(完結)妹に虐げられた私は・・・・・・

青空一夏

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プロローグ

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「お姉様、早く私のお部屋を掃除してくださらない?」
 
「ごめんなさい。今、お義母様に言われてドレスのほつれを直しているところなのよ」

「全く、のろまね。このスエソン伯爵家にはメイドが一人もいないのよ。お義姉様がやるしかないでしょう?」








 私には、かつて優しい両親とお兄様がいた。5歳上のお兄様は私が15歳の時に、隣国との戦いで小隊長を任され戦死した。部下を助ける為に自ら敵陣に突っ込み、その遺体は回収できなかったという。

「あれでは、およそ助からないと思います・・・・・・隊長殿はご立派な最期でした!」
 生きて戻ってきたお兄様の部下達は、涙を流しながらお父様に報告をした。

 ご立派な最期なんて、私にはなんの意味もない。英雄と言われ国王陛下から勲章をいただいても、付けるべき本人はもういない。大好きなお兄様には生きていてほしかった。私とお母様は声を上げて泣き、お父様はそっと顔を背けハンカチで目の当たりを覆う。

(お父様は男性だからきっと涙を見せたくないのね)






 お兄様の戦死の知らせが悲しすぎたのか、お母様はみるみる憔悴しまもなく亡くなった。お父様がお母様の専属侍女だったマーガレットと再婚したのは、それから半年後だ。

 今のお父様はマーガレットのいいなり。私をお義姉様と呼ぶこのマリアは、マーガレットの連れ子だ。マーガレットが当主夫人に収まってからは、全てが変わった。



 マーガレットとマリアの散財でこのスエソン伯爵家はすっかり傾き、使用人は以前の半分になった。だから、私は今日もこうしてメイドの仕事をしなければならない。



(優しかったお母様、大好きだったお兄様。なんで死んでしまったの?)
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