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6 恋人のふりですか?(´⊙ω⊙`)
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その日は、その老人からは逃れられたけれど、さすがに翌日は絶対絶命の貞操の危機だと思った。あぁ、ここから、逃げなきゃ・・・あの男は、本当に助けに来てくれるのかしら・・・
翌日は、不安に心を悩ませながらも、その男性が来るのを待った。昼頃に外から口笛が聞こえて、私は窓に走り寄って外を眺めた。見知らぬ男達が植木職人の格好をして庭の木々の手入れをしていた。その男も職人の服装をしていて、長いハシゴを屋根に向かってかけていた。屋根にそったように伸びている木の枝を切るふりをしながら、私に来るようにと合図をした。
そこからは、そのハシゴから下に降りて用意されていた輿に押し込まれた。絶対に、バレると思ったけれど、職人達は見てみないふりをしていたし、屋敷の使用人も気がついていたと思うが止められるとこもなかった。
私が、小首を傾げていると、その男は『使用人なんて、金の力でどうにでもなる』と、愉快そうに言った。そうか・・・お金を握らせたのね・・・
さて、あの老人から逃げ出せたけれど、どこに行ったらいいのか、困ったわ・・・
「あのぉーー、一生懸命、働きますから、貴方の屋敷で雇ってもらえませんか? 多分、身分の高い方でしょう?」
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
私が連れていかれたのは、なんと王宮だった。私は奴隷としてこの王宮で働くことになったのだと思った。でも、奴隷って・・・なにか過酷な仕事をさせられそうだけれど、特に普通の掃除や繕い物だから、侍女とは変らなかった。
私の服も、なんか宝石ついてるしねぇーー。
掃除は決まった部屋だけをやることになっていて、繕い物は男物のシャツとかスラックスのほつれをなんとかするだけだった。
午後には、数枚の白いハンカチを渡されて王家の紋章をいれるように言われた。刺繍は得意だったから、すぐにできたし、三時にはおやつの時間だと言われて、庭園の四阿に呼び出されて、なぜかあの男の膝に乗せられて紅茶を飲んでいた。
あ、あのぅーーこれって・・・? 私の頭は疑問符でいっぱいだった。
「インファント王太子様、王様がいらっしゃいます」側近の一人が、その男に呼びかけて、私は心の中で納得はした。王太子様か・・・にしても・・・なぜ、私は抱っこされているの?
「ふふふ。君には、私の恋人のふりをしてもらいたい。私の両親の前で妻と認められる女性になってほしいんだ」
その日は、その老人からは逃れられたけれど、さすがに翌日は絶対絶命の貞操の危機だと思った。あぁ、ここから、逃げなきゃ・・・あの男は、本当に助けに来てくれるのかしら・・・
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さて、あの老人から逃げ出せたけれど、どこに行ったらいいのか、困ったわ・・・
「あのぉーー、一生懸命、働きますから、貴方の屋敷で雇ってもらえませんか? 多分、身分の高い方でしょう?」
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私の服も、なんか宝石ついてるしねぇーー。
掃除は決まった部屋だけをやることになっていて、繕い物は男物のシャツとかスラックスのほつれをなんとかするだけだった。
午後には、数枚の白いハンカチを渡されて王家の紋章をいれるように言われた。刺繍は得意だったから、すぐにできたし、三時にはおやつの時間だと言われて、庭園の四阿に呼び出されて、なぜかあの男の膝に乗せられて紅茶を飲んでいた。
あ、あのぅーーこれって・・・? 私の頭は疑問符でいっぱいだった。
「インファント王太子様、王様がいらっしゃいます」側近の一人が、その男に呼びかけて、私は心の中で納得はした。王太子様か・・・にしても・・・なぜ、私は抱っこされているの?
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