6 / 8
6 恋人のふりですか?(´⊙ω⊙`)
しおりを挟む
6
その日は、その老人からは逃れられたけれど、さすがに翌日は絶対絶命の貞操の危機だと思った。あぁ、ここから、逃げなきゃ・・・あの男は、本当に助けに来てくれるのかしら・・・
翌日は、不安に心を悩ませながらも、その男性が来るのを待った。昼頃に外から口笛が聞こえて、私は窓に走り寄って外を眺めた。見知らぬ男達が植木職人の格好をして庭の木々の手入れをしていた。その男も職人の服装をしていて、長いハシゴを屋根に向かってかけていた。屋根にそったように伸びている木の枝を切るふりをしながら、私に来るようにと合図をした。
そこからは、そのハシゴから下に降りて用意されていた輿に押し込まれた。絶対に、バレると思ったけれど、職人達は見てみないふりをしていたし、屋敷の使用人も気がついていたと思うが止められるとこもなかった。
私が、小首を傾げていると、その男は『使用人なんて、金の力でどうにでもなる』と、愉快そうに言った。そうか・・・お金を握らせたのね・・・
さて、あの老人から逃げ出せたけれど、どこに行ったらいいのか、困ったわ・・・
「あのぉーー、一生懸命、働きますから、貴方の屋敷で雇ってもらえませんか? 多分、身分の高い方でしょう?」
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
私が連れていかれたのは、なんと王宮だった。私は奴隷としてこの王宮で働くことになったのだと思った。でも、奴隷って・・・なにか過酷な仕事をさせられそうだけれど、特に普通の掃除や繕い物だから、侍女とは変らなかった。
私の服も、なんか宝石ついてるしねぇーー。
掃除は決まった部屋だけをやることになっていて、繕い物は男物のシャツとかスラックスのほつれをなんとかするだけだった。
午後には、数枚の白いハンカチを渡されて王家の紋章をいれるように言われた。刺繍は得意だったから、すぐにできたし、三時にはおやつの時間だと言われて、庭園の四阿に呼び出されて、なぜかあの男の膝に乗せられて紅茶を飲んでいた。
あ、あのぅーーこれって・・・? 私の頭は疑問符でいっぱいだった。
「インファント王太子様、王様がいらっしゃいます」側近の一人が、その男に呼びかけて、私は心の中で納得はした。王太子様か・・・にしても・・・なぜ、私は抱っこされているの?
「ふふふ。君には、私の恋人のふりをしてもらいたい。私の両親の前で妻と認められる女性になってほしいんだ」
その日は、その老人からは逃れられたけれど、さすがに翌日は絶対絶命の貞操の危機だと思った。あぁ、ここから、逃げなきゃ・・・あの男は、本当に助けに来てくれるのかしら・・・
翌日は、不安に心を悩ませながらも、その男性が来るのを待った。昼頃に外から口笛が聞こえて、私は窓に走り寄って外を眺めた。見知らぬ男達が植木職人の格好をして庭の木々の手入れをしていた。その男も職人の服装をしていて、長いハシゴを屋根に向かってかけていた。屋根にそったように伸びている木の枝を切るふりをしながら、私に来るようにと合図をした。
そこからは、そのハシゴから下に降りて用意されていた輿に押し込まれた。絶対に、バレると思ったけれど、職人達は見てみないふりをしていたし、屋敷の使用人も気がついていたと思うが止められるとこもなかった。
私が、小首を傾げていると、その男は『使用人なんて、金の力でどうにでもなる』と、愉快そうに言った。そうか・・・お金を握らせたのね・・・
さて、あの老人から逃げ出せたけれど、どこに行ったらいいのか、困ったわ・・・
「あのぉーー、一生懸命、働きますから、貴方の屋敷で雇ってもらえませんか? 多分、身分の高い方でしょう?」
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
私が連れていかれたのは、なんと王宮だった。私は奴隷としてこの王宮で働くことになったのだと思った。でも、奴隷って・・・なにか過酷な仕事をさせられそうだけれど、特に普通の掃除や繕い物だから、侍女とは変らなかった。
私の服も、なんか宝石ついてるしねぇーー。
掃除は決まった部屋だけをやることになっていて、繕い物は男物のシャツとかスラックスのほつれをなんとかするだけだった。
午後には、数枚の白いハンカチを渡されて王家の紋章をいれるように言われた。刺繍は得意だったから、すぐにできたし、三時にはおやつの時間だと言われて、庭園の四阿に呼び出されて、なぜかあの男の膝に乗せられて紅茶を飲んでいた。
あ、あのぅーーこれって・・・? 私の頭は疑問符でいっぱいだった。
「インファント王太子様、王様がいらっしゃいます」側近の一人が、その男に呼びかけて、私は心の中で納得はした。王太子様か・・・にしても・・・なぜ、私は抱っこされているの?
「ふふふ。君には、私の恋人のふりをしてもらいたい。私の両親の前で妻と認められる女性になってほしいんだ」
2
お気に入りに追加
550
あなたにおすすめの小説


