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9 ヴィセンテ男爵家の断罪その1
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「さてと、まずは、ヴィセンテ男爵家の家具店で働いているアイラさんのお給料が4ヶ月払われていない件について、即刻支払いを命じます。それと……勤務内容・時間など考慮して、今まで払ってきた金額が不当に低すぎますね。これも、即刻支払いを命じます」
女の裁判官がスラスラと結論ばかりを述べていくのに、オーランドはあきれ果てて怒りで顔が赤くなった。
「意義あり! なんで、女の裁判官なんだ! いきなり判決なんておかしいし、平民風情の言うことを真に受けるなんてどうかしている!」
「アイラさんにお金を払わない正当な理由があるのなら今から聞きますよ。どうぞ、反論してください。それから、女であろうと裁判官として劣ることはないと思っています」
「はっ! あり得ない! あぁ、わかりました。これは余興でしょう? 一種のショーみたいなものか? さて、本物の裁判官を出してくださいよ。アイラの給料を払わないのは当然でしょう? 嫁ですよ? 身内には払う必要がないし、そもそも卑しい平民が男爵家に住めて、食事をして生活ができているのだからそれが報酬だ。男爵家の嫁になれただけでも感謝しないといけないでしょう? 世の中は、そんなものだ」
私はこのマヌケな女に、世の中の摂理をちゃんと教えてやったさ。
「その理論でいくと、身内のヴィセンテ男爵前夫人にもイアンさんやウェンディさんにも、給料は発生しませんよね? 持参した帳簿を見せてください」
「は? なんで見せなきゃならん! そもそもアイラとエリアンは平民だろう? こんな卑しい者達の言い分なんて取り上げる必要がありますか? いつから、この国は平民がそんなにお偉くなったんだ? こいつらは勤務中に倉庫でサボって不倫していた挙げ句に、レジのお金を盗み高価な絨毯まで密売しようとした泥棒なんだぞ!」
私は傍聴席にも公爵様達にも、よく聞こえるように大声で言ってやった。
「ほぉーー。我が孫娘が卑しいとは……お前は誰にものを言っている?」
「ふーーん。我が息子が不倫をしただと? 誰を敵に回しているのかわかっていないようだな?」
「 ふぇ? なんておっしゃいましたか? 冗談はやめてください! アーヴィング公爵家のアッレサンドラ様はリアーノ公爵家のエルネスト様と駆け落ちなさったことは有名ですが、国外で優雅に暮らしていらっしゃるはずですよねぇ? だって、駆け落ちしても影で援助する親達は少なくないですよ?」
「ふん! そういう曲がったことが嫌いな貴族もここにおるわい。貴族としての義務を放棄して駆け落ちした者は、それなりの罰をうけるべきだ」
「その通り。いくら援助したくとも、そこは心を鬼にしないといけない。私もアーヴィング公爵も、そのへんはわきまえている。エルネスト達も私達を頼ってきたことはなかった」
アーヴィング公爵閣下はアイラを、リアーノ公爵閣下はエリアンを愛おしそうに見ていた。これは、大変まずい……アイラが公爵令嬢の娘だなんて……
「やっぱりそうでしたか! アイラ、貴女は絶対に高貴な女性だと思っていました。私はずっと、アイラには酷いことはしていなかったでしょう? あの状況を作ったのは私の意志ではないし、このバカで愚かな両親と妹ですからっ! 私はずっと、もっと大事に扱うべきだと思っていました。」
「なんだと? お前はなにも異論を言わなかったよな?」
私は息子を睨み付けた。裏切り者めっ!
