(完)妹が全てを奪う時、私は声を失った。

青空一夏

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14 お札がもったいない (イヴェット視点)※オクタビアがお腹壊して大惨事と言う内容です。気分が悪くなる可能性あります。

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 私は、オクタビアが吐いて下痢をし続けるのを見ている。素っ裸でお札に埋もれて・・・・・・どんどんお札が汚れていくのよ? このままでは使えなくなってしまうわ。

 できるだけ、汚れていないお札を袋に必死に戻す。半分以上が汚物まみれでふやけて破けて、ただのゴミと化していた。なんて、勿体ないの!

 このおバカな夫がくだらない提案なんかしてくるからよ! 夫はお腹がもとから弱かったから、きっと真っ裸になってお腹を冷やしてこうなったのだろうと思う。それにしても、すさまじい勢いの下痢で、よくもこんなに出るものだと呆れてしまった。

 医者なんて恥ずかしくて呼べないと思ったけれど、死なれては困るから呼んであげたわ。

「んーー。ちょっとした食べ過ぎでしょうね? 水分だけとるようにして安静にしていれば、朝までには落ち着くでしょう」

 簡単な診察でそれだけ言うと、医者はそそくさと帰ってしまった。薬もおいていかないなんて・・・・・・

「ベッドに運んでくれ・・・・・・もう自分では動けない・・・・・・」

「ベッド? 私達の寝室のことでしょう? ダメに決まってるじゃない! ベッドが・・・・・・汚れるし・・・・・ オクタビアはここで寝なさい。ね? 浴室ならお湯で流せばいいだけだから・・・・・・かえって良かったわ・・・・・・(お札をここに入れる前だったらもっと良かったけれど)」

 私は、()の部分は心の中でつぶやく。捨ててもいいような古い毛布と白湯を侍女に持ってくるように命じた。

 この私の身体も、オクタビアの汚物まみれで臭いったらないわ。

 私はすぐに自室の浴室で身体を洗うが、なかなかあのニオイはとれない。ほんとに、むかつくわ! あのオクタビアめ! 娘のヴァネッサが女伯爵になったらすぐに死んでくれないかな、と思う。

 私達の間には愛なんてない。私は、良い暮らしがしたいだけなんだ・・・・・・

 平民の私は幼い頃から近所でも可愛いと評判の美少女だった。オクタビアが文官の時から付き合っていた私だが、始めは結婚してくれるものかと思っていた。

 でも、オマリ伯爵家の婿養子になって、私にこう言ったのだ。

「結婚しても、お前と別れる気はないよ。私と一緒にいれば贅沢ができる」

 私は結婚に拘らない進歩的な女だ。愛人でも贅沢できるなら構わないわ! 

  女の幸せってお金でしょう? ふふふ!

 あぁ!だからさっき無駄にしたお札のことを考えると胸が締め付けられる思いだわ・・・・・・

 可哀想に・・・・・・私に使われることもなく・・・・・・ゴミとなり捨てられたお札達よ・・・・・・グスン

 でも、またあの老人は会えると言ったわ。私達はもうすっかり友達だから、楽しい話をしてあげればお金なんて、またくれると思う。

 

 邪魔な正妻のアーソリンが死んで、本物のエイヴリーも老人に売った。執事のエマーソンまで高値で売れたから、今日はとても良い日だった。あの浴室事件も、今度会ったときに話してあげよう。きっと、喜んでお金をくれるわ!

 私って頭いいわねぇーー。うふ。
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