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5 薬のお陰 

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 目が覚めると、露出度の高いドレスを着せられて、大きな部屋の真ん中に寝かせられていた。起き上がると、早速、周りにいる男達から声があがった。

「10万リグ!」 「20万リグ!」  「30万リグ!」  「100万リグだ!」


 なに、これ、競売? もしかして、ここは奴隷市? 見たことはなかったけれど、こういうかんじなのね?  

「100万で、決まりました!」

 その場を取り仕切っている者が、声を上げた。

 私は、でっぷりした老人に買われたのだった。その直後に背後から声がかけられた。

「待て! その女に1,000万出そう! 譲ってくれ」

 銀髪の、綺麗な琥珀色の瞳が私を見ていた。私と同じぐらいの年齢だと思う。服装も、とても上等な布で仕立てられているように見える。

「ダメだね! これは、私の愛人にするんだ。ちょうど、前の愛人が死んじまったからな・・・・・・」

 私は、その老人の屋敷の2階の部屋に案内された。ずっと、ここにいる気は毛頭ないので、早速逃げ出す方法を考えた。

 私は、その窓からなんとか逃げられないかと、考えを巡らせた。そこから、まず、屋根に降りて、脇に生えている木を伝っていけば・・・・・・

 よし! やってみるか! 私は、窓をそっと開けて、ゆっくりと外にでて、屋根の上を歩いた。その脇の木に、飛び移ろうとすると、さきほどの男が塀の外からこちらを覗いていた。

「大きな猫がいるもんだな」

一言、そう言うと去っていってしまった。

その木は、思ったよりも屋根から離れていて、結局、逃げ出すことはできなかった。

毎日、その男が朝とお昼に通るのを、屋根の上からぼんやり眺めていた。

この国では縁起が良い日でないと初夜はしないという風習があったので、まだ、私はあの老人の餌食にはなっていない。でも、七日後には、その縁起の良い日が来てしまうのだった。

ドアの前には、見張りがいて、そこからは逃げられない。どうしたら、いいんだろう?

その老人は、私の部屋に来ると「教育」をしていった。

余計なことを言うと、手をはたかれて、いつも、にこやかにしていろと言われた。

「儂がきたら土下座をして迎えろよ? お前は、買われた奴隷なんだから」

「おい、口答えはするなよ? 奴隷は、物が食べられるだけありがたいと思え!」

 散々、言われて、機嫌が悪いと、理由もなくぶたれた。

もう、ここから、逃げられないのかしら・・・・・・・


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚


いよいよ、初夜が明日に迫った頃に、その男が小さな瓶を投げてきた。

「初夜は明日だろう? 初夜の前に、助けてあげよう。迎えに来るから、待っていなさい。その瓶の中身は、無理矢理されそうになったら、あのじじぃに飲ませろ」

 そうして、男は笑いながら去って行った。なんで、今、助けてくれないのよ?

 その夜、その老人は私の部屋に、いきなりやって来た。

「今日は、屋根の上にいただろう? 男と話をしていたようだなぁ。あんな男に取られる前に唾をつけておこうと思ってなぁ。なぁに、やるのに、今日も明日も大差ないさ。」

そう言いながら、私に迫ってくるのだった。私は、その前にお酒を飲みたいと提案した。持って来られたお酒にあの薬を、こっそりいれる。私は、飲んだ振りをし、老人は機嫌良くたくさん飲んだ。

 なにも、起こらない・・・・・・私は、その老人に組み敷かれて、ドレスの裾をたくしあげられた。
ピィーーー、ゴロゴロ

 雷? そう、思って上に乗っている老人を見ると、なんとも情けない顔をしている。

「うぉ? 痛い! 痛い! なんだ? 急に腹が痛い・・・・・・あぁ、可愛い愛人よ。許せ。お前を抱きたかったのに・・・・・・うぉ? いかん、いかん」

 走ってトイレに籠もると、すごい音がした。これって、強力な下剤?

 私を、押し倒そうとすると、便意をもよおすらしく、トイレに行ったりきたりし、しまいにはトイレの中でぐったりと腹を抱えてうなっている。

「あぁ、私を嫌いになるなよ? 歳をとると、腹を壊しやすくて困るなぁ。どれ、こっちにおいで。胸ぐらいは揉んでやろう?」

「あっ。私も、急にお腹が・・・・・・痛い・・・・・・いたたっ!」

「なんと、お前もか!」

「だが、安心しろ! 明日の夜は寝かさないぞ」

 老人は、口をすぼめてウィンクをしてきたのだった。

 
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