「お兄様は止めもしなかったじゃない! 同罪よ! 私のほうこそ、本当はアイラさんに酷いことはしたくなかったですよ。みんな、この両親とお兄様のせいです!」
ウェンディの笑みは引きつり、すがるようにアイラを見つめていた。
「アイラちゃん。貴女はヴィセンテ男爵家の大事なお嫁さんよ! ほら、私達はいつだって仲良く暮してきたわよねぇ? 私は夫に言われたようにしただけですよ。ウェンディもイアンも皆、夫の命令に従っただけです。罪があるとしたら夫ですわ」
妻のエスメラルダは青ざめ、アイラにわざとらしい笑みを貼り付けている。
「お前、なにもかも私のせいにするな! イアンは酷いことはしなかったと言うが、庇いも止めもしなかった。エスメラルダとウェンディは、すすんでアイラ様に嫌がらせしていたではないか! そうやって自分のしたことを責任転嫁するな!」
「だって、貴方が給料を払わないでただ働きを一生させようって提案したんじゃない!」
「このバカ女! こんな法廷で、そんな話をするんじゃない!」
「アイラ様! 私は家を出ます! 今こそ、愚かな両親ぬきで一緒に暮らしましょう! こんな両親はアイラ様の為に喜んで捨てますから安心してください! 妹とも縁を切ります……アイラ様が一番大事だと今、気がつきました。 夫である私が今後は貴女を支えます!」
イアンは、あろうことかアイラに泣きついている。
「あ、待って、待って! 私だってアイラ様と仲良くしたいですぅ。だって、女公爵になるんでしょう? 私、前からずっと公爵のような高位貴族に憧れていて……これで私も公爵と親戚になれるんでしょう?」
ウェンディは、満面の笑みでアイラに手を振っている。
「……はぁ? バカ過ぎてお話になりませんわ。やっぱり、お祖父様のおっしゃったようにこの方達に慰謝料を請求します。今までの精神苦痛……安くはありませんよ? それから私に罪を着せようとしたことや、侮辱したことや……数え上げたらキリがありませんね? ふふふ」
アイラがそう言い放ち、いつもとはうって変ったダークなニヤリとした笑みを浮かべたのだった。これって……ほんとにあのアイラなのか……この凄みのある微笑はアーヴィング公爵にそっくりだった。
もしかして、もしかしなくても……私は決して手を出してはいけない種類の人間に、手を出したのじゃなかろうか?
やばい……
❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ
次回、最終回です。
イアンがアイラに縋って泣きますが、アイラはどんな決断を下すのでしょうか。
以下、宣伝です! ライト文芸大賞エントリー作品です。不快な方は飛ばしてくださいませ。
「愛を教えてくれた人」
多動性発達障害のヒロインが捨てられた先はお祖母ちゃんの家で牧場。田舎で素朴に大自然のなかで暮して成長していくだけでなく、華やかな部分も盛り込みました。
養親の叔母さんの礼子さんは実は有名一流画家の大金持ち。そこでは、いろいろな人間模様が展開されます。暗いだけでもなく、いいことだけでもなく、善人多めではありますがクセのある人物も登場します。
学校に行けば、多少の虐めのようなものもあったり、意地悪人間もいて……それでも理解のある人達や親友、恋人もできて成長していくという物語になっていきます。
最後は少し悲しいですが、ヒロインが圧倒的に幸せになる保証付です。現実よりも、かなりご都合主義ですが暗いだけでなく夢が感じられるものになったら良いと思っています。
よろしけば、お読みいただけるとうれしいです。
女の裁判官がスラスラと結論ばかりを述べていくのに、オーランドはあきれ果てて怒りで顔が赤くなった。
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「アイラさんにお金を払わない正当な理由があるのなら今から聞きますよ。どうぞ、反論してください。それから、女であろうと裁判官として劣ることはないと思っています」
「はっ! あり得ない! あぁ、わかりました。これは余興でしょう? 一種のショーみたいなものか? さて、本物の裁判官を出してくださいよ。アイラの給料を払わないのは当然でしょう? 嫁ですよ? 身内には払う必要がないし、そもそも卑しい平民が男爵家に住めて、食事をして生活ができているのだからそれが報酬だ。男爵家の嫁になれただけでも感謝しないといけないでしょう? 世の中は、そんなものだ」
私はこのマヌケな女に、世の中の摂理をちゃんと教えてやったさ。
「その理論でいくと、身内のヴィセンテ男爵前夫人にもイアンさんやウェンディさんにも、給料は発生しませんよね? 持参した帳簿を見せてください」
「は? なんで見せなきゃならん! そもそもアイラとエリアンは平民だろう? こんな卑しい者達の言い分なんて取り上げる必要がありますか? いつから、この国は平民がそんなにお偉くなったんだ? こいつらは勤務中に倉庫でサボって不倫していた挙げ句に、レジのお金を盗み高価な絨毯まで密売しようとした泥棒なんだぞ!」
私は傍聴席にも公爵様達にも、よく聞こえるように大声で言ってやった。
「ほぉーー。我が孫娘が卑しいとは……お前は誰にものを言っている?」
「ふーーん。我が息子が不倫をしただと? 誰を敵に回しているのかわかっていないようだな?」
「 ふぇ? なんておっしゃいましたか? 冗談はやめてください! アーヴィング公爵家のアッレサンドラ様はリアーノ公爵家のエルネスト様と駆け落ちなさったことは有名ですが、国外で優雅に暮らしていらっしゃるはずですよねぇ? だって、駆け落ちしても影で援助する親達は少なくないですよ?」
「ふん! そういう曲がったことが嫌いな貴族もここにおるわい。貴族としての義務を放棄して駆け落ちした者は、それなりの罰をうけるべきだ」
「その通り。いくら援助したくとも、そこは心を鬼にしないといけない。私もアーヴィング公爵も、そのへんはわきまえている。エルネスト達も私達を頼ってきたことはなかった」
アーヴィング公爵閣下はアイラを、リアーノ公爵閣下はエリアンを愛おしそうに見ていた。これは、大変まずい……アイラが公爵令嬢の娘だなんて……
「やっぱりそうでしたか! アイラ、貴女は絶対に高貴な女性だと思っていました。私はずっと、アイラには酷いことはしていなかったでしょう? あの状況を作ったのは私の意志ではないし、このバカで愚かな両親と妹ですからっ! 私はずっと、もっと大事に扱うべきだと思っていました。」
「なんだと? お前はなにも異論を言わなかったよな?」
私は息子を睨み付けた。裏切り者めっ!
「お兄様は止めもしなかったじゃない! 同罪よ! 私のほうこそ、本当はアイラさんに酷いことはしたくなかったですよ。みんな、この両親とお兄様のせいです!」
ウェンディの笑みは引きつり、すがるようにアイラを見つめていた。
「アイラちゃん。貴女はヴィセンテ男爵家の大事なお嫁さんよ! ほら、私達はいつだって仲良く暮してきたわよねぇ? 私は夫に言われたようにしただけですよ。ウェンディもイアンも皆、夫の命令に従っただけです。罪があるとしたら夫ですわ」
妻のエスメラルダは青ざめ、アイラにわざとらしい笑みを貼り付けている。
「お前、なにもかも私のせいにするな! イアンは酷いことはしなかったと言うが、庇いも止めもしなかった。エスメラルダとウェンディは、すすんでアイラ様に嫌がらせしていたではないか! そうやって自分のしたことを責任転嫁するな!」
「だって、貴方が給料を払わないでただ働きを一生させようって提案したんじゃない!」
「このバカ女! こんな法廷で、そんな話をするんじゃない!」
「アイラ様! 私は家を出ます! 今こそ、愚かな両親ぬきで一緒に暮らしましょう! こんな両親はアイラ様の為に喜んで捨てますから安心してください! 妹とも縁を切ります……アイラ様が一番大事だと今、気がつきました。 夫である私が今後は貴女を支えます!」
イアンは、あろうことかアイラに泣きついている。
「あ、待って、待って! 私だってアイラ様と仲良くしたいですぅ。だって、女公爵になるんでしょう? 私、前からずっと公爵のような高位貴族に憧れていて……これで私も公爵と親戚になれるんでしょう?」
ウェンディは、満面の笑みでアイラに手を振っている。
「……はぁ? バカ過ぎてお話になりませんわ。やっぱり、お祖父様のおっしゃったようにこの方達に慰謝料を請求します。今までの精神苦痛……安くはありませんよ? それから私に罪を着せようとしたことや、侮辱したことや……数え上げたらキリがありませんね? ふふふ」
アイラがそう言い放ち、いつもとはうって変ったダークなニヤリとした笑みを浮かべたのだった。これって……ほんとにあのアイラなのか……この凄みのある微笑はアーヴィング公爵にそっくりだった。
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