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7 私と取引しませんか(アイラ視点)
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その馬車は私道に入っていき、大きな門の手前で止まります。門番がエリアンの顔を確認すると愛想良く笑って開けてくれました。
「エリアン様、アーヴィング公爵様がお待ちですよ。こちらが、アッレサンドラ様の……? ほんとに良く似ていらっしゃる……」
いきなり涙ぐむ門番に、この話の状況が全くわからない私。アッレサンドラは私の母ですが普通の平民ですけれど……
門から先に広がる世界は別世界です。両側に広がる花畑と奥に見える巨大な噴水と壮麗な白亜の豪邸。ここは……?
「ここは、アーヴィング公爵家のお屋敷だよ。僕たちのお祖父様のお屋敷で、アイラのお母様はここのご令嬢だったんだよ」
「えぇ? まさか……そんなおかしな冗談を言って、なにを企んでいるんですか? 私の母も父も平民ですよ。父が早くに亡くなって母は女手ひとつで、とても苦労したんですから……あ、でもアーヴィング公爵にはお話したいことがありましたからちょうど良かったですわ」
「ん? 話したいことってなに?」
「あら、それは言えませんわ。アーヴィング公爵と取引する材料ですもの」
「ほぇ? お祖父様と取引? あっははは。アイラって面白いなぁ。超現実主義?」
「別段、面白くありませんわ。ヴィセンテ男爵家の方にはそれなりの償いをしてもらいたいですけれど、私には味方になってくれる高位貴族が必要ですから」
また、エリアンは笑っているけれど、この人は笑い上戸なんだって初めて知ったわ。職場ではこれほど笑っているのは見たことがなかった。
☆彡★彡☆彡
白亜の豪邸に着くと厳めしい顔つきの男性が出てきた。
「アーヴィング公爵様ですか? 私は……」
その、男性は「アッレサンドラお嬢様……」と言いながら、門番と同じように涙ぐみ意味不明だった。私をお嬢様と呼ぶってことは、アーヴィング公爵様ではないわ。考えたらアーヴィング公爵様自身が、来客の応対をするはずがなかった。あんまり、立派な風貌だったから、つい間違えてしまったわ。
「あれは、昔からここに仕えている執事のエマーソンだよ」
エリアンから聞いた私は、うなづいた。高位貴族って執事まで上品で厳めしいかんじなのね。
案内されたサロンはヴィセンテ男爵家の3倍はあると思われる広さで、調度品やソファ、絨毯、その全てが高価で上品な物ばかりだった。流石は公爵家、男爵家とは違う浮世離れした贅沢な暮らしぶりに驚くばかりだ。
ソファに座っている風格のある老人が、私を見て駆け寄ってきてハグしてきたことに、ドギマギして挨拶さえ忘れてしまいそうになった。
「あ、あの、私はアイラと申します。お目にかかれて、光栄です。アーヴィング公爵閣下におかれましては、ご機嫌麗しいようでお慶び申し上げます……で、僭越ですが、私と取引をしませんか? 私、ヴィセンテ男爵家が密猟していることを知っています」
私の言葉に老貴族は片方の眉をあげて、私の顔をじっと見つめたのだった。
「エリアン様、アーヴィング公爵様がお待ちですよ。こちらが、アッレサンドラ様の……? ほんとに良く似ていらっしゃる……」
いきなり涙ぐむ門番に、この話の状況が全くわからない私。アッレサンドラは私の母ですが普通の平民ですけれど……
門から先に広がる世界は別世界です。両側に広がる花畑と奥に見える巨大な噴水と壮麗な白亜の豪邸。ここは……?
「ここは、アーヴィング公爵家のお屋敷だよ。僕たちのお祖父様のお屋敷で、アイラのお母様はここのご令嬢だったんだよ」
「えぇ? まさか……そんなおかしな冗談を言って、なにを企んでいるんですか? 私の母も父も平民ですよ。父が早くに亡くなって母は女手ひとつで、とても苦労したんですから……あ、でもアーヴィング公爵にはお話したいことがありましたからちょうど良かったですわ」
「ん? 話したいことってなに?」
「あら、それは言えませんわ。アーヴィング公爵と取引する材料ですもの」
「ほぇ? お祖父様と取引? あっははは。アイラって面白いなぁ。超現実主義?」
「別段、面白くありませんわ。ヴィセンテ男爵家の方にはそれなりの償いをしてもらいたいですけれど、私には味方になってくれる高位貴族が必要ですから」
また、エリアンは笑っているけれど、この人は笑い上戸なんだって初めて知ったわ。職場ではこれほど笑っているのは見たことがなかった。
☆彡★彡☆彡
白亜の豪邸に着くと厳めしい顔つきの男性が出てきた。
「アーヴィング公爵様ですか? 私は……」
その、男性は「アッレサンドラお嬢様……」と言いながら、門番と同じように涙ぐみ意味不明だった。私をお嬢様と呼ぶってことは、アーヴィング公爵様ではないわ。考えたらアーヴィング公爵様自身が、来客の応対をするはずがなかった。あんまり、立派な風貌だったから、つい間違えてしまったわ。
「あれは、昔からここに仕えている執事のエマーソンだよ」
エリアンから聞いた私は、うなづいた。高位貴族って執事まで上品で厳めしいかんじなのね。
案内されたサロンはヴィセンテ男爵家の3倍はあると思われる広さで、調度品やソファ、絨毯、その全てが高価で上品な物ばかりだった。流石は公爵家、男爵家とは違う浮世離れした贅沢な暮らしぶりに驚くばかりだ。
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「あ、あの、私はアイラと申します。お目にかかれて、光栄です。アーヴィング公爵閣下におかれましては、ご機嫌麗しいようでお慶び申し上げます……で、僭越ですが、私と取引をしませんか? 私、ヴィセンテ男爵家が密猟していることを知っています」
私の言葉に老貴族は片方の眉をあげて、私の顔をじっと見つめたのだった。
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