【完結】出来損ないと罵られ続けた“無能な姫”は、姉の代わりに嫁ぐ事になりましたが幸せです ~あなた達の後悔なんて知りません~
Rohdea
恋愛
──隠されていた私の真実(ほんとう)の力はあなたに愛されて知りました。
小国の末姫、クローディアは、王族なら誰もが持つはずの特殊能力を授からなかったせいで、
誰からも愛されず“無能な姫”と罵られて来た。
そんなある日、大国の王から姉に縁談話が舞い込む。
王妃待遇だけど後妻、年齢も親子ほど離れている為、
泣いて嫌がった姉は自分の身代わりとしてクローディアを嫁がせればいいと言う。
反発するクローディア。
しかし、国としてクローディアは身代わりとして嫁ぐ事が決定してしまう。
罪悪感に苛まれたまま、大国に嫁いでいくクローディア。
しかし、何故かそんなクローディアを出迎えたのは……
(あれ? 私、後妻になるのでは??)
それだけでなく、嫁ぎ先での生活は想像したものと大きく違っていた。
嫁いだ先でクローディアは愛される事を知り、
また、自分に隠された真実(ほんとう)の力を知る事になる。
一方、何も知らず“無能な姫”だと言ってクローディアを手放した祖国の者達は──……

竜皇帝陛下の寵愛~役立たずの治癒師は暗黒竜に今日も餌付けされ中!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリリアーナ・アンシーは社交界でも醜い容姿故にアザラシ姫と呼ばれていた。
そんな折、敵対する竜の国との平和条約の為に生贄を差し出すことになった。
その相手は純白の聖女と呼ばれるサンドラだったが国の聖女を差し出すわけにも行かず、リリアーナが身代わりを務めることになった。
辺境伯爵令嬢ならば国の為に働くべきだと泣く泣く苦渋の選択をした婚約者だったが体よくリリアーナを国から追い出し、始末する魂胆が丸見えだった。
王も苦渋の選択だったがリリアーナはある条件を付け了承したのだ。
そして決死の覚悟で敵国に迎えられたはずが。
「君が僕のお嫁さんかい?とりあえず僕の手料理を食べてくれないかな」
暗黒竜と恐れられた竜皇帝陛下は何故か料理を振る舞い始めた。
「なるほどコロコロ太らせて食べるのか」
頓珍漢な勘違いをしたリリアーナは殺されるまで美味しい物を食べようと誓ったのだが、何故か食べられる気配はなかった。
その頃祖国では、聖女が結界を敷くことができなくなり危機的状況になっていた。
世界樹も聖女を拒絶し、サンドラは聖女の地位を剥奪されそうになっていたのだった…

【完結】美人な姉と間違って求婚されまして ~望まれない花嫁が愛されて幸せになるまで~
Rohdea
恋愛
───私は美しい姉と間違って求婚されて花嫁となりました。
美しく華やかな姉の影となり、誰からも愛されずに生きて来た伯爵令嬢のルチア。
そんなルチアの元に、社交界でも話題の次期公爵、ユリウスから求婚の手紙が届く。
それは、これまで用意された縁談が全て流れてしまっていた“ルチア”に届いた初めての求婚の手紙だった!
更に相手は超大物!
この機会を逃してなるものかと父親は結婚を即快諾し、あれよあれよとルチアは彼の元に嫁ぐ事に。
しかし……
「……君は誰だ?」
嫁ぎ先で初めて顔を合わせたユリウスに開口一番にそう言われてしまったルチア。
旦那様となったユリウスが結婚相手に望んでいたのは、
実はルチアではなく美しくも華やかな姉……リデルだった───
人質同然だったのに何故か普通の私が一目惚れされて溺愛されてしまいました
ツヅミツヅ
恋愛
異国の王国に人質として連れて行かれた王女・レイティア。
彼女は政治的な駆け引きの道具として送り込まれたはずだったが、なぜかその国の王であるアナバスから異常なまでに執着される。
冷徹で非情な王と噂されるアナバスは、なぜレイティアに強く惹かれるのか?
そして、王国間の陰謀が渦巻く中、レイティアはどのように運命を切り開いていくのか?
強き王と穏やかな王女の交錯する思いが描かれる、「策略と愛が交錯する異国ロマンス」。
18Rには※がついております
落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~
しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。
とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。
「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」
だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。
追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は?
すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。
小説家になろう、他サイトでも掲載しています。
麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる