5 / 8
5 薬のお陰
しおりを挟む
目が覚めると、露出度の高いドレスを着せられて、大きな部屋の真ん中に寝かせられていた。起き上がると、早速、周りにいる男達から声があがった。
「10万リグ!」 「20万リグ!」 「30万リグ!」 「100万リグだ!」
なに、これ、競売? もしかして、ここは奴隷市? 見たことはなかったけれど、こういうかんじなのね?
「100万で、決まりました!」
その場を取り仕切っている者が、声を上げた。
私は、でっぷりした老人に買われたのだった。その直後に背後から声がかけられた。
「待て! その女に1,000万出そう! 譲ってくれ」
銀髪の、綺麗な琥珀色の瞳が私を見ていた。私と同じぐらいの年齢だと思う。服装も、とても上等な布で仕立てられているように見える。
「ダメだね! これは、私の愛人にするんだ。ちょうど、前の愛人が死んじまったからな・・・・・・」
私は、その老人の屋敷の2階の部屋に案内された。ずっと、ここにいる気は毛頭ないので、早速逃げ出す方法を考えた。
私は、その窓からなんとか逃げられないかと、考えを巡らせた。そこから、まず、屋根に降りて、脇に生えている木を伝っていけば・・・・・・
よし! やってみるか! 私は、窓をそっと開けて、ゆっくりと外にでて、屋根の上を歩いた。その脇の木に、飛び移ろうとすると、さきほどの男が塀の外からこちらを覗いていた。
「大きな猫がいるもんだな」
一言、そう言うと去っていってしまった。
その木は、思ったよりも屋根から離れていて、結局、逃げ出すことはできなかった。
毎日、その男が朝とお昼に通るのを、屋根の上からぼんやり眺めていた。
この国では縁起が良い日でないと初夜はしないという風習があったので、まだ、私はあの老人の餌食にはなっていない。でも、七日後には、その縁起の良い日が来てしまうのだった。
ドアの前には、見張りがいて、そこからは逃げられない。どうしたら、いいんだろう?
その老人は、私の部屋に来ると「教育」をしていった。
余計なことを言うと、手をはたかれて、いつも、にこやかにしていろと言われた。
「儂がきたら土下座をして迎えろよ? お前は、買われた奴隷なんだから」
「おい、口答えはするなよ? 奴隷は、物が食べられるだけありがたいと思え!」
散々、言われて、機嫌が悪いと、理由もなくぶたれた。
もう、ここから、逃げられないのかしら・・・・・・・
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
いよいよ、初夜が明日に迫った頃に、その男が小さな瓶を投げてきた。
「初夜は明日だろう? 初夜の前に、助けてあげよう。迎えに来るから、待っていなさい。その瓶の中身は、無理矢理されそうになったら、あのじじぃに飲ませろ」
そうして、男は笑いながら去って行った。なんで、今、助けてくれないのよ?
その夜、その老人は私の部屋に、いきなりやって来た。
「今日は、屋根の上にいただろう? 男と話をしていたようだなぁ。あんな男に取られる前に唾をつけておこうと思ってなぁ。なぁに、やるのに、今日も明日も大差ないさ。」
そう言いながら、私に迫ってくるのだった。私は、その前にお酒を飲みたいと提案した。持って来られたお酒にあの薬を、こっそりいれる。私は、飲んだ振りをし、老人は機嫌良くたくさん飲んだ。
なにも、起こらない・・・・・・私は、その老人に組み敷かれて、ドレスの裾をたくしあげられた。
ピィーーー、ゴロゴロ
雷? そう、思って上に乗っている老人を見ると、なんとも情けない顔をしている。
「うぉ? 痛い! 痛い! なんだ? 急に腹が痛い・・・・・・あぁ、可愛い愛人よ。許せ。お前を抱きたかったのに・・・・・・うぉ? いかん、いかん」
走ってトイレに籠もると、すごい音がした。これって、強力な下剤?
私を、押し倒そうとすると、便意をもよおすらしく、トイレに行ったりきたりし、しまいにはトイレの中でぐったりと腹を抱えてうなっている。
「あぁ、私を嫌いになるなよ? 歳をとると、腹を壊しやすくて困るなぁ。どれ、こっちにおいで。胸ぐらいは揉んでやろう?」
「あっ。私も、急にお腹が・・・・・・痛い・・・・・・いたたっ!」
「なんと、お前もか!」
「だが、安心しろ! 明日の夜は寝かさないぞ」
老人は、口をすぼめてウィンクをしてきたのだった。
「10万リグ!」 「20万リグ!」 「30万リグ!」 「100万リグだ!」
なに、これ、競売? もしかして、ここは奴隷市? 見たことはなかったけれど、こういうかんじなのね?
「100万で、決まりました!」
その場を取り仕切っている者が、声を上げた。
私は、でっぷりした老人に買われたのだった。その直後に背後から声がかけられた。
「待て! その女に1,000万出そう! 譲ってくれ」
銀髪の、綺麗な琥珀色の瞳が私を見ていた。私と同じぐらいの年齢だと思う。服装も、とても上等な布で仕立てられているように見える。
「ダメだね! これは、私の愛人にするんだ。ちょうど、前の愛人が死んじまったからな・・・・・・」
私は、その老人の屋敷の2階の部屋に案内された。ずっと、ここにいる気は毛頭ないので、早速逃げ出す方法を考えた。
私は、その窓からなんとか逃げられないかと、考えを巡らせた。そこから、まず、屋根に降りて、脇に生えている木を伝っていけば・・・・・・
よし! やってみるか! 私は、窓をそっと開けて、ゆっくりと外にでて、屋根の上を歩いた。その脇の木に、飛び移ろうとすると、さきほどの男が塀の外からこちらを覗いていた。
「大きな猫がいるもんだな」
一言、そう言うと去っていってしまった。
その木は、思ったよりも屋根から離れていて、結局、逃げ出すことはできなかった。
毎日、その男が朝とお昼に通るのを、屋根の上からぼんやり眺めていた。
この国では縁起が良い日でないと初夜はしないという風習があったので、まだ、私はあの老人の餌食にはなっていない。でも、七日後には、その縁起の良い日が来てしまうのだった。
ドアの前には、見張りがいて、そこからは逃げられない。どうしたら、いいんだろう?
その老人は、私の部屋に来ると「教育」をしていった。
余計なことを言うと、手をはたかれて、いつも、にこやかにしていろと言われた。
「儂がきたら土下座をして迎えろよ? お前は、買われた奴隷なんだから」
「おい、口答えはするなよ? 奴隷は、物が食べられるだけありがたいと思え!」
散々、言われて、機嫌が悪いと、理由もなくぶたれた。
もう、ここから、逃げられないのかしら・・・・・・・
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
いよいよ、初夜が明日に迫った頃に、その男が小さな瓶を投げてきた。
「初夜は明日だろう? 初夜の前に、助けてあげよう。迎えに来るから、待っていなさい。その瓶の中身は、無理矢理されそうになったら、あのじじぃに飲ませろ」
そうして、男は笑いながら去って行った。なんで、今、助けてくれないのよ?
その夜、その老人は私の部屋に、いきなりやって来た。
「今日は、屋根の上にいただろう? 男と話をしていたようだなぁ。あんな男に取られる前に唾をつけておこうと思ってなぁ。なぁに、やるのに、今日も明日も大差ないさ。」
そう言いながら、私に迫ってくるのだった。私は、その前にお酒を飲みたいと提案した。持って来られたお酒にあの薬を、こっそりいれる。私は、飲んだ振りをし、老人は機嫌良くたくさん飲んだ。
なにも、起こらない・・・・・・私は、その老人に組み敷かれて、ドレスの裾をたくしあげられた。
ピィーーー、ゴロゴロ
雷? そう、思って上に乗っている老人を見ると、なんとも情けない顔をしている。
「うぉ? 痛い! 痛い! なんだ? 急に腹が痛い・・・・・・あぁ、可愛い愛人よ。許せ。お前を抱きたかったのに・・・・・・うぉ? いかん、いかん」
走ってトイレに籠もると、すごい音がした。これって、強力な下剤?
私を、押し倒そうとすると、便意をもよおすらしく、トイレに行ったりきたりし、しまいにはトイレの中でぐったりと腹を抱えてうなっている。
「あぁ、私を嫌いになるなよ? 歳をとると、腹を壊しやすくて困るなぁ。どれ、こっちにおいで。胸ぐらいは揉んでやろう?」
「あっ。私も、急にお腹が・・・・・・痛い・・・・・・いたたっ!」
「なんと、お前もか!」
「だが、安心しろ! 明日の夜は寝かさないぞ」
老人は、口をすぼめてウィンクをしてきたのだった。
1
お気に入りに追加
548
あなたにおすすめの小説
トカゲ令嬢とバカにされて聖女候補から外され辺境に追放されましたが、トカゲではなく龍でした。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
リバコーン公爵家の長女ソフィアは、全貴族令嬢10人の1人の聖獣持ちに選ばれたが、その聖獣がこれまで誰も持ったことのない小さく弱々しいトカゲでしかなかった。それに比べて側室から生まれた妹は有名な聖獣スフィンクスが従魔となった。他にもグリフォンやペガサス、ワイバーンなどの実力も名声もある従魔を従える聖女がいた。リバコーン公爵家の名誉を重んじる父親は、ソフィアを正室の領地に追いやり第13王子との婚約も辞退しようとしたのだが……
王立聖女学園、そこは爵位を無視した弱肉強食の競争社会。だがどれだけ努力しようとも神の気紛れで全てが決められてしまう。まず従魔が得られるかどうかで貴族令嬢に残れるかどうかが決まってしまう。
山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!
甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
聖女は寿命を削って王子を救ったのに、もう用なしと追い出されて幸せを掴む!
naturalsoft
恋愛
読者の方からの要望で、こんな小説が読みたいと言われて書きました。
サラッと読める短編小説です。
人々に癒しの奇跡を与える事のできる者を聖女と呼んだ。
しかし、聖女の力は諸刃の剣だった。
それは、自分の寿命を削って他者を癒す力だったのだ。
故に、聖女は力を使うのを拒み続けたが、国の王子が難病に掛かった事によって事態は急変するのだった。
王太子に婚約破棄され塔に幽閉されてしまい、守護神に祈れません。このままでは国が滅んでしまいます。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
リドス公爵家の長女ダイアナは、ラステ王国の守護神に選ばれた聖女だった。
守護神との契約で、穢れない乙女が毎日祈りを行うことになっていた。
だがダイアナの婚約者チャールズ王太子は守護神を蔑ろにして、ダイアナに婚前交渉を迫り平手打ちを喰らった。
それを逆恨みしたチャールズ王太子は、ダイアナの妹で愛人のカミラと謀り、ダイアナが守護神との契約を蔑ろにして、リドス公爵家で入りの庭師と不義密通したと罪を捏造し、何の罪もない庭師を殺害して反論を封じたうえで、ダイアナを塔に幽閉してしまった。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
竜皇帝陛下の寵愛~役立たずの治癒師は暗黒竜に今日も餌付けされ中!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリリアーナ・アンシーは社交界でも醜い容姿故にアザラシ姫と呼ばれていた。
そんな折、敵対する竜の国との平和条約の為に生贄を差し出すことになった。
その相手は純白の聖女と呼ばれるサンドラだったが国の聖女を差し出すわけにも行かず、リリアーナが身代わりを務めることになった。
辺境伯爵令嬢ならば国の為に働くべきだと泣く泣く苦渋の選択をした婚約者だったが体よくリリアーナを国から追い出し、始末する魂胆が丸見えだった。
王も苦渋の選択だったがリリアーナはある条件を付け了承したのだ。
そして決死の覚悟で敵国に迎えられたはずが。
「君が僕のお嫁さんかい?とりあえず僕の手料理を食べてくれないかな」
暗黒竜と恐れられた竜皇帝陛下は何故か料理を振る舞い始めた。
「なるほどコロコロ太らせて食べるのか」
頓珍漢な勘違いをしたリリアーナは殺されるまで美味しい物を食べようと誓ったのだが、何故か食べられる気配はなかった。
その頃祖国では、聖女が結界を敷くことができなくなり危機的状況になっていた。
世界樹も聖女を拒絶し、サンドラは聖女の地位を剥奪されそうになっていたのだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる