(完結)追放された王女は隣国の後宮で囚われの奴隷?になるー溺愛されて困っています

青空一夏

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2 どんどん積み重なる嘘で悪女にされる姉

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「エマ、貴女は姉である私をバカにしているのかしら?」

 ほんの少し、きつめの口調で言っただけで、すっかり怯えたエマは涙ぐんで体をブルブル震わせていた。

「ナタリー! 今の言葉の口調は、とてもきつかったよ?」

 ハミルトンが、私に注意をしてきた。

「いいんです!! お姉様のご機嫌を損ねた私が悪いのです。ごめんなさい。お姉様。お願い! 許してください!

うっ、うっ、うわぁーーん!」

 
 その騒ぎに、お父様がいらっしゃると、エマは抱きついて泣きながら訴えた。

「お姉様が、『私をばかにするな!』と怒鳴ったのです。でも、私のせいなんです。次期女王様になるお姉様を怒らせた私が悪いのです」

 赤い目を、もっと赤くして、それはもう悲劇のヒロインのように泣き叫んでいた。


「どういうことなんだい?ナタリーは女王様になるのに、そんなに高圧的なことでは民はついてこないよ。自室に戻り、しばらく謹慎して、反省しなさい」

「・・・・・・・・・・・」

「返事をしなさい! ナタリーー!」

 お父様が、鬼の形相で私を責めた。

「はい。反省・・・・・・します。申し訳ありませんでした・・・・・・」

 私は、やっと、それだけ言うと自室に戻った。

 ベッドの上で、ぼんやりとしていると、お母様がノックをしてお部屋に入っていらっしゃった。

「ナタリー。お話があります。あなたは、なぜ、そんなに高圧的な威張るような子になったのかしら? 何もしていないナタリーを叩いて、『次期女王様になるお姉様をばかにするな!』と言ったそうね? なんて、愚かな子なのでしょう」

 私は、伝言ゲームを思い出した。どんどん、尾ひれ羽ひれがついていくあのゲームは楽しかったけれど、現実でされると辛い。

 お母様のお説教が始まると、ノックの音がしてエマがやって来た。

「お願い! お母様はお姉様を叱らないで。でないと、あとで、お姉様の仕返しが怖いです」

 エマは、怯えながら、なおも私を悪女にしようとするのだった。

    
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