6 / 11
4 この屋敷に私の居場所はない
しおりを挟む
「・・・・・・あぁ、それはいいかもしれないな。マリア、君はこの屋敷に残るといい」
「まぁ、ありがとうございます。嬉しいぃーー!!」
マリアは勝ち誇ったように、甲高い声を上げて笑いお兄様の腕に縋った。
(お兄様はそれを払いのけようともしない・・・・・・そうよね・・・・・・お兄様は当主になって、これから妻を迎えなければならない。ここに私がいたらお兄様の迷惑になってしまう)
お兄様が戻っていらしてから私は元の部屋に戻ったけれど、ミリーやエスメはマリアを頼みにして私に些細な意地悪をいつもする。
お兄様はそれを見ていたはずなのに注意もしない。マリアの相手をしきりにしていて、お兄様の瞳に私は少しも映らない。
ある夜、お兄様とマリアが抱き合っているのを見てしまった私は、ここを出る決心をした。
(この家を出よう! ここに私の居場所なんてないんだ)
私はトランクにわずかな荷物を詰める。行く当てはお母様がお元気でいらした頃に、たまにお会いすることがあったノア伯父様でお母様のお兄様だ。お母様が病にかかってからは一度もお会いしていない。
お母様が亡くなった時も、それ以降も来てくださることはなかったけれど・・・・・・私が行ったら迷惑かしら?でも他に行くところがない。
ノア伯父様の屋敷に向かう前に、すでにお父様と田舎に向かったマーガレットの部屋で、お母様の形見がなにか残されていないかを探す。マーガレットは強欲でお母様の物はなんでも自分のものにしていたから。でも、なにもなくて・・・・・・見つかったのはたくさんの未開封の手紙だった。
愛する妹、ローズへ
お前が病に伏していると聞いて、何度もスエソン伯爵家を訪れた。しかし、あのジョセフが面会謝絶だと言って追い返す。心配でたまらない・・・・・・
差出人はノア・コスタ伯爵。お母様のお兄様、ノア伯父様だ。何度もここに訪れていたなんて知らなかった。ノア伯父様は私とお母様を見捨てたわけじゃなかったのね・・・・・・
(行ってみよう。コスタ伯爵家、お母様の実家へ)
「まぁ、ありがとうございます。嬉しいぃーー!!」
マリアは勝ち誇ったように、甲高い声を上げて笑いお兄様の腕に縋った。
(お兄様はそれを払いのけようともしない・・・・・・そうよね・・・・・・お兄様は当主になって、これから妻を迎えなければならない。ここに私がいたらお兄様の迷惑になってしまう)
お兄様が戻っていらしてから私は元の部屋に戻ったけれど、ミリーやエスメはマリアを頼みにして私に些細な意地悪をいつもする。
お兄様はそれを見ていたはずなのに注意もしない。マリアの相手をしきりにしていて、お兄様の瞳に私は少しも映らない。
ある夜、お兄様とマリアが抱き合っているのを見てしまった私は、ここを出る決心をした。
(この家を出よう! ここに私の居場所なんてないんだ)
私はトランクにわずかな荷物を詰める。行く当てはお母様がお元気でいらした頃に、たまにお会いすることがあったノア伯父様でお母様のお兄様だ。お母様が病にかかってからは一度もお会いしていない。
お母様が亡くなった時も、それ以降も来てくださることはなかったけれど・・・・・・私が行ったら迷惑かしら?でも他に行くところがない。
ノア伯父様の屋敷に向かう前に、すでにお父様と田舎に向かったマーガレットの部屋で、お母様の形見がなにか残されていないかを探す。マーガレットは強欲でお母様の物はなんでも自分のものにしていたから。でも、なにもなくて・・・・・・見つかったのはたくさんの未開封の手紙だった。
愛する妹、ローズへ
お前が病に伏していると聞いて、何度もスエソン伯爵家を訪れた。しかし、あのジョセフが面会謝絶だと言って追い返す。心配でたまらない・・・・・・
差出人はノア・コスタ伯爵。お母様のお兄様、ノア伯父様だ。何度もここに訪れていたなんて知らなかった。ノア伯父様は私とお母様を見捨てたわけじゃなかったのね・・・・・・
(行ってみよう。コスタ伯爵家、お母様の実家へ)
12
お気に入りに追加
935
あなたにおすすめの小説
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

エメラインの結婚紋
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――

あらまあ夫人の優しい復讐
藍田ひびき
恋愛
温厚で心優しい女性と評判のカタリナ・ハイムゼート男爵令嬢。彼女はいつもにこやかに微笑み、口癖は「あらまあ」である。
そんなカタリナは結婚したその夜に、夫マリウスから「君を愛する事は無い。俺にはアメリアという愛する女性がいるんだ」と告げられる。
一方的に結ばされた契約結婚は二年間。いつも通り「あらまあ」と口にしながらも、カタリナには思惑があるようで――?
※ なろうにも投稿しています。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
貴方に私は相応しくない【完結】
迷い人
恋愛
私との将来を求める公爵令息エドウィン・フォスター。
彼は初恋の人で学園入学をきっかけに再会を果たした。
天使のような無邪気な笑みで愛を語り。
彼は私の心を踏みにじる。
私は貴方の都合の良い子にはなれません。
私は貴方に相応しい女にはなれません。

不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる