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読者様のリクエスト編
クララの末路
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私はこの国一番の踊り子で豊満な胸と妖艶な美貌で数々の男達を虜にしてきたのよ。いつも権力者にすり寄って良い思いをしてきたけれど、そろそろ年齢的に落ち着く必要があった。美貌はいつかは衰えるの、綺麗な薔薇は永遠に咲いているわけじゃないから。
だから、あのイーサンというバカ息子に近づき子供まで身籠もってやったのに・・・・・・まさかメイドの子だなんて思わなかった。
私はゴンザレス侯爵家を追い出され、身重なのにどこにも行くところがなくなる。仕方がなく教会に駆け込み保護してもらい、なんとか子供だけは無事に産んだ。
出産が済んだ私はまたお腹がへこみ綺麗な身体に戻ると、子育てなんて馬鹿らしくなって教会を飛び出た。
(この世は楽しいことに溢れているのよ? なんで子供を産んだからって縛り付けられなければいけないの? 女ひとりで子供を育てていくのは大変すぎる。金持ち貴族の妻になりたかったから好きでもない子供を産んだの。シングルマザーなんかになりたくて産んだんじゃない!)
一度は年齢的に落ち着こうと思ったけれど、私はまだまだ若く見えるはず。あともう少しだけイケメン達と遊んだら、今度は貴族を狙うなどという高望みはせずに、裕福な商人あたりの後妻に収まろうと思っていた。
おもしろおかしく踊り子として各地を転々とし、いろいろな男達と遊び歩く。まだまだ私はモテるのよ!
やがて、身体に小豆大のしこりができて気になり始める。太ももの付け根の部分も腫れていた。でもそれは数週間で消えてしまう。
(ちょっとした疲れが原因かしら? 夜遊びもほどほどにしておこう)
また何事もなく生活していると、数ヶ月後には赤茶色の盛り上がったブツブツが顔や手足にでき、髪の毛も抜け落ちていく。
(なによ、これ? 私の身体はどうなってしまうの?)
慌てて近所の町医者に行ったけれど原因はわからず、1年ほどの後またすっかり症状が治まった。
(良かった。治ったからこれで安心ね)
けれどその2年後、たくさんの湿疹や大きなしこりが現れる。ここまできて私はやっと大きな病院に駆け込み、いろいろな検査をし性病だと医者から告げられた。幸い最近開発された薬で命だけはとりとめたが、神経に沿った痛みと目に障害が残った。
結婚もしておらず、決まった恋人もいない。
「性病だって? ふざけるなよ。俺達に移してね~~だろうなぁ? くっそ!」
遊び歩いていた男達からは、汚物を見るような眼差しを向けられバッサリ切り捨てられた。
一人で小さなアパートメントを借り、昔に男達からもらった宝石を売った金でなんとか生活しているが、目がよく見えないことをいいことに質屋に持っていっても、相場よりかなり安い値でしか引き取ってくれないのが現状だ。
今は冬。寒くても暖房代を節約しないと家賃も払えない。だから私は昼間でも布団にくるまっている。動くとお腹が空くからなるべく動かないでいると筋力は衰え、どんどん痩せ細っていくのだ。
こんな時に愚痴をこぼす友人も、世話をしに来てくれる身内もいない。
私は・・・・・・このまま・・・・・・誰にも気づかれることもなくきっと孤独死を迎えるのだろう。なぜ、もっと真面目に生きなかったのだろう。
ずっと若い頃、本気でプロポーズしてくれたかつての恋人のことを今更ながらに思い出し、その頃に戻って一緒に暮らす夢を見た。特別お金持ちでもない平民の恋人だったけれど、優しく思いやりのある男だった。
夢のなかで、私は最高に幸せだった。でも現実は・・・・・・
それから数週間経ち、私は誰にも看取られず一人寂しく息を引き取った。最後の瞬間、産んだ子供の顔を思い浮かべた。
子供よりも快楽や男を優先させた私にはお似合いの末路だったのである。
だから、あのイーサンというバカ息子に近づき子供まで身籠もってやったのに・・・・・・まさかメイドの子だなんて思わなかった。
私はゴンザレス侯爵家を追い出され、身重なのにどこにも行くところがなくなる。仕方がなく教会に駆け込み保護してもらい、なんとか子供だけは無事に産んだ。
出産が済んだ私はまたお腹がへこみ綺麗な身体に戻ると、子育てなんて馬鹿らしくなって教会を飛び出た。
(この世は楽しいことに溢れているのよ? なんで子供を産んだからって縛り付けられなければいけないの? 女ひとりで子供を育てていくのは大変すぎる。金持ち貴族の妻になりたかったから好きでもない子供を産んだの。シングルマザーなんかになりたくて産んだんじゃない!)
一度は年齢的に落ち着こうと思ったけれど、私はまだまだ若く見えるはず。あともう少しだけイケメン達と遊んだら、今度は貴族を狙うなどという高望みはせずに、裕福な商人あたりの後妻に収まろうと思っていた。
おもしろおかしく踊り子として各地を転々とし、いろいろな男達と遊び歩く。まだまだ私はモテるのよ!
やがて、身体に小豆大のしこりができて気になり始める。太ももの付け根の部分も腫れていた。でもそれは数週間で消えてしまう。
(ちょっとした疲れが原因かしら? 夜遊びもほどほどにしておこう)
また何事もなく生活していると、数ヶ月後には赤茶色の盛り上がったブツブツが顔や手足にでき、髪の毛も抜け落ちていく。
(なによ、これ? 私の身体はどうなってしまうの?)
慌てて近所の町医者に行ったけれど原因はわからず、1年ほどの後またすっかり症状が治まった。
(良かった。治ったからこれで安心ね)
けれどその2年後、たくさんの湿疹や大きなしこりが現れる。ここまできて私はやっと大きな病院に駆け込み、いろいろな検査をし性病だと医者から告げられた。幸い最近開発された薬で命だけはとりとめたが、神経に沿った痛みと目に障害が残った。
結婚もしておらず、決まった恋人もいない。
「性病だって? ふざけるなよ。俺達に移してね~~だろうなぁ? くっそ!」
遊び歩いていた男達からは、汚物を見るような眼差しを向けられバッサリ切り捨てられた。
一人で小さなアパートメントを借り、昔に男達からもらった宝石を売った金でなんとか生活しているが、目がよく見えないことをいいことに質屋に持っていっても、相場よりかなり安い値でしか引き取ってくれないのが現状だ。
今は冬。寒くても暖房代を節約しないと家賃も払えない。だから私は昼間でも布団にくるまっている。動くとお腹が空くからなるべく動かないでいると筋力は衰え、どんどん痩せ細っていくのだ。
こんな時に愚痴をこぼす友人も、世話をしに来てくれる身内もいない。
私は・・・・・・このまま・・・・・・誰にも気づかれることもなくきっと孤独死を迎えるのだろう。なぜ、もっと真面目に生きなかったのだろう。
ずっと若い頃、本気でプロポーズしてくれたかつての恋人のことを今更ながらに思い出し、その頃に戻って一緒に暮らす夢を見た。特別お金持ちでもない平民の恋人だったけれど、優しく思いやりのある男だった。
夢のなかで、私は最高に幸せだった。でも現実は・・・・・・
それから数週間経ち、私は誰にも看取られず一人寂しく息を引き取った。最後の瞬間、産んだ子供の顔を思い浮かべた。
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