゆる場所に命中する。
立っていられないほどの石を投げつけられた私はすでに血まみれだ。全身を痛みが覆い尽くし、もうすぐにでも楽になりたいのに、まだそこに放置される。
ぼろぼろになりながらもそこに倒れ空を見上げれば、いつになく澄んだ空は憎らしいほどに綺麗で泣きたくなる。
(なんで身の丈にあった幸せだけを望まなかったのだろう)
初めてそう思ったときには遅い。遅すぎた・・・・・・
半日ほどはそのまま灼熱の太陽の陽に焼かれ、やっと首に縄をかけられて足下の板がガタンと外される。
一瞬の後に・・・・・
手が宙を虚しくあがき、私の身体は落ちていく・・・・・・地獄に墜ちて・・・・・・いく。
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